はじめに
相続した実家を売却する際に使える「空き家特例」は、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる重要な制度です。
しかし、被相続人が住んでいた家に賃貸の部屋がある場合や、同じ敷地内にアパート・離れ・賃貸用建物がある場合には、「空き家特例を使えるのか」と迷うことがあります。
空き家特例は、原則として被相続人が一人で居住していた家屋が対象です。そのため、1階を賃貸、2階を自宅として使っていた賃貸併用住宅のように、同一建物内に他人が住んでいる場合は、特例の適用が難しくなります。
一方で、同じ敷地内にアパートや離れがあっても、建物が別棟であり、被相続人が住んでいた母屋自体が一人暮らしの家屋であれば、母屋部分について空き家特例を検討できる可能性があります。
尼崎で相続税申告や不動産売却に関するご相談を受けている税理士の実務でも、「同じ建物か」「別棟か」の判断は、空き家特例の適用可否を左右する重要なポイントです。
この記事では、被相続人の家に賃貸の部屋がある場合や、敷地内に別棟のアパートがある場合について、空き家特例が使えるケース・使えないケースをわかりやすく解説します。
質問:被相続人の家に賃貸の部屋がある場合は?
先生、空き家特例(相続した家を売却した場合の3,000万円控除)について質問です。
もし被相続人が住んでいた家に、賃貸の部屋がある場合、この特例は使えるのでしょうか?
また、敷地内にアパートなど別の建物がある場合はどうですか?
結論:同じ建物に他人が住んでいれば使えません
良い質問ですね。
結論から言うと、同じ建物(同一棟)に他の人が住んでいる場合は使えません。
ただし、別棟(建築物が別)であれば問題ありません。
適用できないケース(同一建物内に他人が居住)
空き家特例(租税特別措置法35条の3)は、「被相続人が一人で居住していた家屋」が対象です。
したがって、同一の建築物(同一棟)内に他の居住者がいる場合、その家屋は「被相続人のみの居住用」とは認められません。
【具体例】
・1階を賃貸・2階が自宅の併用住宅 → 不可(同じ建物内に他人が生活している)
・2階を下宿人に貸していた → 不可(同一建物内に他の居住者がいる)

適用できるケース(建物が別であればOK)
「同じ敷地内に他の建物がある」だけであれば、被相続人の家屋(母屋)自体が一人暮らしであればOKです。
空き家特例は“家屋単位”で判定します。
【具体例】
・敷地内にアパートがある(別棟) → 可能(建築物が別で、母屋は単身居住)
・敷地内に離れがあるが賃貸している → 可能(賃貸建物は別棟のため影響なし)
・敷地が同じでも建物が別で登記分かれている → 可能(同一建築物ではないため対象外とならない)
ただし、別棟のアパートや賃貸部分そのものが空き家特例の対象になるわけではありません。特例の対象となるのは、あくまで被相続人が居住していた母屋と、その母屋に対応する敷地部分です。

まとめ:判断は「同一建築物かどうか」
空き家特例は建物単位で判定されます。
・敷地内にアパートがある(別棟) → 母屋部分について適用を検討可能
・敷地内に離れがあるが賃貸している → 母屋部分について適用を検討可能
・敷地が同じでも建物が別で登記が分かれている → 母屋部分について適用を検討可能
先生のコメント
「同じ敷地にアパートがあるからダメ」と誤解されるケースが多いですが、空き家特例は“同じ建物かどうか”で判断します。
建物が別であれば、母屋の部分については問題なく特例の対象になります。
ただし、譲渡前に誰かが住んでいた・貸していた場合は、「空き家ではない」と判断されることがあるため注意が必要です。
| ケース | 空き家特例の取扱い |
|---|---|
| 1階を賃貸、2階を自宅として使用していた賃貸併用住宅 | 適用不可 |
| 同一建物内の一部を下宿人に貸していた場合 | 適用不可 |
| 同じ敷地内に別棟のアパートがある場合 | 母屋部分について適用を検討可能 |
| 同じ敷地内に別棟の離れを賃貸している場合 | 母屋部分について適用を検討可能 |
関連リンク
国税庁|被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(No.3306)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
租税特別措置法第35条の3(e-Gov法令検索)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327M60000800026#Mp-At_35-3
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