【まとめ】空き家特例シリーズ第21回〜第24回|敷地按分・対象範囲・賃貸がある場合の実務ポイントを尼崎の税理士が解説

まとめ】空き家特例シリーズ第21回〜第24回|敷地按分・対象範囲・賃貸がある場合の実務ポイントを尼崎の税理士が解説
目次

はじめに

空き家特例(被相続人の居住用財産に係る3,000万円特別控除)は、相続した実家や空き家を売却する際に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる重要な制度です。

しかし、同じ敷地内に母屋と離れがある場合、居住用建物と事業用建物が混在している場合、賃貸の部屋や別棟アパートがある場合には、「どの家屋・どの敷地部分が空き家特例の対象になるのか」という判断が必要になります。

特に、空き家特例では通常の居住用財産の3,000万円控除と異なり、対象となる家屋や敷地の範囲が限定されます。敷地全体が当然に対象になるわけではなく、母屋・離れ・事業用建物・賃貸部分の利用状況に応じて、床面積按分や水平投影面積による区分が必要となることがあります。

この記事では、空き家特例シリーズ第21回から第24回までの内容をまとめ、母屋と離れがある場合の床面積按分、可分・不可分による按分方法の使い分け、居住用財産3,000万円控除との違い、賃貸の部屋がある場合の取扱いについて、尼崎の税理士が実務目線でわかりやすく解説します。


第21回|母屋と離れがある場合の敷地区分と床面積按分

👉 詳細記事はこちら:第21回 空き家特例の敷地区分|母屋と離れがある場合の床面積按分方法

スタッフ: 先生、相続した実家の敷地内に母屋と離れがある場合、土地全体が空き家特例の対象になりますか?

先生: なりません。空き家特例の対象となる家屋は被相続人が居住していた母屋のみです。離れが物置や別居家族の居住スペースとして使われていた場合、離れとその敷地部分は特例の対象外となります。そのため、敷地を母屋部分と離れ部分に合理的に区分する必要があります。

スタッフ: 区分する方法はどう計算するのですか?

先生: 母屋と離れのように同じ居住用として一体的に機能している場合は、建物の床面積割合で按分するのが一般的な方法です。

計算式: 母屋の敷地面積 = 全体敷地面積 × 母屋床面積 ÷(母屋床面積 + 離れ床面積)

具体例(敷地400㎡、母屋120㎡、離れ40㎡、売却価格5,000万円の場合)

計算項目計算式結果
母屋の敷地400㎡ × 120㎡ ÷ 160㎡300㎡(特例対象)
離れの敷地400㎡ × 40㎡ ÷ 160㎡100㎡(対象外)
特例対象の譲渡対価5,000万円 × 300㎡ ÷ 400㎡3,750万円
3,000万円控除後の金額3,750万円 − 3,000万円750万円

この方法が実務で広く使われる理由は、床面積が登記事項証明書で客観的に確認できること、計算が簡便であることの2点です。


第22回|可分・不可分による敷地按分の使い分け(重要!)

👉 詳細記事はこちら:第22回 空き家特例の敷地按分|居住用・事業用と母屋・離れの区分方法

スタッフ: 先生、第20回では「居住用と事業用は水平投影面積で按分」と学びましたが、第21回では「母屋と離れは床面積で按分」と出てきました。どう使い分ければいいですか?

先生: そこがまさにポイントです。「可分か不可分か」で按分方法が変わります。

按分方法の使い分け表

区分対象性質按分方法理由
居住用建物 vs 事業用建物(店舗等)可分水平投影面積用途が異なり、独立して敷地を占有しているため
自宅 vs 賃貸建物可分水平投影面積用途が異なり、独立して敷地を占有しているため
母屋 vs 離れ(同じ居住用)不可分床面積同じ用途で一体的に機能しているため
主たる店舗 vs 付属倉庫不可分床面積同じ事業用として一体的に機能しているため

スタッフ: 居住用と事業用の建物が混在し、さらに居住用部分が母屋と離れに分かれている場合は?

先生: 2段階計算が必要になります。

STEP1(可分): 全体敷地を「居住用」と「事業用」に→水平投影面積で按分

STEP2(不可分): 居住用の敷地を「母屋」と「離れ」に→床面積で按分

この原則を正確に使い分けることで、適正な特例対象面積が算出できます。確定申告時には計算根拠を書面で残しておくことが重要です。


第23回|居住用財産の3,000万円控除と空き家特例の決定的な違い

👉 詳細記事はこちら:第23回 3,000万円控除と空き家特例は何が違う?家屋・敷地の対象範囲を解説

スタッフ: 先生、居住用財産の3,000万円特別控除と空き家特例は、どちらも3,000万円控除できる制度ですが、何が違うのですか?

先生: 最大の違いは**「家屋と敷地の対象範囲」です。一言で言えば、居住用財産なら家屋も敷地も一体利用全体が対象ですが、空き家特例では、対象となる家屋は原則として被相続人が居住していた母屋に限られ、敷地についても母屋に対応する部分を合理的に区分する必要があります。

対象範囲の比較表

項目居住用財産3,000万円控除空き家特例
対象家屋母屋・離れ・倉庫など不可分一体利用の家屋すべて母屋のみ
対象敷地不可分一体利用の敷地全体母屋の床面積割合に応じた部分のみ
離れ(家屋)一体利用なら含む含まない
倉庫(家屋)一体利用なら含む含まない
駐車場一体利用なら含む含まない
按分計算不要(全体)床面積割合で按分が必要

スタッフ: 同じ敷地・同じ建物でも適用できる面積が大きく変わるんですね。

先生: そうです。この違いが数十万円から数百万円の税負担の差につながることもあります。どちらの特例が適用できるかを正確に判断することが重要です。また、空き家特例には譲渡価額1億円以下という要件がある点も忘れないでください。


第24回|空き家特例Q&A|賃貸の部屋がある場合は使える?

👉 詳細記事はこちら:第24回 空き家特例Q&A|被相続人の家に賃貸の部屋がある場合

スタッフ: 先生、被相続人が住んでいた家に賃貸の部屋がある場合、空き家特例は使えますか?

先生: 判断の基準は「同じ建物(同一棟)か、別棟か」の一点です。

同一建物内に他人が居住している場合 → 特例適用不可

空き家特例は「被相続人が一人で居住していた家屋」が対象です。同じ建物に他の居住者がいれば「被相続人のみの居住用」とは認められません。

別棟であれば → 母屋部分について特例を検討可能

敷地内に別棟のアパートや離れを賃貸していても、被相続人が住んでいた母屋自体が独立した建物であれば、空き家特例の対象として検討できます。

ケース別まとめ表

ケース空き家特例の取扱い
1階を賃貸、2階を自宅として使用していた賃貸併用住宅適用不可
同一建物内の一部を下宿人に貸していた適用不可
同じ敷地内に別棟のアパートがある母屋部分について適用を検討可能
同じ敷地内に別棟の離れを賃貸している母屋部分について適用を検討可能
敷地が同じでも建物が別登記・別建物母屋部分について適用を検討可能

先生: ただし、別棟であっても、特例の対象とする母屋部分が譲渡前に第三者の居住用・貸付用・事業用として使用されていた場合には、空き家特例の適用が難しくなります。別棟の賃貸部分がある場合は、母屋部分と賃貸部分を明確に区分して検討することが重要です。


第21回〜第24回のポイントまとめ

テーマ主なポイント
第21回母屋と離れの床面積按分特例対象は原則として母屋部分。母屋と離れは床面積割合で敷地を按分する
第22回可分・不可分の使い分け居住用と事業用など可分なものは水平投影面積、母屋と離れなど不可分なものは床面積で按分する
第23回居住用財産3,000万円控除との違い居住用財産の控除は一体利用全体が対象となる可能性がある一方、空き家特例は対象範囲が限定される
第24回賃貸の部屋がある場合同一棟に他人が居住している場合は原則として適用不可。別棟であれば母屋部分について適用を検討可能

空き家特例シリーズ 記事一覧(バックナンバー)

空き家・相続の不動産売却でお悩みの方はご相談ください

空き家特例は、「敷地全体が対象になるだろう」「賃貸部分があるからすべて使えないだろう」といった誤解が生じやすい制度です。

実際には、母屋と離れ、事業用建物、賃貸部分、駐車場などの利用状況を確認し、空き家特例の対象となる家屋と敷地を合理的に区分する必要があります。按分計算を誤ると、3,000万円控除の対象額が大きく変わり、税負担に影響する可能性があります。

税理士法人松野茂税理士事務所では、尼崎を中心に、相続税申告や不動産売却に伴う譲渡所得のご相談を承っております。

阪神尼崎駅より徒歩1分、地域密着30年の経験をもとに、空き家特例の適用可否や申告手続きについて丁寧にサポートいたします。

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