親の借地に子が家を建てた場合の贈与税と確認書の提出・相続税評価親の借地に子が家を建てた場合の贈与税と確認書の提出・相続税評価

親の借地に子が家を建てた場合の贈与税と確認書の提出・相続税評価親の借地に子が家を建てた場合の贈与税と確認書の提出・相続税評価

登場人物

  • 社長:会社を経営する子ども。ご存命の親が借りている土地に、自分の家を建て替えたいと考えています。
  • 先生:税理士

目次

1.「親の土地」と「親の借地」は何が違う?

社長:先生、ご相談です。実家は父が地主さんから借りている土地に建っています。古い家を取り壊して、私の名義で自分のお金で建て替えようと思っているんですが、税金の問題はありますか?

先生:まず関係を整理しましょう。地主さんが土地を持っていて、お父様に貸している。お父様は借地権を持っている。社長はそのお父様の借地権を使わせてもらって家を建てる。この形ですね。

立場関係
地主土地を所有し、親に貸している
親地主から土地を借り、借地権を持っている
子ども(社長)親の借地権を無償で使い、自分の家を建てる

社長:父の土地ではなく、「父が借りている土地」なんですね。

先生:はい。社長が親の土地を借りるのではなく、親が持っている借地権を無償で使わせてもらう形です。権利金や地代を払わずに使う場合、国税庁はこれを「借地権の使用貸借」と呼んでいます。


2.無償で使わせてもらう場合、贈与税はどうなる?

社長:では、父に権利金も地代も払わずに家を建てたら、贈与税がかかるんでしょうか?

先生:借地権の使用貸借であれば、社長が借地を使う権利の価額は税務上「ゼロ」として扱われます。ですから、その権利について贈与税はかかりません。

社長:それなら安心です。

先生:ただ、「親子だからどんな形でも贈与税がかからない」という意味ではありません。使用貸借に当たらない場合は、実態に応じて借地権や転借権の贈与として課税されることがあります。

社長:なるほど。実態が大事ということですね。


3.「借地権の使用貸借に関する確認書」を提出しましょう

社長:何か手続きは必要ですか?

先生:はい。国税庁は、親の借地権を子どもが使用貸借する場合、「借地権の使用貸借に関する確認書」を速やかに提出するよう案内しています。

社長:誰が出すんですか?

先生:次の3人が連名で、借地権を使用貸借していることを確認する書類です。

  • 借地権を使用する子ども(社長)
  • 借地人である親
  • 土地を所有する地主
項目内容
書類名借地権の使用貸借に関する確認書
提出先子どもの住所地を所轄する税務署長
提出時期速やかに提出

社長:地主さんも関わるんですね。

先生:そこがポイントです。親子だけでなく、地主さんも含めて確認する書類なので、建て替えを進める際には、確認書の作成・提出まで含めて準備しておきましょう。

社長:確認書さえ出しておけば、実際の契約がどうあれ大丈夫ですか?

先生:それは違います。確認書を出したからといって、実際の契約内容にかかわらず贈与税がかからなくなるわけではありません。税務上は、実態が使用貸借に当たるかどうかが重要です。


4.将来、親が亡くなったときは相続税の対象になります

社長:もう一つ気になることがあります。贈与税がかからないなら、父の借地権は相続財産からも外れるんですか?

先生:ここは誤解しやすいところです。社長が借地権を無償で使っていても、その借地権は、将来お父様から相続するときに相続税の対象になります。

社長:家を建てたことで、借地権が私に贈与されたことにはならないんですね。

先生:そのとおりです。家を建てただけで、親の借地権が子どもへ贈与されたことにはなりません。

社長:相続のときの評価はどうなりますか?

先生:相続税を計算するときは、「他の人に賃貸している借地権」ではなく、「自分で使っている借地権」として評価します。

社長:私の家が建っているから、賃貸中の借地権として評価が下がる、ということはないんですね。

先生:はい、評価が下がるわけではありません。ここは注意が必要です。


5.建築資金を親が出す場合は、別の贈与税の確認も必要です

社長:実は、建築資金の一部を父に出してもらえないか、と考えているんです。

先生:それは別の話になります。ここまでお話ししたのは、あくまで「親の借地権を子どもが無償で使うこと」の取扱いです。建築資金まで親から贈与を受けるなら、借地権の使用貸借とは別に、資金の贈与について確認が必要です。個人から財産の贈与を受けた場合は、原則として贈与税の対象になりますから。

社長:資金は非課税にならないんですか?

先生:一定の要件を満たす住宅取得等資金の贈与には、非課税の特例があります。ただし、適用を受けるには贈与税の申告と必要書類の添付が必要です。

社長:「借地を無償で使えること」と「建築資金を非課税でもらえること」は、別々に考えるということですね。

先生:そのとおりです。分けて検討しましょう。


まとめ:親の借地での建て替えは、相続まで見据えてご相談ください

社長:今日のお話を整理すると、こういうことですね。

  • 親の借地権を無償で使う(使用貸借)なら、借地を使う権利について贈与税はかからない
  • ただし「借地権の使用貸借に関する確認書」を、親・子・地主の3人で連名のうえ、速やかに提出する
  • 確認書を出せば何でも大丈夫なわけではなく、実態が使用貸借かどうかが大事
  • 親の借地権は、将来の相続税の対象になる(自分で使っている借地権として評価)
  • 建築資金を親が出す場合は、資金の贈与について別途確認が必要

先生:そのとおりです。目先の贈与税だけでなく、将来の相続まで見据えて進めることが大切です。

当事務所では、親子間の財産の貸し借りや贈与について、将来の相続も踏まえてご相談を承ります。借地での建て替えをご検討の際は、契約内容や資金計画を整理した段階でご相談ください。

税理士法人松野茂税理士事務所

〒660-0861 兵庫県尼崎市御園町24 尼崎第一ビル7F 阪神尼崎駅から徒歩1分

相続税申告で土地評価が必要な方は、当事務所の相続税申告サポートをご覧ください。


※本記事は、国税庁タックスアンサーNo.4555「親の借地に子供が家を建てたとき」(令和8年4月1日現在法令等)をもとに、一般的な取扱いを会話形式で解説しています。実際の課税関係は、契約内容や資金負担などの個別事情によって異なります。

参考:

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