1. はじめに
雑種地の評価は、宅地のように路線価へ補正率を掛ければ終わる評価ではありません。評価の基になる価額を、近くにある似た土地から自分で探して決める必要があるためです。
総論では、次の5つの順序で評価の流れをつかみます。
- 地目判定(これは雑種地か)
- 評価単位(どこまでを一体として評価するか)
- 比準地目の決定(宅地比準か、農地比準か)
- 市街化調整区域の場合の特別な考え方
- 条件差の調整(しんしゃく割合など)
2. 地目判定 ― 登記簿ではなく「課税時期の現況」
相続税の評価では、土地を田・畑・宅地・山林・原野・雑種地などの地目ごとに評価します(評基通7)。この地目は、登記簿の記載ではなく課税時期の現況で判定します。
雑種地とは、不動産登記事務取扱手続準則第68条・第69条に照らして、田・畑・宅地・山林・原野などのどれにも当たらない土地をいいます。実務で多いのは、駐車場、資材置場、太陽光発電設備用地などです。
登記簿が「宅地」でも、現況が駐車場なら雑種地です。逆に、登記簿が「雑種地」でも、現況が建物の敷地なら宅地になります。登記簿だけで判断せず、現地調査と役所調査で現況を確認することが第一歩です。
ただし、建物の敷地と一体となって利用され、その建物の維持や効用を果たすために必要な駐車場は、宅地として判定される場合があります。
3. 評価単位 ― 「利用の単位」で区切る
雑種地の評価単位は、利用の単位となっている一団の雑種地です(評基通7-2)。土地の筆の数ではなく、実際にどう使われているかで区切ります。
- 1つの駐車場が複数の筆にまたがっていれば、全体を1つの評価単位とします。
- 1筆の中に、駐車場部分と資材置場部分のように利用が分かれていれば、利用ごとに別の評価単位になる場合があります。
- 一体として利用されている一団の土地が2以上の地目にまたがるときは、主たる地目の土地として評価するのが原則です(評基通7ただし書)。
宅地と状況が類似する雑種地は「一団」でまとめる場合がある
市街化調整区域以外の都市計画区域で、市街地的形態を形成している地域にある、宅地と状況が類似する雑種地は、宅地比準方式で評価します。ただし、利用の単位ごとに別々に評価すると、宅地としての効用を果たさない規模や形状で評価することになる場合があります。
そのため、各利用単位の形状、地積の大小、位置等からみて、全体を一団の雑種地として評価することが合理的な場合には、全体を1つの評価単位とします。この取扱いは、市街化調整区域内の雑種地には当てはまりません(評基通7-2(7)ただし書、国税庁質疑応答事例「土地の評価単位――市街地農地等」)。

図:国税庁質疑応答事例「土地の評価単位――市街地農地等」(事例2)。A駐車場、B未利用の雑種地、C資材置場を、全体で一団の雑種地とする例です。
なお、同じ質疑応答事例は、宅地に比準して評価する市街地農地・市街地山林・市街地原野についても、1枚や1筆ごとではなく、利用の単位となっている一団の土地を評価単位とするとしています。
評価単位が変わると、比準する地目や条件差の判定も変わります。評価額を大きく左右する場面なので、現況の写真と図面を残しておくと、後の説明に役立ちます。
4. 雑種地の評価の基本(評基通82)
雑種地の価額は、原則として、状況が類似する付近の土地の1㎡当たり価額を基に、位置・形状などの条件差を考慮して評価します。ゴルフ場用地、遊園地等用地、鉄軌道用地は、別の定めがあります。
- 現況に応じて、状況が類似する付近の土地(宅地・農地など)を探す。
- その土地について、評価通達どおりに1㎡当たりの価額を求める。
- 評価対象地との位置・形状などの条件差を考慮して、1㎡当たりの価額を評定する。
- 地積を掛ける。
算式は次のとおりです。
雑種地の価額 = 条件差を考慮して評定した1㎡当たり価額 × 地積
宅地比準の場合は、法的規制等によるしんしゃく割合を考慮します。農地等に比準する場合は、資材置場・駐車場等として利用されているときに、必要に応じて造成費相当額を加算します。
なお、雑種地について国税局長の定める倍率がある地域では、その雑種地の固定資産税評価額に当該倍率を乗じて評価します(評基通82ただし書)。宅地が倍率地域だからといって、当然に雑種地も同じ倍率で評価するわけではありません。まず、その雑種地に適用される倍率の有無を確認します。
5. 宅地比準と農地比準 ― 周囲の状況で決まる
比準地目は、その雑種地の周囲がどんな土地かで決めます。
宅地比準
- 周囲が宅地化されている、または店舗等の建築が可能な地域にある雑種地に使います。
- 付近の宅地の価額を基に評価します。
- 市街化調整区域内の雑種地を宅地比準で評価する場合は、開発行為の可否や建築制限など法的規制等による減価を、しんしゃく割合で調整します。
農地比準(山林比準・原野比準も同じ考え方)
- 周囲が農地・山林・原野で、宅地化が見込みにくい雑種地に使います。
- 付近の農地等の価額を基に評価します。
- 資材置場・駐車場等として使われている場合は、原則として評基通24-5(農業用施設用地の評価)に準じ、農地等の価額に造成費相当額を加算します。ただし、その価額は宅地比準で評価した価額を上回らないようにします。
特に市街化調整区域内の雑種地を宅地比準で評価する場合のしんしゃく割合は、市街化の影響度と雑種地の利用状況によって個別に判定します(国税庁タックスアンサーNo.4628、質疑応答事例)。
宅地比準にするか農地比準にするかで、評価額には大きな差が出ます。判断の根拠(周囲の写真、用途地域、道路の状況など)を記録しておくことが、実務では特に重要です。
6. 市街化調整区域の雑種地
市街化調整区域は、原則として市街化を抑制すべき区域です。開発行為や建築に制限があるため、同じ駐車場でも市街化区域内とは評価の考え方が異なります。
国税庁の質疑応答事例は、市街化調整区域内の雑種地について、状況が類似する土地(地目)を、周囲の状況と市街化の影響度に応じて次の表で判定するとしています。

図:国税庁質疑応答事例「市街化調整区域内にある雑種地の評価」の判定表(原文)。以下の表は、これを文字で整理したものです。
| 周囲(地域)の状況 | 市街化の影響度 | 比準地目 | しんしゃく割合 |
|---|---|---|---|
| ① 純農地、純山林、純原野 | 弱 | 農地比準、山林比準、原野比準(注1) | なし |
| ② ①と③の中間(周囲の状況により判定) | ↓ | 農地比準等、または宅地比準(周囲の状況による) | 宅地比準の場合は50% |
| ③ 店舗等の建築が可能な幹線道路沿いや市街化区域との境界付近(注2) | 強 | 宅地比準 | 30% |
| ③のうち、宅地価格と同等の取引実態が認められる地域(郊外型店舗が建ち並ぶ地域等) | 強 | 宅地比準 | 0% |
表の注
- (注1) 農地等の価額を基に評価する場合で、雑種地が資材置場・駐車場等として利用されているときは、原則として評基通24-5(農業用施設用地の評価)に準じ、農地等の価額に造成費相当額を加算して評価します。ただし、その価額は宅地比準で評価した価額を上回らないようにします。
- (注2) ③の地域とは、線引き後に沿道サービス施設が建設される可能性のある土地(都市計画法第34条第9号、第43条第2項)や、線引き後に日常生活に必要な物品の小売業等の店舗として開発または建築される可能性のある土地(同法第34条第1号、第43条第2項)が存する地域をいいます。
- (注3) 都市計画法第34条第11号に規定する区域内については、表によらず個別に判定します。
しんしゃく割合は、市街化の影響度と雑種地の利用状況によって個別に判定するものです。表の割合(0%・30%・50%)によっても差し支えない、という位置づけです。
実務のポイント
- ①から③に向かうほど市街化の影響が強まり、しんしゃく割合は小さくなります(50%→30%→0%)。
- 判断が分かれやすいのは②の中間地域です。農地比準にするか宅地比準(50%)にするかで、評価額が大きく変わります。周囲の写真、道路状況、近隣の店舗や住宅の立地状況を根拠資料として残してください。
- ③に該当するかは、都市計画法第34条・第43条の規定を役所調査で確認します。
- 都市計画法第34条第11号の区域内は、この表を使わずに個別判定になります。
7. 実務の進め方(チェックリスト)
- 現況の確認(現地、写真、航空写真)
- 路線価地域か倍率地域かの確認
- 都市計画の確認(市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域)
- 市街化調整区域の場合は、第6節の表の①②③のどれに当たるかを判定(注3の区域も確認)
- 評価単位の決定
- 比準地目の決定と、その根拠の記録
- しんしゃく割合の判定
- 評価明細書の作成
8. まとめ
雑種地の評価は、現況で地目を判定し、利用の単位で区切り、周囲の状況から比準地目を決める、という順番で考えれば迷いにくくなります。市街化調整区域では、宅地比準と農地比準の判断が評価額に大きく影響するため、根拠資料の保存が欠かせません。








