マンション管理組合が収益事業を始める手順|税務届出から法人税申告まで徹底解説 尼崎の税理士

マンション管理組合が収益事業を始める手順|税務届出から法人税申告まで徹底解説

マンション管理組合で「自動販売機収入」「携帯基地局収入」などがある場合、
実は法人税の申告が必要になるケースがあります。

「収益事業に該当するのか分からない」
「申告していないが大丈夫か不安」

このようなご相談は非常に多く、実際に税務署から指摘を受けるケースも増えています。

この記事では、マンション管理組合の収益事業に関する手続き・申告のポイントを、
税理士が実務ベースで分かりやすく解説します。

※すでに収益が発生している場合、過去分の申告が必要になる可能性があります。
早めに状況確認だけでもしておくことをおすすめします。

目次

はじめに

スタッフ: 先生、最近マンション管理組合から「駐車場を外部に貸したい」「屋上に携帯基地局のアンテナを設置させたい」というご相談が増えていませんか?

先生: そうなんです。管理費収入だけでは修繕積立金が不足しがちな中、収益事業で補おうというニーズが高まっています。ただし、収益事業を始めるには税務手続きだけでなく、まず規約の改定予算の承認が必要です。今日はその流れを順番に整理してみましょう。

マンション管理組合で収益事業の開始をご検討の方は、
事前に税務・規約面の確認が重要です。

尼崎の税理士法人松野茂税理士事務所までご相談ください


① 管理規約の改定

スタッフ: そもそも管理組合は自由に収益事業を始めていいんですか?

先生: それが大前提の話なんですが、管理組合の活動は管理規約に定められた目的の範囲内に限られます。標準管理規約では、管理組合の目的は「マンションの管理を行うこと」とされており、収益事業はその範囲外となる場合がほとんどです。収益事業を行うためには、まず管理規約を改定して収益事業を目的に追加する必要があります。

スタッフ: 規約改定の手順を教えてください。

先生: 次のステップで進めます。

ステップ内容
理事会で収益事業の導入を検討・決議
管理規約の改定案を作成(収益事業の目的・使途を明記)
区分所有者総会で特別決議(区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成)
改定後の規約を保管・周知
収益事業を開始 → 税務署等への届出へ

スタッフ: 普通決議ではダメなんですか?

先生: 管理規約の変更は区分所有法第31条により特別決議が必要です。区分所有者と議決権のそれぞれ4分の3以上の賛成が必要ですので、住民への十分な説明と合意形成が欠かせません。また、収益の使途を規約や細則に明確に定めておくことも重要です。たとえば「収益は修繕積立金に積み立てる」など、具体的に規定しておくとトラブル防止になります。

スタッフ: 駐車場を外部に貸し出す場合、居住者への影響はないですか?

先生: 重要なポイントです。外部への駐車場貸し出しにあたっては、居住者を優先する旨を駐車場管理規約に明記しておく必要があります。具体的には次のような事項を盛り込んでおきます。

項目具体例
優先申込権区分所有者は外部貸し出し開始前に優先して申し込みができる
契約解除の優先外部利用者との契約期間中であっても、区分所有者から申し出があった場合は3か月以内に外部契約を解除し、区分所有者へ引き渡す
外部貸し出し上限外部への貸し出しは全駐車区画の〇割以内とする
用途制限外部利用者の用途はマンション周辺の利用に限るなど近隣トラブルを防止する規定を設ける
緊急時の対応災害・緊急時には外部利用者に優先して区画を返還させることができる

これらを駐車場管理規約に明記しておくことで、区分所有者から「外部に貸したら自分たちが困るのでは」という不安を払拭でき、総会での特別決議の賛成を得やすくなります。

収益事業の開始には、
税務だけでなく法的・運営面の整理も必要となります。

▶ 管理組合の収益事業・税務対応のご相談はこちら


② 予算書への計上

スタッフ: 規約改定と合わせて予算の手続きも必要ですか?

先生: はい。管理組合の支出は予算に基づいて執行するのが原則ですので、規約改定と合わせて収益事業に関連する支出を予算書に計上しておく必要があります。計上すべき費用は大きく2つです。

ひとつ目は税理士報酬(申告費用)です。 収益事業の帳簿作成・法人税申告を税理士に依頼する費用を計上します。管理組合はこれまで税務申告をしたことがないケースがほとんどですので、必ず専門家に依頼することをお勧めします。

ふたつ目は支払税額の概算です。 予算計上の目安として、次の計算式で見積もってください。

収益事業収入 × 1/3 × 25% + 70,000円(均等割)

実際の税額は必要経費の按分計算の結果によって異なり、収益事業収入 × 1/5 × 25% + 70,000円程度に収まるケースも多くあります。ただし予算書には多めに計上しておくことをお勧めします。

スタッフ: 収益事業の会計は管理費会計と分けるべきですか?

先生: 法人税の申告では収益事業部分の所得だけを切り出して計算しますので、収益事業専用の会計を設けることが理想です。ただし、現状では区分経理を行っている管理組合はほとんどありません。実務上は管理組合の既存の会計帳簿をもとに、収益事業に関係する収入と費用を申告時に税理士が整理・按分して課税所得を計算します。 按分の基準の選び方によって税負担額が変わることがありますので、この分野に精通した税理士に依頼することをお勧めします。


③ 「収益事業」に該当するか確認する

スタッフ: どんな事業が「収益事業」になるんですか?

先生: 法人税法施行令第5条に列挙された34業種のうちいずれかに該当し、かつ継続して事業場を設けて行うものが収益事業です。管理組合に関係が深いものを挙げると次のとおりです。

収益事業の種類具体例
駐車場業外部の方への駐車場貸し
不動産貸付業屋上・壁面・共用部分の賃貸、携帯基地局設置料
請負業管理サービスを外部へ提供
広告業掲示板・デジタルサイネージの広告収入

スタッフ: 居住者への駐車場貸しはどうなりますか?

先生: 区分所有者(居住者)への貸し付けは、管理組合の本来の活動の一環とみなされ、収益事業に該当しないとする国税庁の取扱いがあります。ただし、外部の第三者への貸し付けは収益事業に該当しますので注意が必要です。


④ 税務署への届出

スタッフ: 収益事業を始めたら、どんな手続きが必要ですか?

先生: まず「管理組合」の法的性格を確認しておきましょう。

区分内容
区分所有法上の管理組合(法人格なし)人格のない社団として扱われる
管理組合法人(法人格あり)区分所有法第47条に基づき登記した法人

法人格がなくても、収益事業を行えば法人税の納税義務が生じます。 人格のない社団も法人税法上は法人と同様に扱われるからです(法人税法第3条)。

必要な届出は次のとおりです。

【収益事業開始届出書】 収益事業を開始した日から2か月以内に所轄の税務署へ提出します。添付書類は定款または規約のコピー・マンションの概況・収益事業の契約書です。

【青色申告の承認申請書】 収益事業開始日から3か月以内に提出すると、欠損金の繰越控除などの特典が受けられます。収益が安定するまでは赤字になることもありますので、積極的に活用してください。

【都道府県・市区町村への届出】 法人住民税・法人事業税についても、都道府県と市区町村それぞれに収益事業開始の届出が必要です。忘れがちですので注意してください。

税務届出や申告内容を誤ると、
後から修正が必要になるケースもあります。

▶ 管理組合の法人税申告について相談する


⑤ 法人税の申告・納税と必要経費の案分計算

スタッフ: 申告はどのようにするんですか?

先生: 収益事業から生じた所得についてのみ、事業年度終了の日から2か月以内に法人税の確定申告書を提出し、納税します。区分所有者から集める管理費・修繕積立金は収益事業の収入ではありませんので、課税されません。あくまで収益事業から得た収入だけが対象です。

スタッフ: 管理組合の費用を収益事業に按分する方法はどうやって決めるんですか?

先生: 法人税法施行令第6条で収益事業と非収益事業の区分経理が義務付けられており、その具体的な方法は法人税基本通達15-2-5(費用又は損失の区分経理)に定められています。資産の使用割合・従業員の従事割合・収入金額の比など、費用の性質に応じた合理的な基準により継続的に配賦することが求められます。

スタッフ: 按分の基準は誰が決めるんですか?

先生: 按分計算は担当する税理士に任せるのが最善です。どの基準を採用するかによって収益事業に配賦される必要経費の金額が変わり、税理士の経験と判断によって税負担額が変わることがあります。 管理組合にとって合理的かつ有利な基準を選ぶためにも、この分野に精通した税理士に依頼することをお勧めします。


⑥ 消費税の取り扱い

スタッフ: 消費税はどうなりますか?

先生: 基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えると消費税の納税義務が生じます。ただし、管理組合の収益事業の規模では1,000万円を超えるケースはほとんどありません。また、実務上インボイス(適格請求書発行事業者)の登録は行いませんので、免税事業者として消費税の申告・納税は不要となるケースがほとんどです。


手続きの全体フロー

① 理事会で収益事業の導入を検討
   ↓
② 総会で規約改定(特別決議:4分の3以上)
   ↓
③ 収益事業会計の新設・予算書の承認(通常決議)
   ↓
④ 税務署・都道府県・市区町村へ届出
   ↓
⑤ 収益事業の開始・帳簿記帳
   ↓
⑥ 期末:法人税の申告・納税
手続き提出先期限
収益事業開始届出書所轄税務署開始から2か月以内
青色申告承認申請書所轄税務署開始から3か月以内
法人税確定申告書所轄税務署事業年度終了から2か月以内
法人住民税・事業税届出都道府県・市区町村各自治体の定める期限内

まとめ

先生: 管理組合が収益事業を始める際のポイントをまとめると、次の3点です。

  1. 規約改定が大前提。総会の特別決議(4分の3以上)を経て収益事業を目的に追加し、駐車場業の場合は住民優先事項を駐車場管理規約に明記する
  2. 予算書に申告費用と税額を計上。予算の目安は「収益 × 1/3 × 25% + 7万円」で多めに計上し、実際の税額は税理士による按分計算の結果によって変わる
  3. 必要経費の按分計算(法人税基本通達15-2-5)は税理士の経験と判断に委ねることで、税負担を適正に抑えることができる

管理組合の収益事業は修繕積立金の不足を補う有効な手段ですが、規約改定や税務手続きを怠るとトラブルや無申告のリスクがあります。収益事業を始める前に、ぜひ税理士にご相談ください。

マンション管理組合の収益事業は、
継続的な税務対応が必要となるケースが多くあります。

尼崎市で管理組合の税務・法人申告をご検討の方は、
税理士法人松野茂税理士事務所までご相談ください。

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当事務所のサポート内容と費用

スタッフ: 管理組合の収益事業の申告を依頼する場合、費用はどのくらいかかりますか?

先生: 当事務所では管理組合の収益事業に関する税務手続きを全国対応で承っております。費用は次のとおりです。

サービス内容費用
法人税申告(1期分)45,000円
収益事業開始届出一式15,000円

遠方の管理組合様もオンラインでご対応いたしますので、お気軽にご相談ください。


税理士法人松野茂税理士事務所では、マンション管理組合の税務手続きから申告まで、丁寧にサポートいたします。尼崎・西宮・神戸など阪神間のご相談はお気軽にお問い合わせください。

📞 06-6419-5140(阪神尼崎駅徒歩1分)

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