建設業の個人事業主は建設国保がお得?尼崎市国保と保険料を比較【2026年度】

建設業の個人事業主は建設国保がお得?尼崎市国保と保険料を比較【2026年度】

所得650万円・夫婦と子1人の世帯では、尼崎市国保の年間保険料は約99.3万円、兵庫県建設国保(土建組合)は年47.4万円で、差は年約52万円です。

目次

土建組合(建設国保)とは

建設国保は、建設業で働く人とその家族が加入できる国民健康保険組合です。兵庫県では「兵庫県建設国民健康保険組合」が運営しており、土建系の労働組合を通じて加入します。

市区町村の国民健康保険(以下「市国保」)との大きな違いは、保険料の決まり方です。

  • 市国保:前年の所得に応じた「所得割」に、人数に応じた「均等割」、1世帯ごとの「平等割」を加えて計算します。所得が増えれば保険料も増えます。
  • 建設国保:組合員の区分と家族の人数で決まる定額です。所得が増えても保険料は変わりません。

所得が高い個人事業主ほど、この差が大きくなります。

試算の前提条件

次の条件で、令和8年度の保険料を比べます。

  • 世帯:本人(40〜64歳)、配偶者(40〜64歳・所得なし)、子1人(18歳未満)の3人
  • 所得:事業所得などの総所得金額等が650万円。市国保では、ここから基礎控除43万円を引いた607万円(旧ただし書き所得)が所得割の基礎になります
  • 市国保:尼崎市の令和8年度の料率
  • 建設国保:兵庫県建設国民健康保険組合の令和8年4月〜令和9年3月の月額表。本人は第4種(親方・事業主・一人親方)。一人親方労災に特別加入している場合などは、第3種など別の区分になることがあり、その場合は月額が異なります
  • 含めないもの:土建の労働組合の組合費(別途かかります)

尼崎市国保の保険料(年額)

尼崎市の国保は、医療分・支援金分・介護分・子育て分の4つを合計します。それぞれに限度額があり、介護分は計算上の額が限度額17万円を超えるため17万円になります。

区分計算年額
医療分607万円×7.60%+30,259円×3人+18,723円570,820円
支援金分607万円×3.10%+12,252円×3人+7,581円232,507円
介護分(本人・配偶者)607万円×3.11%+12,391円×2人+6,026円=219,585円170,000円(限度額)
子育て分607万円×0.28%+1,216円×2人(18歳以上)+716円20,144円
合計993,471円(月額換算 約82,800円)

子育て分は令和8年4月に始まった「子ども・子育て支援金」の保険料です。均等割は18歳以上の人だけにかかるため、18歳未満のお子さんの分は含まれません。

建設国保の保険料(月額)

建設国保の月額は、「医療保険料+後期高齢者支援金分」に、40〜64歳は介護保険料分、18歳以上は子ども・子育て支援金分を加えて決まります。

区分医療+後期支援介護(40〜64歳)子育て支援金(18歳以上)月額
本人(第4種)21,800円4,000円500円26,300円
配偶者5,100円2,500円500円8,100円
子(18歳未満)5,100円--5,100円
合計39,500円(年額 474,000円)

子どもが未就学児の場合は、後期高齢者支援金分が1,000円下がり、月額は4,100円になります。

比較:年間で約52万円の差

年額月額
尼崎市国保993,471円約82,800円
建設国保(第4種)474,000円39,500円
差額519,471円約43,300円

手取りでの差は少し小さくなります。 支払った国保料・建設国保料は全額が社会保険料控除の対象です。保険料が安くなると控除額も減り、所得税・住民税は増えます。課税所得が330万円超695万円以下なら、所得税20%(復興特別所得税を含め約20.4%)と住民税10%を合わせて約30%です。この場合、差額519,471円のうち約36万円が実際の手取りの差になります(概算)。

それでも、年間で数十万円の差が出ます。

所得別の比較:分かれ目は所得250万円前後

同じ家族構成(夫婦と子1人)で、所得だけを変えて市国保と比べました。建設国保は所得に関係なく年474,000円です。

総所得金額等尼崎市国保(年額)建設国保(年額)市国保との差
250万円479,456円474,000円5,456円
300万円549,906円474,000円75,906円
400万円690,806円474,000円216,806円
500万円828,771円474,000円354,771円
650万円993,471円474,000円519,471円
800万円1,124,344円474,000円650,344円
1,000万円1,129,944円474,000円655,944円

保険料だけで比べると、所得が250万円前後を超えたところから建設国保のほうが安くなり、所得が高いほど差が開きます。組合費を含めると、分かれ目はこれより少し高い所得になります。市国保には限度額(年113万円)があるため、800万円を超えると差の広がり方は緩やかです。

所得が250万円を下回ると、市国保のほうが安くなる場合があります。市国保には、所得が低い世帯の均等割・平等割を減らす軽減制度もあるためです。この表では軽減を考慮していません。

法人成りを予定している方は、設立前の加入を

建設業の個人事業主が将来法人成りを予定しているなら、法人を設立する前に建設国保へ加入しておくことが大切です。

  • 法人は原則として健康保険・厚生年金保険の適用事業所となり、代表者も協会けんぽなどに加入するのが原則です。
  • ただし、法人を設立する時点ですでに建設国保の組合員である人は、年金事務所で健康保険の適用除外承認を受ければ、建設国保を続けられます。
  • この申請は、法人の設立など事実が発生した日から14日以内に行う必要があります。
  • 適用除外になるのは健康保険だけです。厚生年金保険には別途加入します。
  • 承認の対象は、設立時点で現に国民健康保険組合の被保険者である人です。法人設立後に初めて建設国保へ加入する形は、認められない場合があります。事前に組合と年金事務所へ確認してください。

法人成り後の保険料は、市国保ではなく、協会けんぽ+厚生年金保険と比べるのが適切です。個人のうちに建設国保へ加入しておくかどうかで、法人成り後の選択肢が変わります。

加入前に確認したいこと

  • 組合費がかかります。 建設国保の保険料は、所属する土建系の労働組合の組合費とあわせて毎月納めます。組合費の額は労働組合ごとに異なるため、この比較には含めていません。年間の組合費を差し引いた額が実質的な差になります(519,471円−年間の組合費)。なお、組合費は社会保険料ではないため、社会保険料控除の対象にはなりません。
  • 加入できるのは建設業の従事者です。 区分によっては雇用証明書などの提出が必要です。まず窓口で、自分が対象になるか、どの区分(第3種・第4種など)になるかを確認してください。
  • 国保組合に加入すると、市国保からは脱退します。 加入・脱退の手続きと、保険料の切り替え時期を確認しておきましょう。
  • 法人の事業主は保険料が高くなります。 本人が特別第4種(月額32,600円+介護4,000円+子育て支援金500円)となり、この家族構成では世帯で月50,300円(年603,600円)です。ただし、法人の場合は原則として協会けんぽなどの健康保険・厚生年金保険が適用されるため、市国保との比較には使えません。この金額は、前の見出しで説明した適用除外承認を受けて建設国保を続けた場合のものです。
  • 実態が大切です。 実際は従業員として働いているのに、形式だけ個人事業主として国保組合に入る方法は認められません。事業主か従業員かは、契約や働き方の実態で判断されます。
  • 保険料は毎年見直されます。 この記事の金額は令和8年度(令和8年4月〜令和9年3月)のものです。加入するときは、最新の料額表をご確認ください。

まとめ

建設業の個人事業主は、所得や家族構成によって、建設国保(土建組合)に加入することで保険料を大きく抑えられる場合があります。今回の試算では所得250万円前後が保険料だけで見た分かれ目ですが、実際には組合費を含めて比較する必要があります。所得650万円・夫婦と子1人の世帯では、年間約52万円、社会保険料控除を考慮した手取りでも約36万円の差になります。

法人成りを考えている方は、設立前の加入が重要です。ただし、組合費や加入資格、働き方の実態によって結論は変わります。ご自身の所得と家族構成で、いくら変わるのかを確認してから決めましょう。保険料だけでなく、傷病手当金の有無や健診補助などの給付内容も組合によって異なる場合があるため、加入時にあわせて確認してください。

当事務所では、所得や家族構成に合わせた保険料の試算、事業形態(個人・法人)に応じた最適な選択のご相談を承っています。お気軽にお問い合わせください。

税理士法人松野茂税理士事務所 尼崎市御園町24 尼崎第一ビル7F(阪神尼崎駅 徒歩1分) 電話 06-6419-5140 /

出典(2026年10月22日時点)

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