相続が発生し、「相続税の申告が必要なのでは」と思っても、最初に何を確認し、どの書類を集めればよいのか分からない方は多いと思います。
本記事では、相続税申告の初回相談で税理士が確認する主なポイントと、その後準備していただく必要書類について、当事務所での実務に基づいてご説明します。
相続税の申告期限は「10か月」
相続税の申告と納税の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。この期間内に、財産の調査・評価、遺産分割協議、申告書の作成までを終える必要があるため、できるだけ早い段階でのご相談をおすすめしています。
申告手続きの詳しい内容は、国税庁のホームページにも案内があります。 ▶ 国税庁「相続税の申告」
相続開始から申告・納付までのスケジュール
相続税の申告までには、いくつかの手続きの期限が段階的に設けられています。全体の流れを把握しておくと、何をいつまでに済ませればよいかが見えやすくなります。
| 時期の目安 | やるべきこと |
|---|---|
| 相続開始(死亡)後、速やかに | 死亡届の提出、遺言書の有無の確認(自筆証書遺言は原則として家庭裁判所の検認が必要。ただし、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用している場合は不要) |
| 3か月以内 | 相続人の確定(戸籍調査)、相続放棄・限定承認の判断と申述 |
| 4か月以内 | 被相続人の所得税・消費税の準確定申告 |
| 4か月〜8か月ごろ | 相続財産・債務の調査、財産評価、遺産分割協議 |
| 8か月〜10か月ごろ | 相続税申告書の作成、税額シミュレーション、特例適用の最終確認 |
| 10か月以内 | 相続税の申告・納付(延納・物納を希望する場合は同時に申請) |
「3か月以内」の相続放棄・限定承認の期限と、「10か月以内」の相続税の申告・納付期限は特に重要です。遺産分割協議がまとまらないまま期限を迎えた場合でも申告自体は必要になるため、早めのご相談をおすすめしています。
初回相談でお伺いすること
初回の相談では、まず全体像を把握するために、以下のような内容をお伺いしています。
1. 基本情報
- 被相続人(お亡くなりになった方)の氏名・生年月日・死亡年月日・死亡時のご住所
- 相続の開始を知った日(申告期限の起算日になります)
- 遺言書の有無(自筆証書・公正証書・法務局の保管制度利用の有無)
- 相続人の範囲(配偶者・お子様・代襲相続人・養子縁組の有無)
- 相続人の中に未成年者や障害をお持ちの方がいらっしゃるか
- 相続放棄を検討されている相続人がいらっしゃるか
- 遺産分割協議の進み具合(すでに分割済みか、これから協議されるか)
- 過去に相続時精算課税制度を利用されたことがあるか
- 生前贈与の有無(暦年課税、相続時精算課税、教育資金・結婚子育て資金等。必要に応じて過去の贈与状況を確認します)
2. 財産の概要
- 不動産(ご自宅・貸地・貸家、未登記のもの、共有のもの、先代名義のまま残っているもの、海外の不動産など)
- 事業用・農業用の資産
- 非上場株式や出資持分(同族会社を経営されている場合)
- 上場株式・投資信託・公社債等
- 預貯金(国内・海外を問わず)
- 生命保険金・死亡退職金の有無
- 家庭用財産・貴金属・書画骨とう・ゴルフ会員権等
- 債務(借入金・未払金等。保証債務がある場合も内容を確認します)
- 葬式費用のおおよその金額
これらをお伺いした上で、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減など主要な特例の適用可能性を確認し、資料が揃っている範囲で概算税額の検討を行います。
初回相談後にご準備いただく主な書類
初回相談でおおよその財産状況を把握した後は、次のような書類の収集をお願いしています。取得先が複数にまたがるため、早めに動き出すことが申告期限に間に合わせるコツです。
相続人・遺言関係の書類
| 書類 | 取得先 |
|---|---|
| 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等 | 市区町村役場 |
| 相続人全員の戸籍謄本・住民票 | 市区町村役場 |
| 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議を行う場合) | 市区町村役場 |
| 遺言書の写し(公正証書、自筆証書、法務局保管の遺言書情報証明書等) | 公証役場・家庭裁判所・法務局等 |
不動産に関する書類
| 書類 | 取得先 |
|---|---|
| 固定資産税評価証明書・名寄帳 | 市区町村役場(東京23区は都税事務所) |
| 登記事項証明書 | 法務局 |
| 公図・地積測量図 | 法務局 |
| 賃貸借契約書(貸地・貸家がある場合) | ご本人保管 |
金融資産に関する書類
| 書類 | 取得先 |
|---|---|
| 預貯金の残高証明書(相続開始日時点) | 各金融機関 |
| 預金通帳・取引履歴の写し(財産移動や生前贈与等の確認のため、必要に応じて過去数年分) | ご本人保管 |
| 証券会社の残高証明書・取引報告書 | 証券会社 |
保険・退職金に関する書類
| 書類 | 取得先 |
|---|---|
| 生命保険金の支払通知書 | 各保険会社 |
| 死亡退職金の支払調書 | 勤務先の法人 |
債務・葬式費用に関する書類
| 書類 | 取得先 |
|---|---|
| 借入金の残高証明書 | 金融機関 |
| 葬式費用の領収書一式 | 葬儀社等 |
まとめ
相続税の申告は、財産の種類が多岐にわたるほど確認事項や必要書類も増え、思っている以上に時間がかかるものです。特に不動産の名義が先代のままになっていたり、海外に財産がある場合などは、通常より調査に時間を要します。
「何から手をつければよいか分からない」という段階でも構いませんので、お早めにご相談ください。初回相談では上記のような内容を一緒に整理しながら、必要な書類とスケジュールをご案内いたします。
相続税に関する当事務所のサービス詳細は、以下のページもあわせてご覧ください。








