スタッフ: 所長、非上場株式の相続が発生したときに「配当還元法で評価できる」と聞いたことがあるのですが、どんな場合に使えるのでしょうか?
所長: 良い質問ですね。配当還元法が使えるかどうかは、株主が「同族株主」に該当するかどうかで決まります。まずは「同族株主」の定義から説明しましょう。
非上場株式の評価や配当還元法の適用でお悩みの方は、
尼崎の税理士法人松野茂税理士事務所までご相談ください。
1.「同族株主のいる会社」かどうかを判定する
スタッフ: 「同族株主のいる会社」というのはどういう会社のことですか?
所長: まず対象会社の全株主について、株主1人+その同族関係者でグループを作り、そのグループが持つ議決権割合を合計します。どれかひとつのグループが議決権総数の30%以上を占めているなら、その会社は「同族株主のいる会社」に該当します(財産評価基本通達188①)。
スタッフ: 30%というのはなかなか低い水準ですね。
所長: そうです。多くの中小企業では、オーナーとその家族だけで軽く30%を超えますから、ほとんどの会社が「同族株主のいる会社」に当たると考えていいでしょう。
2.同族株主の定義
スタッフ: 「同族関係者」にはどこまでの範囲が含まれますか?
所長: 法人税法施行令4条で定められていて、次の者が含まれます。
- 親族(配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族)
- 経営支配関係などを通じて議決権を実質支配している法人等
スタッフ: 結構広い範囲ですね。では「同族株主」とは具体的にどう定義されるのですか?
所長: 条文(財産評価基本通達188一)に従うと、次のようになります。
株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数の30%以上(ただし、最も多いグループが議決権総数の50%超を押さえている会社にあっては、50%超)である場合における、その株主及びその同族関係者
3.50%超グループがある場合の重要なルール
スタッフ: 「30%以上」と「50%超」が混在していて少し混乱します。
所長: ここが実務でとても重要なポイントです。整理すると次のようになります。
| 状況 | 同族株主の範囲 |
|---|---|
| 50%超のグループが存在しない | 30%以上のグループ全員が同族株主 |
| 50%超のグループが存在する | 50%超のグループのみが同族株主。他の30%以上のグループは「同族株主以外」 |
スタッフ: つまり、支配的なグループが存在する場合は、それ以外のグループは少数株主として扱われるということですね。
所長: そのとおりです。具体例で見てみましょう。
例:
- Aグループ(A+家族)が議決権の**60%**保有
- Bグループ(B+家族)が議決権の**35%**保有
→ 同族株主はAグループのみ。Bグループは30%以上あっても「同族株主以外」となります。同族株主に該当するAグループでも、取得後の割合が5%未満になるなど他の条件を満たせば、配当還元法が使える余地が生じます。
4.原則的評価と特例的評価(配当還元法)の関係
スタッフ: 「同族株主か否か」がそのまま評価方式に直結するのですか?
所長: 大まかに言うとそうですが、もう少し細かい判定が必要です。整理すると次のとおりです。
- 同族株主以外の株主 → 少数株主として配当還元法(特例的評価)
- 同族株主に該当する株主 → 原則として原則的評価方式(類似業種比準価額方式または純資産価額方式)
- 同族株主に該当していても、一定条件を満たせば「その他の株主」として配当還元法
スタッフ: 3番目が気になります。同族株主でも配当還元法になるケースがあるのですか?
所長: あります。これが「中心的同族株主」の概念と関わってきます。
配当還元法が適用できるかどうかは、
同族株主の判定や議決権割合の計算によって判断されます。

5.中心的同族株主とは
スタッフ: 「中心的同族株主」という言葉は初めて聞きました。
所長: 財産評価基本通達188(2)で定義されています。次の者の議決権を合計したときに25%以上になる株主を「中心的同族株主」といいます。
①配偶者 ②直系血族 ③兄弟姉妹 ④1親等の姻族 ⑤上記①~④が同族関係者となっている会社で、その者たちが25%以上を持つ会社
重要 同族株主の判定とは異なり 評価対象となるその株主一人ずつ判定します。
スタッフ: 同族関係者(30%以上の広いグループ)より狭い範囲での議決権が25%以上、ということですね。
所長: そうです。同族株主に該当する株主でも、次の条件を満たせば「その他の株主」として配当還元法による評価になります。
- 取得後の議決権割合が5%未満
- 会社に中心的同族株主がいる
- その株主が中心同族株主にあたらない
- その株主が役員でも役員見込みでもない
- 「その他の株主」に該当して 同族株主以外の株主 と同様に 配当還元法の評価となります。

6.相続での実務活用ケース
スタッフ: 実際の相続でどう活用するのか、具体例で教えてください。
所長: 典型的なケースを2つ紹介しましょう。
ケース1:被相続人の持分が少ない場合
前提:
- 被相続人の議決権割合:12%
- 兄*60%**を保有(25%以上の中心的同族株主が会社にいます)
- 相続人:配偶者・長男・次男の3名
判定:
被相続人の兄は中心的同族株主に該当します
3名の相続人がそれぞれ4%ずつ(12%÷3名)取得すれば、同族株主のいる会社で相続人3名は中心的同族株主に当たらない。役員及び役員見込み者でない場合は「その他の株主」に該当して配当還元法による評価となります。
判定 配偶者4%+長男4%+次男4%=12% 25%以下なので中心的同族株主にあたらない・

ケース2:被相続人の持分がやや多い場合
前提:
- 被相続人の議決権割合:20%
- 兄60%**を保有(25%以上の中心的同族株主が会社にいます)
- 相続人:配偶者・長男・次男の3名
対策:
長男・次男の取得後割合が5%未満になるよう、配偶者の取得分を多くします。
- 長男・次男 → 配当還元法
判定 配偶者12%+長男4%+次男4% 合計20% 配偶者 長男 次男ともに 中心的同族株主に当たらない。
配偶者は取得後の議決権割合が5%以上なので原則的評価となり長男・次男は取得後の呉傑兼割合が5%未満 同族株主のいる会社で長男・次男は中心的同族株主に当たらない。役員及び役員見込み者でない ので配当還元法の評価になります。
- 配偶者 → 取得後5%以上なので原則的評価方式だが、配偶者の税額軽減により実際の税負担は最小限
さらに、配偶者が相続後に長男・次男の子(孫)へ暦年贈与することで、贈与後の孫の呉傑件数が5%未満とすれば配当還元法で贈与できます。
中心的同族株主の判定は 同族株主の判定とは異なります、課税対象となる株主を下図の判定対象者にはめ込み計算します。
まず 配偶者は取得後の議決権が5%以上となるので通常は判定しませんが あえて判定するとすれば 評価対象者 配偶者+評価値商社の子 長男+次男 を合計します・12%+4%+4%=20% 配偶者は中心的同族株主に当たりませんが議決権割合が5%以上なので 原則評価となります。
長男の場合は 評価対象者は 長男+直系血族 が母 兄弟姉妹が 次男となり4%+12%+4%合計20% 長男は中心的同族株主にあたりません。役員・夜勤見込み者でありません。 議決権割合は5%未満の取得です。 被相続人の兄弟が中心的同族株主に該当しますので中心的同族株主のいる会社であるので「その他の株主」となり配当還元法となります。 上の 原則法 配当還元法のフローチャート図と中心的同族株主の定義が理解できると配当還元法の評価できる同族株主の「その他の株主」の判定ができるようになります。

まとめ
スタッフ: 同族株主の判定が、評価方式に大きく影響するんですね。整理すると……
所長: そうです。ポイントをまとめると次のとおりです。
✅ 「同族株主のいる会社」かどうか → いずれかのグループが30%以上を持っているか確認
✅ 50%超グループが存在するか → 存在する場合、同族株主はそのグループのみ同族株主以外は配当還元法です。
同族株主に該当する場合は
✅ 取得後の議決権割合が5%未満かどうか → 中心的同族株主が会社にいる+評価対象者が中心的同族株主に当たらない+役員・役員見込み者でない→「その他の株主」となり配当還元法の評価となります。
✅ 相続時の株式の分け方が重要 → 分家の株主の場合は誰が何株取得するかで評価方式が変わる
非上場株式の評価は「誰がどれだけ取得するか」という分割方法が評価額に直結します。相続が発生する前に対策を検討しておくことが、節税の観点から非常に重要です。
条件を満たしているように見えても、
実務では適用できないケースもあります。
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