日税連「令和9年度税制改正建議書」を読む ― 実務重要度ランキング付き

日税連「令和9年度税制改正建議書」を読む ― 実務重要度ランキング付き

日本税理士会連合会は令和8年6月25日の理事会で、令和9年度の税制改正建議書を決定しました。全国15の税理士会と本会各部委員会から出された684項目の意見を42項目に集約し、そのうち特に強く主張したい9項目を「重要建議項目」として掲げています。

税制改正の要望書は経済団体や業界団体からも数多く提出されますが、税理士会の建議は性格が異なります。税理士法第49条の11が根拠となっており、税理士法第1条に定める「独立した公正な立場」から、申告納税制度の理念に沿って行われるものだからです。特定の業界の利益ではなく、制度そのものの合理性を問う内容になっている点が特徴です。

本記事では、中小企業オーナーや資産家のお客様への影響という観点から、各項目に10点満点で重要度を付けて整理しました。

採点の基準

  • お客様の税負担・意思決定にどれだけ直結するか
  • 実現に向けた議論がどこまで進んでいるか(緊急度)

目次

【10点】取引相場のない株式等の評価の適正化 ― 今、最も動いている論点

重要建議項目1。今年度の建議書で、実務家が真っ先に読むべき項目です。

建議の内容

建議は4つの柱で構成されています。

  1. 類似業種比準方式 ― 会計検査院の令和5年度決算検査報告で「評価会社の業績等の実態を踏まえて株式を評価する方法として適切に機能していない」との指摘があること、会社属性の変更や赤字・僅少配当により評価額を引き下げ得ること、上場会社の株価を比準する方式を単独の評価方法として選択できることへの疑義を挙げ、大・中・小会社の区分にかかわらず適正な評価が可能となる評価方法の検討を求めています。
  2. 純資産価額方式 ― 継続企業を前提とするなら不動産を時価評価することや退職給付債務等を反映しないことに検討の余地があるとし、不動産の簿価評価、退職給付債務等の反映、評価の安全性を踏まえた見直しを求めています。
  3. 配当還元方式 ― 還元率を、株式投資を含めた投資に対する回収率等を参考に、より適正な水準へ見直すこと。
  4. 見直しによる負担増への配慮 ― これが重要です。建議書は「事業承継支援措置がない中、斟酌率の導入・拡大がその代替として行われてきた」と明言したうえで、見直しにより大幅な負担増となる場合には、事業用資産の換金困難性等を踏まえ、一定の評価減制度など事業承継支援措置を設けることを求めています。

国税庁の有識者会議はさらに先を行っている

この建議と並行して、国税庁の「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」が動いています。令和6年11月の会計検査院の指摘を契機に令和8年4月20日に第1回が開かれ、8月20日の第5回では、会社規模区分を廃止し、類似業種比準方式に代えて残余利益方式(簿価純資産ベース)を採用することなどを含む、抜本的な見直しの方向性が資料上示されました。ただし、現時点では見直し内容が確定したわけではありません。

今秋までに見直し案をまとめ、令和9年度税制改正大綱に盛り込み、早ければ令和10年1月から新たな評価方法となる見通しとされています。

ここで建議書の書きぶりを改めて読むと、微妙な距離があることに気づきます。日税連の建議は「より妥当性の高い方式への見直し」であって、廃止とは書いていません。そして第4項で、斟酌率が事実上担ってきた事業承継支援の機能を、別建ての評価減制度で受け止めるよう求めています。

昭和39年の財産評価基本通達制定以来、最大級の見直しになる可能性があります。

実務への影響

  • 現行方式を前提とした株価試算・自社株対策は、前提が変わり得ます。
  • 類似業種比準方式が使えなくなれば、これまで「株価が下がる会社」だった先の評価額が大きく上がる可能性があります。逆に、純資産価額中心で高く評価されてきた会社への影響は限定的かもしれません。
  • 令和10年1月適用の可能性がある以上、令和9年中の対応を検討すべき局面です。

【9点】税理士でない者による税務アドバイスへの対応

建議書9頁「今後の税制改正についての基本的な考え方(納税環境整備・その他)」に置かれた一文ですが、重要建議項目に劣らない重みがあると考えます。

建議は、租税回避行為への対応は個別の立法によるべきとしたうえで、税法規定の趣旨目的や解釈に関する情報が広く公表されることがそうした行為の減少に有効であるとしています。そのうえで、近年、税理士でない者が税に関する個別具体的な税務アドバイスを行う事例が見受けられるとして、税理士法への抵触関係を明確にし、違反行為には厳正に対処すべきと述べています。

この項目を軽く見るべきでない理由は、上記の非上場株式評価の問題と地続きだからです。

有識者会議の発端は会計検査院の指摘ですが、その内容の中心にあったのは評価方式間のかい離を利用した評価額圧縮スキームでした。つまり、一部で行われた極端な株価対策が、財産評価基本通達そのものの改正を招き、結果として真面目に事業承継に取り組む全国の中小企業が負担増を引き受けかねない構図になっています。

そして、そうしたスキームを組成・販売する主体には、税理士以外の事業者も少なくありません。ここで問題になるのが、責任の所在の非対称性です。

税理士は、税理士法に基づく懲戒制度のもとで、税務代理・税務書類の作成・税務相談について職業上の責任を負います。一方、税理士資格を持たないコンサルタントには、税理士と同等の懲戒制度はありません。もちろん、無資格での税理士業務に該当すれば税理士法違反となり、脱税への積極的な関与であれば刑事責任、説明義務違反等があれば民事責任を問われる余地はあります。しかし、「このスキームなら税負担が下がる」と複雑な租税回避策を設計・販売し、それが後日否認された場合、課税処分を直接受けるのは納税者です。

実務では、次の構図になります。

  • スキームを設計・販売したコンサルタント ― 通常、申告書上はその関与が表に出ない
  • 納税者 ― 本税・加算税・延滞税を負担する
  • 申告を行った税理士 ― 税務調査に対応し、場合によっては税理士法上の責任を問われる

つまり、税務判断への影響力と、制度上負う責任が必ずしも一致していません。スキームを販売した者が、その税負担について当然に責任を負う仕組みにはなっていないのです。

だからこそ、税理士でない者による個別具体的な税務アドバイスについて税理士法との抵触関係を明確にすることは、単なる税理士の業域保護ではなく、誰が税務判断に責任を持つのかという納税者保護の問題だと考えます。


【9点】法人版事業承継税制(一般措置)に代わる新たな猶予制度の創設

重要建議項目2。

特例措置は令和9年12月末日で適用期限を迎えます。一方の一般措置は要件が厳しく利用しにくいというのが実務の共通認識で、実際の利用は低調です。このままでは、事業承継せずに廃業する企業が増える可能性がある、というのが建議書の問題意識です。

建議書は、中小企業を取り巻く現実として、大企業や外資への買収・統合の増加(経済安全保障上の懸念)、後継者不足等による廃業(地域経済の弱体化、雇用減少)、特定資産を多額に保有する企業への適用(富裕層優遇との指摘)を挙げています。

そのうえで求めているのが、次の内容の新制度です。

  • 納税猶予の適用対象資産を事業用資産に限定する(富裕層優遇批判への正面からの応答)
  • 贈与または相続後、一定期間(例えば5年から7年)要件を満たした場合に、猶予適用額を免除する
  • 親族外承継における相続切替時に、受贈者単独で相続税の申告手続を行えるようにする
  • 都道府県と税務署に対する重複手続の簡素化
  • 新制度の案内を早期に行い、現行制度との選択を一定期間可能とする

注目すべきは2番目です。現行制度は「猶予を続ける限り免除されない、打ち切られたら全額+利子税」という構造で、後継者が生涯にわたって要件に縛られます。これに対し新制度案は、5〜7年で確定的に免除される期限付きの猶予です。使い勝手はまったく違います。

対象資産を事業用資産に限定する提案とセットで読むと、「広く薄く、多くの中小企業が普通に使える制度へ」という方向性が明確です。上記の評価見直しによる負担増の受け皿としても位置づけられており、重要建議項目1と2は一体の設計と見るべきでしょう。


【8点】相続で取得した非上場株式の発行会社譲渡に係る所得税の非課税措置

重要建議項目3。上記2項目と合わせて「非上場株式の三点セット」を構成します。

相続で多額の相続税が課された場合、納税資金を確保する目的で発行会社に株式を譲渡(金庫株)するケースは少なくありません。現行では、相続税の納税が発生し、かつ相続開始後一定期間内に発行会社へ譲渡した場合、みなし配当課税の特例により分離課税が適用されます。

しかし建議書は、物納であれば譲渡所得税が原則非課税であることとの比較を持ち出し、分離課税にとどまる現行制度では事業承継を躊躇させることがあると指摘。事業の継続等の一定要件のもとで、所得税を非課税とする措置の創設を求めています。

金庫株を納税資金対策に使う場面は実務で頻繁にあり、実現すれば効果は大きい項目です。


【7点】消費税の複数税率の廃止と直接給付/給付付き税額控除の給付一本化

重要建議項目4・5。ただし、現実の政策はすでに別の方向へ動き出しています。

建議書は、複数税率制度について、①高額な食料品購入時に恩恵が大きく中低所得者支援としては非効率、②間接経費にかかる消費税相当額が本体価格に上乗せされ消費者段階の価格は下がらない可能性、③区分経理等による事業者の事務負担増 ― を挙げ、生活者支援は対策が必要な者に直接給付される仕組みとすべきと述べています。課税対象を定性的に区分することが難しい消費税の制度内で対策する必要はない、という整理です。給付付き税額控除についても、申告手続を要件とすることによる給付もれの可能性を指摘し、税額控除方式ではなく所得に応じた給付制度への一本化を求めています。

一方、政府は令和8年8月5日の臨時閣議で「給付付き税額控除の制度導入の基本方針」を決定しました。軽減税率対象の飲食料品について、令和9年4月1日から2年間、税率を8%から1%に引き下げ、秋の臨時国会での法案成立を待つ段階です。

建議書の主張と比べると、方向はむしろ逆です。複数税率という枠組みを維持したまま、その税率を動かす設計であり、区分経理の事務負担はなくなりません。それどころか、8%→1%→(2年後に)8%と短期間に税率が二度動くことになり、レジ・請求システムの改修、経過措置の判定、記帳と申告の実務負担は確実に増えます。建議書が指摘した「事業者の事務負担」という論点は、解消されるどころか当面重くなる見込みです。

建議書の主張自体の正しさとは別に、実務対応としては令和9年4月に向けた準備が現実的なテーマになります。


【7点】「特定非常災害により生じた損失」の控除順序の見直しと繰戻還付制度の創設

重要建議項目8。点数は本来お客様への影響度で付けていますが、この項目については当地の事情もあり、独立した項目として取り上げます。

私自身、阪神・淡路大震災の後に被災された方の税務相談に携わった経験があります。この地域で仕事をしている税理士にとって、災害税制は抽象的な論点ではありません。

建議の内容

雑損控除は、災害など納税者の意思に基づかない偶発的な損失による担税力の減少に配慮し、その損失額を所得金額から控除する制度です。損失発生年に控除しきれない額は、翌年分以後の所得金額から控除されます。

建議書は、ここに2つの問題があると指摘しています。

第一に、控除の順番です。 雑損控除は他の所得控除に先行して適用されます。そのため被災年度において、扶養控除や配偶者控除といった人的控除が控除しきれずに消えてしまう場合があり、被災者等の損害に対する税負担の軽減が限定的になります。建議は、災害損失以外の所得控除を先に適用し、最後に特定非常災害により生じた損失に係る雑損控除を適用するよう順番を改めることで、被災者の負担軽減と控除機会の拡大を図るべきとしています。

第二に、繰戻還付制度がないことです。 特定非常災害に係る純損失について、繰戻しによる還付制度は整備されていません。建議は、災害が生じた年分の純損失額について、申告期限の延長と組み合わせた繰戻し還付制度を検討すべきとしています。

なぜこの2点が実務上重い意味を持つか

法人には、災害のあった日以後1年以内に終了する事業年度に災害損失欠損金額がある場合、その事業年度開始の日前1年(青色申告書の場合は2年)以内に開始した事業年度の法人税額のうち対応部分の還付を請求できる制度があります。仮決算による中間申告での還付もあります。個人についても、青色申告者の通常の純損失には前年への繰戻還付制度があります。しかし建議書が問題としているのは、特定非常災害について、災害年に生じた純損失を過年度へ繰り戻し、被災直後の資金還付につなげる特別な制度が恒久制度として整備されていないことです。

被災直後に必要なのは、将来の所得から控除できる権利ではなく、今この時点の現金です。繰越控除は「これから所得が出れば税負担が軽くなる」という話であって、住まいと生業を同時に失った方にとっては遠い。一方、繰戻還付はすでに納めた税金が戻ってくる制度であり、復旧資金として直接機能します。

控除順序の問題も同じです。被災年度に人的控除が空振りに終われば、扶養家族を抱えた世帯ほど制度の恩恵を取り逃がすことになります。順番を入れ替えるだけで結果が変わるのであれば、これは技術的な微修正ではなく、実質的な救済の幅の問題です。

毎回、「災害減免法と臨時の特例措置」で凌いできた

被災された方への所得税の手当ては、実務上、①所得税法の雑損控除、②災害減免法(災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律)による所得税の軽減免除、のいずれか有利な方を選ぶ、というのが基本形です。ただし災害減免法には、住宅または家財の損害額が価額の2分の1以上であること、その年分の合計所得金額が1,000万円以下であることといった要件があり、しかもその年限りの措置で、繰越はできません。

そして大きな災害が起きるたびに、これらとは別に臨時の特例法が制定されてきました。

阪神・淡路大震災は1月17日の発生でした。そのため特例法により、平成7年に生じた震災損失を平成6年分の損失として扱うことが認められました。被災直後の時期に前年分の所得税を還付し、手元に資金を戻すための措置です。私自身、当時の被災者相談でこの特例を扱いました。

同じ発想の手当ては、その後の災害でも繰り返されています。令和6年能登半島地震も1月1日の発生でしたが、やはり特例法により、その損失を令和5年分の所得税および令和6年度分の個人住民税の計算において雑損控除の対象とすることができるとされました。東日本大震災でも震災特例法が制定され、雑損控除や災害減免法の適用範囲を拡大する規定が置かれています。

特定非常災害の指定制度が設けられ、繰越期間の延長など恒久措置化も進んではいますが、基本の枠組みは「既存制度+その都度の特例」のままです。

この構造には限界があります。特例法は災害の後に作られるため、被災直後に現場が最も知りたい「今回は何が使えるのか」に即答できません。避難所や相談窓口で向き合う相手は、制度が固まるのを待ってはくれません。

そして注目したいのは、阪神・淡路のときに行われた「前年分に遡って損失を反映し、納めた税金を戻す」という手当てが、まさに今回の建議が求める繰戻還付と同じ発想だという点です。過去に納めた税金を被災直後に戻す仕組みは、災害が起きてから特例法で組み立てるのではなく、恒久制度としてあらかじめ備えておくことに大きな意味があります。

控除の順番や繰戻還付のように、どの災害でも同じように問題になる論点は、その都度の特例ではなく恒久制度として先に手当てしておくべきです。今回の建議が求めているのは、まさにそこだと読んでいます。

実現可能性

この分野には、建議が実際に動いた実績があります。令和5年度税制改正では、特定非常災害による損失に係る雑損失および純損失の繰越期間の延長が実現しました。建議書自身が過去の実現項目として挙げています。

派手な項目ではありませんが、次に大きな災害が起きたとき、被災地の税理士が手持ちの制度で何ができるかを左右します。ぜひ実現してほしい項目です。


その他の項目 ― 重要度一覧

重要度項目内容と実務上のポイント
7点準確定申告書の提出期限の見直し(項目12)相続開始を知った日の翌日から4か月→10か月(相続税申告期限と同一)へ。核家族化で被相続人の所得把握が困難な現状、3か月以内の相続放棄の検討との重複を理由とする。実現すれば相続業務の段取りが変わる
6点消費税の基準期間制度の廃止(項目23)当年(当課税期間)の課税売上高で納税義務を判定。簡易課税も事前届出制から**確定申告書提出時の選択(事後届出制)**へ。届出実務が根本から変わる大改正提案
6点インボイス特例措置の延長(項目26)個人事業者の3割特例を一定の上限付きで令和11年以降も継続、少額特例は令和11年9月30日の期限に向け延長検討。小規模事業者の関与先に直結
6点所得税の確定申告期限の延長(項目11)3月15日→3月31日。日税連主催で国税庁・総務省・主税局オブザーバーによる勉強会が既に立ち上がっている。住民税賦課決定など後続事務の負担軽減とセットで検討
5点中小企業者等の法人税率の特例の延長(項目7)年800万円以下の所得に対する15%の軽減税率の維持。ほぼ毎年の建議項目で、実現実績もある
5点役員給与税制の見直し(項目14)業績悪化改定事由の要件緩和、新設法人の定期同額給与判定(設立後3月ルール)の柔軟化、事前確定届出給与の支給時期に数日の弾力性、業績連動給与の損金算入要件緩和。実務でつまずきやすい論点が並ぶ
5点少額減価償却資産の取得価額基準の引上げ(項目17)大企業・中小企業・個人事業者を問わず一律60万円未満へ。法人税基本通達7-8-4の修繕費60万円基準との整合が根拠。令和8年度改正で中小特例が40万円に引き上げられたのに続く提案
4点相続税・贈与税の連帯納付義務の廃止(項目32)自らは適正に納税した相続人が、自己の意思によらず共同相続人の納税責任を負う点を問題視
4点償却資産課税制度の抜本的見直し(項目36)固定資産税からの分離、国税の減価償却制度との評価統一、申告納税方式の採用、免税点方式から基礎控除方式への変更。課税標準300万円未満が納税義務者の72.5%を占めるのに課税標準額では全体の1.9%にすぎないというデータを提示
3点資本的支出に係る耐用年数の見直し(項目2)耐用年数短縮制度に、既存資産の経過年数を考慮した耐用年数で償却する方法を追加
3点源泉所得税制度の見直し(項目7・所得税)納付期限を翌月10日→翌月末日、納期特例を承認申請から届出制へ、報酬・料金等にも納期特例を
3点少子化対策の税制面での検討(項目9)年少・高校生世代の扶養親族に係る所得控除と給付の併用、配偶者の就業調整対策、教育支出への税制支援
3点地方税務行政事務の生産性向上(項目6)給与支払報告書・確定申告書の書式見直し。「地方自治体は入力作業ではなく、不完全なデータから真実を推理・判断する作業に忙殺されている」という指摘が印象的

まとめ ― 今年の建議書をどう読むか

今年度の建議書を通して読むと、重要建議項目1・2・3が非上場株式をめぐる一体の設計になっていることがわかります。

評価の適正化(項目1)で株価が上がる方向の見直しを受け入れつつ、その負担増を、事業用資産に限定した使いやすい猶予・免除制度(項目2)と、納税資金確保のための金庫株非課税(項目3)で受け止める。そして項目1の第4項で、斟酌率が担ってきた政策的機能の代替を明示的に要求する。この三層構造が、今年の建議書の中核です。

そのうえで、租税回避スキームへの対応と税理士法の抵触関係の明確化が別に置かれている。評価ルールが歪められた原因への対処と、真面目に承継に取り組む企業への支援を、切り分けて論じる姿勢だと読み取れます。

建議書の建議項目は、過去にも相当数が実現しています。令和8年度ではインボイス特例措置の対象見直しと期限延長、少額減価償却資産の取得価額基準の引上げなど、令和7年度では基礎控除の引上げ、中小企業者等の法人税率特例の延長などが実現しました。9月から11月にかけて政党ヒアリングでの意見表明が行われ、12月に与党税制改正大綱が決定します。

非上場株式の評価については、令和9年度税制改正大綱に盛り込まれる可能性が高い状況です。自社株の評価が関わるお客様は、令和9年中の対応を視野に、早めのご相談をおすすめします。


ご相談窓口

税理士法人松野茂税理士事務所 〒660-0861 尼崎市御園町24 尼崎第一ビル7F(阪神尼崎駅徒歩1分) TEL 06-6419-5140 / FAX 06-6423-7500

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