8回【尼崎の税理士が解説】店舗付き住宅・間貸し住宅の3,000万円控除|居住部分の判定と配偶者贈与の注意点

税理士法人松野茂税理士事務所間貸しや店舗付きに変更する場合|居住用財産3,000万円控除の判断及び贈与の場合

自宅を売却する場合、一定の要件を満たせば「居住用財産の3,000万円特別控除」を使うことができます。

しかし、自宅の一部を店舗として使っていた場合や、友人・知人に間貸ししていた場合には、建物全体が居住用財産として扱われるとは限りません。

店舗部分・賃貸部分・居住部分をどのように区分するか、居住部分の割合がどれくらいか、譲渡時点でどのように使われていたかによって、3,000万円控除の対象範囲が変わります。

また、売却前に自宅の一部を配偶者へ贈与していた場合にも注意が必要です。贈与者・受贈者それぞれの持分について控除を検討できる場合がありますが、贈与前から売却が予定されていた場合には、居住の意思がなかったとして問題になる可能性があります。

この記事では、店舗併用住宅、自宅の一部間貸し、転勤後の売却、配偶者への贈与後の売却について、居住用財産の3,000万円特別控除の判断ポイントを税理士がQ&A形式で解説します。

目次

店舗併用住宅・間貸し住宅は居住部分の割合が重要

結論として、自宅の一部を店舗や賃貸として使っていた場合でも、居住用財産の3,000万円特別控除を検討できる場合があります。

ただし、原則として控除の対象になるのは居住部分に対応する部分です。

居住部分の割合が90%以上であれば、全体を居住用として取り扱える場合がありますが、居住部分が90%未満の場合には、店舗部分・賃貸部分を区分して判断する必要があります。

そのため、店舗付き住宅や一部間貸し住宅を売却する場合は、床面積、利用実態、賃貸期間、譲渡時点の状況を整理しておくことが重要です。


Q1. 自宅の一部を店舗としている場合、控除は使えますか?

A.
店舗併用住宅の場合、原則として居住部分に対応する部分のみが控除対象です。
しかし、居住割合が90%以上であれば、建物全体を居住用とみなして
「3,000万円特別控除」を全額適用することができます。

📘 根拠
・措置法35条3項
・措置法通達35-2(居住部分の判定)

例:

  • 延床100㎡のうち90㎡が居住部分 → 全体に3,000万円控除OK
  • 延床100㎡のうち70㎡が居住部分 → 居住部分70%のみ対象

Q2. 自宅の一部を間貸ししていた場合は?

A.
一部を他人に貸していた場合でも、自分の居住部分については控除が可能です。
ただし、判定の基準となる時期に注意が必要です。

判定時期の違いによる取扱い

判定時期内容結果
住まなくなった直前転勤などで退去前は全体を自宅として使用全体を「居住用」として扱える場合あり
譲渡直前一部を貸していた状態で売却居住部分のみ3,000万円控除/賃貸部分は事業用特例の対象

つまり、「譲渡直前」に他人に貸している場合、
居住用部分と賃貸部分を区分して特例を併用することになります。
(例:①居住用部分=3,000万円特別控除、②賃貸部分=事業用資産の買換特例)

📘 根拠
・措置法35条3項、31条の3(事業用資産の買換)
・国税庁質疑応答事例(居住部分と事業部分の判定)


Q3. 転勤などで住まなくなった後に売却した場合も使えますか?

Q3. 転勤などで住まなくなった後に売却した場合も使えますか?

A.
「居住の用に供しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に譲渡すれば、
引き続き3,000万円特別控除を使えます。

転勤・介護・老人ホーム入居などのやむを得ない事情がある場合も認められます。

📘 根拠:措置法35条3項ただし書き、通達35-3
「やむを得ない事情により居住を継続できなかった場合を含む」


Q4. 自宅の一部を配偶者に贈与していた場合は?

Q4. 自宅の一部を配偶者に贈与していた場合は?

A.
配偶者への贈与(おしどり贈与)後に売却した場合、
贈与者・受贈者ともに自分の持分について特別控除が適用可能です。

ただし、贈与前から売却予定があった場合は「居住の意思なし」とされ、
否認された裁決例もあるため注意が必要です。


まとめ

ケース控除の可否判定基準・注意点
店舗併用住宅(居住割合90%以上)全体OK居住割合で判断
店舗併用住宅(居住割合90%未満)居住部分のみ店舗部分は事業用扱い
一部間貸し居住部分のみ判定時期により異なる
転勤・老人ホーム3年以内の譲渡でOK居住継続の意思を確認
配偶者への贈与後の売却各自の持分に適用可売却予定の贈与は否認リスク

🧭 結論

「自宅の一部を間貸し」「店舗付き住宅」など、居住と事業・賃貸の混在
3,000万円特別控除の中でも判断が分かれやすいポイントです。

最終的には、

  • いつまで居住していたか
  • 居住部分の割合がどれくらいか
  • 譲渡時点での利用実態

を整理し、適用条文(措置法35条/31条の3)を正確に選択することが重要です。

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