17回 空き家特例と家屋取り壊しのタイミング|令和5年改正後の注意点を尼崎の税理士が解説

税理士法人松野茂税理士事務所 17回 尼崎の税理士が解説|空き家特例と家屋取り壊し
目次

はじめに

相続した実家や空き家を売却する際に活用できる「空き家特例」は、一定の要件を満たすことで譲渡所得から最大3,000万円を控除できる重要な制度です。

特に実務で判断に迷いやすいのが、家屋をいつ取り壊すべきかという「取り壊しのタイミング」です。売買契約前に相続人が取り壊す場合、契約後から引渡しまでに取り壊す場合、また令和5年改正により認められるようになった「買主が譲渡後に取り壊す場合」では、確認すべき要件が異なります。

尼崎で相続税申告や不動産売却に関するご相談を受けている税理士の立場から見ても、空き家特例は、契約書の記載内容や解体工事の完了時期を誤ると、3,000万円控除が使えなくなる可能性がある注意点の多い制度です。

この記事では、空き家特例と家屋取り壊しのタイミングについて、令和5年改正後の取扱いを踏まえ、ケース別にわかりやすく解説します。



    ① 売買契約前に相続人が取り壊した場合

    従来から認められていた方法です。
    相続人が家屋を取り壊して更地にした上で譲渡した場合、空き家特例の適用があります。


    ② 売買契約後に相続人が取り壊した場合

    売買契約後であっても、引渡しまでに相続人が取り壊した場合は、譲渡のための除却と認められ、特例の適用があります。


    ③ 買主が引渡し後に取り壊した場合(改正前の取扱い)

    従来はこのケースでは特例適用は認められませんでした。
    「譲渡までに相続人が取り壊す必要がある」とされていたためです。


    ④ 買主が翌年2月15日までに取り壊し・耐震改修をした場合(令和5年改正後)

    令和5年改正で導入された 「第3号方式」 により、
    売買契約時に「買主が譲渡後に家屋を取り壊す(または耐震改修を行う)」旨の特約を定め、
    譲渡日の属する年の翌年2月15日までに工事を完了すれば、空き家特例の適用が可能になりました。

    👉 これにより、「家屋を残したまま売却 → 買主が解体・耐震改修」の流れも、条件を満たせば特例利用が可能です。


    ⑤ 母屋だけ取り壊し、駐車場などを残した場合(条文と実務解釈)

    租税特別措置法第35条の3第1項では、対象を

    「当該被相続人居住用家屋又はその敷地等」

    と規定しています。

    ここでいう「被相続人居住用家屋」とは、被相続人が実際に居住していた建物(母屋)のみを指すのが実務上の解釈です。
    したがって、母屋を取り壊せば「居住用家屋の除却」の要件を満たします。

    一方、同じ敷地に 駐車場・物置・舗装部分などが残っていても、それらは「居住用家屋」には該当しない ため、特例適用には支障ありません。

    👉 ポイントは「居住用家屋=母屋」であり、母屋を取り壊していれば空き家特例の適用が可能になるということです。


    ⑥ まとめ

    • 相続人が契約前・引渡し前に取り壊した場合 → 特例あり
    • 買主が引渡し後に取り壊しただけ(改正前) → 特例なし
    • 令和5年改正後は、契約特約を設け、翌年2月15日までに買主が取り壊し又は耐震改修を完了した場合 → 特例あり
    • 母屋のみ取り壊し、駐車場や物置が残っても「居住用家屋」は母屋に限られるため特例あり

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