固定資産税通知書が届いたら確認すべきこと|相続不動産・空き家・共有の注意点を尼崎の税理士が解説

固定資産税通知書が届いたら確認すべきこと|相続不動産・空き家・共有の注意点を尼崎の税理士が解説

目次

はじめに

毎年4月から5月頃になると、「固定資産税・都市計画税納税通知書」が届きます。「税額を確認して終わり」にしていませんか?

実は、固定資産税の通知書は、相続した不動産・空き家・名義変更未了の実家・共有不動産といった問題が潜んでいないかを確認する大切な機会です。

弊事務所では、この機会に改めて確認していただきたいテーマを4回シリーズで解説しました。本記事では、第1回〜第4回の内容をダイジェスト形式でご紹介します。ご関心のあるテーマは、各回の詳細記事もあわせてご覧ください。


第1回:固定資産税通知書が届いたら確認したい3つのポイント

→ 詳細記事:固定資産税通知が来たら確認したいポイント【第1回】評価・税額のチェック方法


スタッフ: 先生、毎年この時期に固定資産税の通知が届きますが、税額を確認して納付するだけでよいのでしょうか?

先生: それだけでは不十分です。通知書(課税明細書)には、評価額・課税標準額・住宅用地特例の適用状況・名義など、重要な情報が記載されています。少し時間をとって確認する習慣をつけると、課税誤りや適用漏れを発見できることがあります。

スタッフ: 具体的には何を見ればよいですか?

先生: まず3つのポイントを押さえてください。

① 名義(所有者)は正しいか 固定資産税は「台帳課税主義」をとっており、課税台帳に登録された名義人が納税義務者です。相続後に名義変更が済んでいないと、亡くなった方の名前のまま通知が届くことがあります。

② 評価額(価格)の水準は適切か 土地は地価公示価格等の7割を目途に、家屋は再建築価格をもとに評価されます。3年に一度の評価替えのタイミングで大きく変わることがあるため、前年と比べることが重要です。

③ 住宅用地特例が正しく適用されているか 住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」により、課税標準額が大幅に軽減されています(小規模住宅用地は評価額の1/6)。建物の取り壊し・用途変更・空き家の放置などがあると、この特例が外れ税額が跳ね上がることがあります。

スタッフ: 見落としやすいケースはありますか?

先生: 実務でよく見かけるのは、①相続後の名義変更未了、②建物解体後に住宅用地特例が外れていないケース、または住宅があるのに誤って特例が外れているケース ③用途・地目の誤登録、④新築住宅の減額期間終了による税額急増、⑤バリアフリー・省エネ改修の申告漏れです。通知書と前年分を比べて変動があれば、理由を確認することをおすすめします。


第2回:「通知だけ来る実家」を放置してはいけない理由——相続登記義務化と2027年問題

→ 詳細記事:相続登記義務化と「通知だけ来る実家」の問題【第2回】3年以内の申請と過料リスク


スタッフ: 「通知だけ来る実家」というのはどういう状態ですか?

先生: 固定資産税の納税通知書は届いて税金も払っているが、不動産の登記名義が亡くなった親や祖父母のままになっている状態です。「とりあえず税金を払っているから大丈夫」と思いがちですが、登記が整理されていない限り、権利関係は宙に浮いたままです。

スタッフ: 放置するとどうなりますか?

先生: 大きく5つのリスクがあります。売却や担保設定ができない、次の相続が発生するたびに相続人が増え続ける(数次相続)、差し押さえや収用時に対応できない、住宅用地特例の適用が不安定になる、そして新たな義務の連鎖が生じる——という問題です。

スタッフ: 令和6年から相続登記が義務化されたと聞きましたが、詳しく教えてください。

先生: 令和6年(2024年)4月1日から、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記申請することが義務付けられました。正当な理由なく放置した場合、10万円以下の過料の対象となります。

重要なのは、令和6年以前の古い相続も対象になる点です。「昔の相続だから関係ない」という認識は誤りです。施行日(令和6年4月1日)時点で未登記の不動産については、3年間の猶予が設けられており、実質的な期限は令和9年(2027年)3月31日となります。

スタッフ: 遺産分割がまとまっていない場合はどうすればよいですか?

先生: 令和6年4月に新設された「相続人申告登記」という制度があります。遺産分割が整っていない段階でも、自分が相続人であることを法務局に申告するだけで、ひとまず義務を果たしたとみなされます。分割が確定した後、改めて3年以内に本登記を行う必要がありますが、「つなぎ」として有効な方法です。実家の名義が亡くなった方のままになっている方は、今すぐ確認することをおすすめします。


第3回:空き家を放置すると固定資産税が最大6倍になる——管理不全空家・特定空家の仕組み

→ 詳細記事:空き家放置のリスクとは?固定資産税6倍・近隣トラブル・管理責任【第3回】

住宅用地特例が外れると、小規模住宅用地では固定資産税の課税標準が評価額の6分の1から本来の水準に戻るため、税負担が大きく増えることがあります。一般に「固定資産税が最大6倍」と説明されることもありますが、実際の税額は都市計画税や負担調整措置により異なります。


スタッフ: 「空き家の固定資産税が6倍になる」という話をよく聞きますが、どういう仕組みですか?

先生: 住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」(小規模住宅用地は評価額の1/6)が適用されています。この特例が外れると、課税標準額が評価額そのものになるため、単純計算で最大6倍の税額になります。

特例が外れるのは、建物を取り壊して更地にした場合だけではありません。令和5年の空家法改正により、市町村から「管理不全空家」として勧告を受けた土地についても、住宅用地特例が除外されるようになりました。

スタッフ: 「管理不全空家」と「特定空家」はどう違うのですか?

先生: 段階が異なります。「管理不全空家」は、そのまま放置すれば特定空家になるおそれがあると市町村が認める状態です。雑草の繁茂・窓ガラスの破損・外壁の傷みなどが該当します。指導を経て改善されない場合に勧告が出され、この勧告を受けた翌年度から住宅用地特例が外れます

特定空家」はさらに深刻な状態で、倒壊の危険・衛生上の問題・著しい景観悪化などに該当します。指導・勧告・命令・代執行(強制撤去)という段階的な措置が取られます。

スタッフ: 税金以外のリスクもありますか?

先生: あります。老朽化した外壁や屋根材の飛散・倒壊による損害賠償責任(民法717条)、害虫・害獣の発生による近隣トラブル、不審者の侵入リスクなど、税金以外の問題も深刻です。また、「住んでいなかったから管理できなかった」という言い訳は法律上通じません。所有者には管理責任があります。

スタッフ: 空き家をどう処分するか迷っている場合はどうすればよいですか?

先生: 売却・賃貸・空き家バンク登録・解体のうえ土地活用・管理委託、という5つの選択肢があります。中でも相続した実家の売却については「空き家の3,000万円特別控除(空き家特例)」という税務上の優遇措置があります(令和9年12月31日まで)。適用要件が細かいため、売却前に必ず税理士に相談することをおすすめします。なお、令和6年以後の譲渡では、相続人の数が3人以上の場合、控除額が1人あたり2,000万円となる点にも注意が必要です。


第4回:相続で不動産が共有になったとき——「とりあえず共有」が招くトラブルと解決策

→ 詳細記事:相続で共有になった不動産をどうするか【第4回】売却・分割・放置のリスクと対処法


スタッフ: 相続で不動産を「とりあえず兄弟で共有」にしておくのは、よくあることですよね?

先生: よくありますが、おすすめできません。共有不動産は一見「公平で無難」に見えますが、時間が経つほど問題が複雑になります。「とりあえずの解決策」ではなく、「問題の先送り」です。

スタッフ: 共有のどこが問題なのですか?

先生: 最大の問題は意思決定ができない点です。民法の規定上、共有不動産の全体的な売却には共有者全員の合意が必要です。一人でも反対すれば売れません。また、賃貸借契約の締結や大規模修繕なども、持分の過半数または全員の合意が必要になる場面が多く、動きが取れなくなります。

固定資産税については連帯納付義務があり、誰かが滞納しても他の共有者が全額を支払わなければなりません。「自分の持分分しか払わない」という主張は通りません。

スタッフ: 実際にどんなトラブルが起きますか?

先生: 実務でよくあるのは、①兄弟間で売却の意見が割れて何年も膠着する、②共有者の一人の持分が見知らぬ第三者(専門の持分買取業者など)に渡る、③共有者が音信不通・所在不明になって売却も修繕も進まない、④次の相続で共有者が一気に増える——といったケースです。最初は兄弟だけの共有でも、二次相続・三次相続が重なると、甥・姪・配偶者など面識のない親族が共有者に加わり、収拾がつかなくなります。

スタッフ: 共有を解消する方法を教えてください。

先生: 大きく4つあります。

① 換価分割(全体を売却して代金を分配):全員合意が前提ですが、最もシンプルな方法です。 ② 代償分割(一人が他の共有者の持分を買い取る):実家に住み続けたい方がいる場合に有効です。 ③ 現物分割(土地を分筆して各自が単独所有):面積・形状・接道状況によって調整が必要です。 ④ 共有物分割請求訴訟(裁判による強制解消):合意が得られない場合の最終手段ですが、競売になると売却価格が低くなるリスクがあります。

スタッフ: 税務上の注意点はありますか?

先生: 売却する場合は各共有者が持分に応じた譲渡所得を申告する必要があります。相続した実家の場合は「空き家の3,000万円特別控除」の適用も検討できます。また、小規模宅地等の特例は、相続税申告期限(相続開始から10か月以内)までに遺産分割が確定していないと適用できません。「共有にしておけばいい」という先送りが、本来受けられる特例を失う原因になることがあります。

早期に対応することが、関係者全員にとって最良の結果をもたらします。


まとめ:通知書を受け取ったら、今すぐ確認したい4つのポイント

確認事項問題がある場合のリスク詳細
名義・評価額・特例適用課税誤り・特例漏れによる税額増第1回
登記名義が故人のまま相続登記義務違反・過料・数次相続第2回
空き家の放置固定資産税最大6倍・損害賠償・行政代執行第3回
共有不動産の未整理売却不能・共有者増加・特例失効第4回

固定資産税の通知書は、毎年一度の「不動産の棚卸し」の機会です。特に相続が発生した後、空き家や共有不動産を抱えている方は、現状を整理するところから始めてみてください。


ご相談は税理士法人松野茂税理士事務所まで

弊事務所では、固定資産税の確認・相続税申告・相続不動産の売却に伴う税務・共有解消の税務判断まで、幅広くご相談をお受けしています。提携する司法書士・弁護士・不動産会社との連携によるワンストップ対応も可能です。

「何から手をつければいいかわからない」という段階からお気軽にご相談ください。

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本記事は各回の詳細解説のダイジェストです。個別の税務判断については、必ず専門家にご相談ください。

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