固定資産税通知が来たら確認したいポイント【第1回】評価・税額のチェック方法

固定資産税通知が来たら確認したいポイント【第1回】

毎年春になると、自宅や事業所に「固定資産税・都市計画税納税通知書」が届きます。封を開けて金額だけ確認し、そのまま納付している方がほとんどではないでしょうか。しかし、この通知書には見るべきポイントがいくつかあり、確認を怠ると本来より高い税額を払い続けるリスクがあります。

今回は、納税通知書を受け取ったときに「まず何を見るべきか」を、土地・家屋・償却資産のそれぞれについて、実務上のポイントを交えながら解説します。

固定資産税の評価や税額に疑問がある方は、
尼崎の税理士法人松野茂税理士事務所までご相談ください。


目次

固定資産税の納税通知書が届く時期と基本構造

届く時期

固定資産税の納税通知書は、毎年4月から5月にかけて、固定資産の所在する市町村から送付されます(東京都23区内は都から)。

賦課期日は1月1日

固定資産税は、その年の1月1日(賦課期日)時点の所有者に対して課税されます。たとえば、1月2日以降に売却した場合でも、その年度の税金は1月1日時点の所有者に課されます。年の途中で不動産を売買した場合、売買契約において日割りで精算するのが一般的ですが、法的な納税義務はあくまで賦課期日の所有者にある点を押さえておく必要があります。

通知書の基本構造

納税通知書に同封される「課税明細書」には、課税対象ごとに次の事項が記載されています。

土地の場合 所在・地番・地目・地積・価格(評価額)・課税標準額・軽減税額

家屋の場合 所在・家屋番号・種類・構造・床面積・価格(評価額)・課税標準額・軽減税額

税額は、原則として「課税標準額 × 税率1.4%」で計算されます。評価額と課税標準額が異なる場合があることに注意が必要です(後述の住宅用地特例などにより、課税標準額が評価額より低くなるケースがあります)。


まず確認したい3つのポイント(名義・評価額・課税標準)

ポイント① 名義(所有者)は正しいか

固定資産税は「台帳課税主義」を採用しており、固定資産課税台帳に登録された名義人が納税義務者となります。実務上、以下のようなケースで名義の誤りや時代遅れの情報が残っていることがあります。

  • 相続後に名義変更が未了のケース :被相続人名義のまま課税通知が届くことがある
  • 売買後の登記が遅延しているケース :登記簿上の前所有者に通知が届く
  • 共有物件のケース :共有持分の割合と課税内容が一致しているか確認が必要

なお、相続があった場合、賦課期日後に被相続人が死亡したときは相続人が納税義務を承継します。相続人が複数いる場合は、民法の相続分に応じて按分した額を各自が納付する形となり、連帯納税義務にはなりません(地方税法9条)。

一方、土地・建物の共有物件については連帯納付義務があり(地方税法10条の2)、取り扱いが異なる点に注意が必要です。

ポイント② 評価額(価格)の水準は適切か

「価格」欄に記載されているのが固定資産評価額です。この評価額が課税の基礎となります。

評価額の基本的な考え方は次のとおりです。

  • 土地:地価公示価格等の7割を目途に評価(平成6年度評価替えから導入)
  • 家屋:再建築価格(今その場所に同じものを新築したらいくらかかるか)に、経年減点補正率を乗じて評価。最低限度は再建築価格の20%
  • 償却資産:取得価額から経年による減価を控除。最低限度は取得価額の5%

評価額は3年に一度(土地・家屋)または毎年(償却資産)見直されます。直近の基準年度は令和6年度です。評価替えのタイミングで評価額が大きく変わることがあるため、前年との比較は重要な確認事項です。

ポイント③ 課税標準額と軽減・特例の適用状況

評価額がそのまま課税標準となるとは限りません。住宅用地の特例や負担調整措置により、課税標準額が評価額を下回っているケースが少なくありません。

課税明細書で「評価額」と「課税標準額」を比較し、差がある場合はどの特例が適用されているかを確認しましょう。差がないはずなのに差がある場合、または差があるはずなのに同額になっている場合は、特例の適用漏れや誤りの可能性があります。

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土地と家屋で見方が違う理由

固定資産税の評価方法は、土地・家屋・償却資産でそれぞれ異なります。それぞれの特性に合わせた評価が行われているためです。

土地の評価:地価動向と路線価

土地の評価は、地目別に売買実例価額等を基礎として算定されます。宅地については地価公示価格等の7割を目途とすることとされており、評価額は地価の動向を反映します。

評価替えは3年ごとですが、第二年度・第三年度においても地価が下落した場合は価格の修正が行われます。一方で地価が上昇した場合は基準年度の価格が据え置かれるため、周辺地価の動向と乖離が生じることがあります。

また、土地については「負担調整措置」という仕組みがあり、評価額に対する税負担が急激に上昇しないよう、課税標準額が段階的に調整されています。

家屋の評価:再建築価格と経年減価

家屋は、再建築価格(現在の建築費)に経年減点補正率を乗じる方法で評価されます。

注目すべき点として、評価の基礎となる再建築価格は「建てた当時の建築費」ではなく「今その場所に同じ建物を新築した場合の費用」である点です。したがって、建築費の物価水準が上昇した局面では、古い建物であっても評価額が上がることがあります(令和6年度評価替えではこのケースが問題となりました)。

また、経年減点補正率には**下限(最小値0.2)**が設けられており、何年経っても評価額が0円になることはありません。これは、老朽化した建物であっても消火活動等の行政サービスを受けるという受益関係が残るためです。

用途区分の確認が重要

土地については「地目」、家屋については「種類・構造・用途」が正確に把握・登録されているかの確認も必要です。たとえば、住宅として使用している建物が「倉庫」と登録されていれば、住宅用地特例が適用されない可能性があります。


住宅用地特例とは何か(簡単に理解する)

特例の概要

住宅用地については、課税標準を大幅に軽減する特例措置が設けられています。

区分軽減内容
小規模住宅用地(200㎡以下の部分)課税標準額 = 評価額 × 1/6
一般住宅用地(200㎡超の部分)課税標準額 = 評価額 × 1/3

たとえば評価額3,000万円の住宅用地(200㎡以下)であれば、課税標準額は500万円となり、固定資産税は7万円(500万円×1.4%)になります。特例が適用されなければ42万円(3,000万円×1.4%)となるため、この特例の有無は税額に非常に大きな影響を与えます。

特例が適用される「住宅用地」とは

住宅用地特例が適用されるのは、専用住宅・併用住宅の敷地として使用されている土地です。住宅の床面積の10倍(上限は1,000㎡)までの土地が対象となります。

注意が必要なのは、建物が取り壊されたあとの更地や、空き家として放置されている土地については、特例が適用されなくなる可能性がある点です(後述)。

都市計画税にも同様の特例あり

固定資産税と並行して課税される都市計画税(市街化区域内の土地・家屋に課税)についても、住宅用地に対して同様の軽減措置(小規模:1/3、一般:2/3)が設けられています。課税明細書には固定資産税と都市計画税が一体で記載されている場合が多いため、両方の課税標準額を確認しましょう。


空き家の案内が同封されているケース

近年、納税通知書に「空き家に関するご案内」が同封されているケースが増えています。これは空き家対策特別措置法(空家法)に基づく取組みの一環です。

「特定空き家」等に指定されると住宅用地特例が外れる

空家法に基づき、市町村から「特定空き家」または「管理不全空き家」に指定・勧告を受けた土地については、住宅用地特例の適用が除外されます。

特定空き家等への勧告があった場合、翌年度からその土地は更地と同様の扱いとなり、課税標準額が評価額の**1/6から評価額そのもの(最大6倍)**に跳ね上がります。これは非常に大きな税負担の増加です。

相続した実家を放置しているクライアントなどがいる場合、案内書の確認と早期の対処を促すことが重要です。

空き家に関するご案内が届いたときの対応

同封の案内に「管理不全」「特定空き家」「勧告」などの文言がある場合は、速やかに市町村の担当窓口に相談するとともに、建物の活用・売却・解体の方向性を検討する必要があります。


よくある見落とし(名義・特例適用・用途)

実務でよく見かける確認漏れをまとめます。

見落とし① 相続後の名義変更未了

被相続人名義のまま通知が届いているケースでは、相続人間の遺産分割が未了であったり、法務局への相続登記が済んでいないことがあります。令和6年4月から相続登記が義務化されましたが、固定資産税の名義についても早期の整理が必要です。

見落とし② 住宅用地特例の適用漏れ

家屋を取り壊した後に土地を更地のまま所有している場合、住宅用地特例は原則として適用されません。一方、新たに住宅を建築中の土地については、一定の要件のもとで特例の適用が維持される場合があります。適用状況が正しいかどうか、課税明細書で確認が必要です。

見落とし③ 用途・地目の誤登録

市町村の課税台帳に登録されている地目・用途が実態と異なるケースがあります。特に農地から宅地に転用した土地や、複合用途の建物(1階が店舗・2階が住宅など)については、住宅部分と事業用部分の按分が正確に行われているかを確認しましょう。

見落とし④ 新築住宅の減額措置の期限切れ

新築住宅(家屋部分)については、一定期間、固定資産税が減額される措置があります。一般住宅は3年間(3階建以上の耐火・準耐火建築物は5年間)、税額が1/2に軽減されます。この減額措置には期限があり、期限を超えた年度から税額が通常に戻ります。急に税額が上がったように感じる場合は、まず減額期間が終了していないかを確認しましょう。

見落とし⑤ バリアフリー改修・省エネ改修の申告漏れ

耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修を行った住宅については、固定資産税の減額措置を受けることができます。ただし、市町村への申告が必要であり、申告しなければ自動的に適用されません。改修工事を行ったクライアントへの声掛けが重要です(なお、各減額措置は原則として他の減額と併用できませんが、バリアフリー改修と省エネ改修のみ併用可能です)。


判断に迷ったときの考え方

まずは課税明細書と前年分を比較する

評価額・課税標準額・税額を前年と比較することで、変動の原因を探ることができます。評価替えの年(3年ごと)でなく税額が大きく変わった場合は、特例の有無や名義の変更など、何らかの変動があった可能性があります。

疑義がある場合は縦覧・閲覧制度を活用する

市町村では、毎年4月1日から4月20日(または最初の納期限)までの間、同じ市町村内の全ての土地・家屋の価格を確認できる「縦覧制度」を設けています。自分の土地・建物の評価額と近隣を比較したい場合に活用できます。

また、評価の根拠となる詳細資料(評価調書・図面・評点数表など)は「課税標準の基礎資料」として各市町村に請求できます。表立って周知されていないことが多いため、個別に問い合わせることになりますが、評価額に不服を申し立てる際には不可欠の確認資料です。

不服がある場合の手続き

評価額(固定資産課税台帳に登録された価格)に不服がある場合は、固定資産評価審査委員会への審査の申出が必要です。評価額以外(住宅用地の認定など)については、市町村長への審査請求となります。

基準年度(令和6年度など)は全ての土地・家屋について審査の申出が可能ですが、翌年度(第二年度・第三年度)は新たな変動がある場合に限られます。

還付金の返還期間は原則5年(国家賠償請求の場合は最長20年)です。過去の課税誤りが判明した場合も、時効を意識した対応が求められます。


まとめ

固定資産税の納税通知書は「確認して終わり」にしがちですが、名義・評価額・特例適用の3点を丁寧に見るだけで、課税誤りや適用漏れに気づくことができます。

特に相続が発生した後や、建物の増改築・用途変更があった場合は、翌年の通知書を要注意で確認する習慣をつけることが大切です。

ご不明な点は、弊事務所(税理士法人松野茂税理士事務所・阪神尼崎駅徒歩1分)までお気軽にご相談ください。

固定資産税の通知書は、内容を確認することで
無駄な税負担を防げる可能性があります。

尼崎市で固定資産税や不動産に関するご相談は、
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本記事は、近畿税理士会「税法実務講座 固定資産税の概要と近年の改正事項」(野村宏子先生講義)および各市町村の公表情報を参考に、実務的観点から解説しています。個別の税務判断については専門家にご相談ください。

第1回(通知チェック)

第2回(登記義務化)

第3回(空き家)

第4回(共有)

目次