【令和8年度税制改正】個人事業者の消費税経過措置を徹底解説 | 2割・3割特例と簡易課税の選択届出時期

令和8年11月開業でも2割特例が使える?【令和8年度税制改正】個人事業者の消費税経過措置を徹底解説 | 2割・3割特例と簡易課税の選択届出時期

インボイス制度の開始により、これまで消費税の免税事業者だった個人事業主やフリーランスの方でも、インボイス登録をきっかけに消費税の申告・納税が必要になるケースが増えています。

その負担を軽くする制度として設けられたのが「2割特例」です。2割特例は、令和8年9月30日までの日の属する課税期間まで適用できる経過措置で、個人事業者の場合は令和8年分の申告まで対象になる可能性があります。

さらに、令和9年分・令和10年分については、個人事業者向けの新たな経過措置として「3割特例」が設けられています。ただし、3割特例は法人には適用されず、個人事業者であることや基準期間の課税売上高など、一定の要件があります。

また、2割特例・3割特例の終了後を見据えて、簡易課税制度を選択するかどうかも重要です。簡易課税制度を利用する場合には、消費税簡易課税制度選択届出書の提出時期にも注意が必要です。

なお、課税期間を短縮している場合は、通常の暦年課税とは取扱いが異なるため、課税期間ごとの確認が必要です。

この記事では、尼崎の税理士が、インボイス制度に伴う2割特例・3割特例の違い、個人事業者と法人の取扱い、令和8年分・令和9年分・令和10年分の注意点、簡易課税への切替え時期をわかりやすく解説します。


目次

Q1.そもそも「2割特例」「3割特例」とは何ですか?

スタッフ:先生、インボイス制度の「2割特例」と「3割特例」という言葉をよく聞くのですが、それぞれどういう制度なのか教えていただけますか?

先生:はい。まず2つの制度を整理しましょう。

■ 2割特例(インボイス発行事業者の負担軽減措置)

インボイス制度(令和5年10月1日施行)の導入に伴い、これまで消費税の免税事業者だった方がインボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)に登録した場合、消費税の納税が始まります。その負担を軽くするため、売上に係る消費税額の2割を納付税額とする経過措置が設けられました。これが「2割特例」です。

通常の本則課税や簡易課税の計算をせずに、売上税額×20%を納めればよいので、非常にシンプルです。

■ 3割特例(令和8年度税制改正・個人事業者限定)

2割特例は令和8年9月30日をもって終了します。しかし、小規模な個人事業者への配慮から、令和9年分・令和10年分の2年間については、売上に係る消費税額の3割を納付税額とする新たな経過措置「3割特例」が令和8年度税制改正大綱で盛り込まれました。

スタッフ:なるほど。2割から3割に少し増えるけれど、特例が続くということですね。

先生:そうです。3割特例は個人事業者限定で、法人は対象外です。この点が重要なポイントです。


Q2.各特例はいつからいつまで使えますか?

スタッフ:2割特例・3割特例の適用できる期間を具体的に教えてください。

先生:次の表で整理してみましょう。

特例の種類対象者適用できる課税期間(個人の場合)納税額の計算
2割特例個人・法人
(インボイス登録した免税事業者等)
令和5年分 ~ 令和8年分
(法令上は令和5年10月1日~令和8年9月30日の日を含む各課税期間)
売上税額 × 20%
3割特例個人事業者のみ
(法人は適用なし)
令和9年分・令和10年分の2年間のみ売上税額 × 30%

※ 令和11年分以降は、本則課税または簡易課税に移行することが前提となります。

スタッフ:個人事業者の場合、令和5年分から令和10年分まで、何らかの軽減特例が続くということですね。

先生:そのとおりです。ただし令和9年分・令和10年分の3割特例は、法律として成立した後に正式な規定が整備されます(令和8年度税制改正大綱に基づく予定)。適用要件など、最新の情報を確認しながら実務対応をすることが重要です。


Q3.令和8年11月に開業した個人事業者は「2割特例」を使えますか?

スタッフ:令和8年11月に開業してインボイス登録した個人事業者の場合、2割特例は使えるのでしょうか?2割特例の期限が「令和8年9月30日まで」となっているので、10月以降の開業では使えないのではないかと思ってしまいますが…。

先生:結論から言うと、令和8年11月に開業した場合でも、令和8年分について2割特例が適用できます。これは多くの方が誤解されやすい重要なポイントです。

理由を説明しましょう。2割特例の適用対象は「令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間」と定められています。個人事業者の課税期間は、開業月に関わらず1月1日から12月31日の暦年単位で固定されています。

令和8年11月に開業した場合でも、令和8年分の課税期間は「令和8年1月1日〜12月31日」です。課税期間はすでに令和8年1月1日から始まっており、2割特例の期限である令和8年9月30日よりも前に課税期間が開始しています。これが2割特例の適用対象となる根拠です。

スタッフ:開業が11月でも、課税期間の開始日は1月1日なので、令和8年9月30日より前にすでに課税期間が始まっているということですね。

先生:そうです。ただし、2割特例を適用するための前提として、次の要件をすべて満たしていることが必要です。

  • 適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)として登録していること
  • その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であること(免税事業者であった者が登録した場合など)
  • 課税期間の特例(短縮特例等)を適用していないこと

令和8年11月に新規開業した場合、通常は基準期間(2年前)の売上がないため、要件を満たすことが多いと考えられますが、個別の状況を必ずご確認ください。

■ 令和8年中であれば何月開業でも2割特例が使えます

スタッフ:先生、少し気になったのですが、2割特例の期限は「令和8年9月30日まで」ですよね。では令和8年11月に開業した場合、開業日が9月30日より後なので2割特例は使えないのでしょうか?

先生:これは非常に重要なポイントです。結論から言うと、令和8年11月に開業した個人事業者でも、令和8年分については2割特例が適用できます

理由をしっかり押さえておきましょう。個人事業者の消費税の課税期間は、開業月に関わらず1月1日から12月31日の暦年単位で固定されています。令和8年11月に開業した場合でも、令和8年分の課税期間は「令和8年1月1日〜12月31日」です。

つまり、課税期間はすでに令和8年1月1日から始まっており、2割特例の期限である令和8年9月30日よりも前に課税期間が開始しています。これが2割特例の適用対象となる根拠です。開業日が10月以降であっても、課税期間の開始日は変わりません。

開業月令和8年分の課税期間令和8年9月30日を含むか2割特例の適用
令和8年1月〜9月開業R8.1.1〜R8.12.31含む ✓適用できる
令和8年10月開業R8.1.1〜R8.12.31含む ✓適用できる
令和8年11月開業R8.1.1〜R8.12.31含む ✓適用できる
令和8年12月開業R8.1.1〜R8.12.31含む ✓適用できる

スタッフ:令和8年の年内であれば、何月に開業しても令和8年分は2割特例が使えるということですね!直感的には「9月30日を過ぎたら使えない」と思ってしまいますが、個人の課税期間は1月1日から始まっているので、9月30日より前に課税期間がすでに開始しているということですね。

先生:そのとおりです。開業が11月であれ12月であれ、令和8年中にインボイス登録をした個人事業者であれば、令和8年分は全員2割特例が適用できます。「令和8年9月30日まで」という日付は、あくまで課税期間の開始日がそれ以前であるかを判定する基準であって、「9月30日までに開業した人だけが対象」という意味ではありません。この点をしっかり押さえておいてください。


Q4.令和9年分・令和10年分は「3割特例」が使えますか?

スタッフ:令和8年11月に開業した個人事業者は、令和9年・令和10年の申告はどうなりますか?

先生:要件を満たす場合は、令和9年分・令和10年分について3割特例が適用できます

3割特例は「2割特例が終了した後の個人事業者への経過措置」ですので、引き続きインボイス発行事業者の登録を維持し、基準期間の課税売上高が一定額以下であれば対象になる予定です。

令和8年11月開業の個人事業者を例に、時系列でまとめると次のとおりです。

申告年分適用できる特例納税額のイメージ備考
令和8年分2割特例売上税額 × 20%R8年中の開業であれば全員適用可能
令和9年分3割特例(予定)売上税額 × 30%個人のみ・法人は対象外
令和10年分3割特例(予定)売上税額 × 30%個人のみ・法人は対象外
令和11年分以降本則課税 or 簡易課税本則または事業区分に応じたみなし仕入率事前の検討・届出が必要

スタッフ:令和10年分まで特例が続くなら、令和11年からの対応を早めに考えておく必要がありますね。

先生:そのとおりです。令和11年分から本則課税・簡易課税に移行する場合、事前に届出書の提出が必要になります。実務では、令和10年の確定申告が終わった後に慌てることがないよう、早めに方針を検討することをおすすめします。


Q5.2割特例・3割特例を使った後、簡易課税に切り替えるにはどうすればよいですか?

スタッフ:特例期間が終わる前に、簡易課税に切り替えたい場合はどうすればよいですか?通常は前年末までに届出が必要ですよね?

先生:通常、簡易課税を適用したい課税期間の「初日の前日」(個人事業者なら12月31日)までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。これが原則です。

しかし、2割特例・3割特例を利用した事業者については、特別な届出タイミングの緩和措置があります。ここが重要なポイントです。

■ 2割特例を使った翌年に簡易課税へ切り替える場合

2割特例を適用した課税期間の翌課税期間中に簡易課税選択届出書を提出した場合、「その提出日の属する課税期間の初日の前日に届出があったもの」とみなされ、その翌課税期間から簡易課税が適用できます

さらに、令和8年度税制改正により、令和8年10月1日以後に終了する課税期間(個人は令和8年分以降)については、届出の期限が翌課税期間に係る確定申告期限までに延長されています。

具体例で確認しましょう。

ケース2割特例の適用年分簡易課税の届出期限簡易課税の適用開始
R8年分に2割特例を適用した個人事業者令和8年分令和9年分の確定申告期限(令和10年3月31日)まで令和9年分から適用可能

スタッフ:つまり、令和8年分の申告が終わった後でも、令和10年3月31日まで届出を出せば、令和9年から簡易課税が使えるということですか?

先生:そのとおりです。これは非常に大きな緩和措置です。令和8年分の消費税申告をしながら「来年は簡易課税に切り替えよう」と決めて、同じ申告期限(翌年3月31日)までに届出書を提出するだけでよいのです。

■ 3割特例を使った翌年に簡易課税へ切り替える場合(令和8年度税制改正)

3割特例についても同様の措置が設けられる予定です。3割特例を適用した課税期間の翌課税期間について、その翌課税期間に係る確定申告期限までに簡易課税選択届出書を提出すれば、その翌課税期間から簡易課税が適用できます。

個人事業者の具体例です。

ケース3割特例の適用年分簡易課税の届出期限簡易課税の適用開始
R9年分に3割特例を適用した個人事業者令和9年分令和10年分の確定申告期限(令和11年3月31日)まで令和10年分から適用可能
R10年分に3割特例を適用した個人事業者令和10年分令和11年分の確定申告期限(令和12年3月31日)まで令和11年分から適用可能

スタッフ:3割特例が終わる令和10年分の後でも、令和11年分から簡易課税に切り替えられるということですね。手続き面でもかなり余裕があります。

先生:そうです。もし令和11年分以降も消費税の課税事業者であり続けるなら、簡易課税が有利か本則課税が有利か、令和10年分の申告をしながらゆっくり検討して届出を出せます。この特例を知っているかどうかで、実務対応が大きく変わってきます。


Q6.2割特例・3割特例を使わなくても、簡易課税への特例的な切り替えはできますか?

スタッフ:この届出タイミングの緩和は、2割特例や3割特例を必ず使っていた場合にのみ適用されるのですか?

先生:はい、この届出タイミングの特例は、2割特例または3割特例を適用した課税期間があることが前提です。2割特例・3割特例を一度も使っていない事業者には適用されず、原則どおり課税期間の初日の前日までに届出が必要です。

たとえば、最初から本則課税や簡易課税で申告していた場合には、この緩和措置の恩恵は受けられません。


【重要】簡易課税の選択時期まとめ(個人事業者)

スタッフ:簡易課税の届出タイミングについて、原則と特例をまとめて整理してもらえますか?

先生:はい。非常に重要な部分ですので、原則・改正前・改正後の3パターンを一覧にまとめます。

区分届出書の提出期限簡易課税の適用開始備考
原則適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで
(個人は前年12月31日まで)
届出を提出した翌課税期間から2割・3割特例を使っていない場合はこの原則のみ
2割特例適用後の特例
【改正前】
2割特例を適用した課税期間の翌課税期間中
(個人は翌年12月31日まで)
届出を提出した年分から令和8年9月30日以前に終了する翌課税期間に適用
2割特例適用後の特例
【令和8年度税制改正後】
2割特例を適用した課税期間の翌課税期間の確定申告期限まで
(個人:翌々年3月31日まで)
届出を提出した年分から令和8年10月1日以後に終了する翌課税期間から適用
個人はR8年分以降が対象
3割特例適用後の特例
【令和8年度税制改正】
3割特例を適用した課税期間の翌課税期間の確定申告期限まで
(個人:翌々年3月31日まで)
届出を提出した年分から個人のみ。R9年分・R10年分に適用

※ 緑色の行が令和8年度税制改正による緩和措置です。

スタッフ:令和8年11月開業の個人事業者の場合、具体的にどのようなスケジュールになりますか?

先生:年分ごとに整理すると、次のとおりです。

申告年分適用できる特例翌年から簡易課税を選びたい場合の届出期限
令和8年分2割特例(売上税額×20%)令和10年3月31日まで(令和9年分の申告期限)
→ 令和9年分から簡易課税が適用できる
令和9年分3割特例(売上税額×30%)令和11年3月31日まで(令和10年分の申告期限)
→ 令和10年分から簡易課税が適用できる
令和10年分3割特例(売上税額×30%)令和12年3月31日まで(令和11年分の申告期限)
→ 令和11年分から簡易課税が適用できる
令和11年分以降本則課税 or 簡易課税特例終了。原則どおりの届出期限に戻る

先生:ポイントは、簡易課税への切り替えを焦る必要がないということです。令和8年度税制改正により、申告をしながら同時に届出書を提出するだけでよくなりました。ただし、届出を失念すると原則どおりの期限に戻ってしまいますので、申告の際に必ず確認する習慣をつけておくことが実務上のポイントです。


Q7.令和8年11月開業の個人事業者がとるべき実務上の流れを教えてください。

スタッフ:改めて、令和8年11月開業の方が今後どのような流れで対応すればよいか、整理してもらえますか?

先生:ステップでまとめると、次のようになります。

【令和8年11月開業・個人事業者の実務ステップ】

  1. インボイス発行事業者の登録(令和8年11月開業時)
    インボイス制度に対応するため、適格請求書発行事業者として登録します。これにより消費税の課税事業者となります。
  2. 令和8年分の消費税申告(令和9年3月31日まで)
    2割特例を選択して申告します。売上に係る消費税額×20%が納付税額です。届出不要で申告書上で選択するだけです。
    同時に、令和9年分から簡易課税に切り替えたい場合は、この申告期限(令和9年3月31日)までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することで、令和9年分から簡易課税が適用できます。
  3. 令和9年分・令和10年分の消費税申告
    簡易課税に切り替えていなければ、3割特例(売上税額×30%)を選択して申告します。
    令和10年分申告の際(令和11年3月31日まで)に簡易課税を選択したい場合は、申告期限内に届出書を提出すれば、令和11年分から簡易課税が適用できます。
  4. 令和11年分以降の方針検討
    3割特例が終了します。本則課税か簡易課税かを選択し、必要であれば届出書を適切なタイミングで提出します。事業の売上規模や業種(仕入れの多寡)に応じて、有利な方法を税理士と相談しながら決定することをおすすめします。

【参考】法人が2割特例を適用した場合の簡易課税への切り替え

スタッフ:法人の場合も、2割特例の後に簡易課税へ切り替えるための届出期限の緩和はあるのですか?

先生:はい、あります。令和8年度税制改正による届出期限の緩和は、個人だけでなく法人にも適用されます。ただし、法人の申告期限は決算月によって異なるため、個人と比べて少し複雑です。

法人の消費税の確定申告期限は、原則として事業年度終了の日から2ヶ月以内です。したがって、どの事業年度が「2割特例を適用した最後の期」になるかは、決算月によって変わります。

■ 2割特例が適用できる最後の事業年度(法人)

2割特例の適用対象は「令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日を含む各事業年度」です。決算月別に整理すると次のとおりです。

■ 2割特例が適用できる最後の事業年度(法人)

2割特例の適用対象は「令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日を含む各事業年度」です。決算月別に整理すると次のとおりです。

 2割特例が適用できる最後の事業年度(法人)

2割特例の適用対象は「令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日を含む各事業年度」です。決算月別に整理すると次のとおりです。改正後ルールが適用される翌事業年度は「令和8年10月1日以後に終了する事業年度」です。3月決算法人の場合は令和8年4月1日開始の事業年度(令和9年3月期)が該当します。判定するのは2割特例を使った期ではなく、その翌事業年度の終了日です。

9月決算の場合:

届出期限 → 令和9年11月30日(令和9年9月期の申告期限)

2割特例を使った期 → 令和8年9月期(R8.9.30終了)

翌事業年度 → 令和9年9月期(R9.9.30終了

R9.9.30はR8.10.1より後 → 改正後ルール適用

決算月2割特例が適用できる最後の事業年度翌事業年度の申告期限
(簡易課税届出の期限)
簡易課税の適用開始
9月決算令和8年9月期
(R7.10.1〜R8.9.30)
※9月30日が最終日
令和9年11月30日まで令和9年9月期から
12月決算令和8年12月期
(R8.1.1〜R8.12.31)
※9月30日を含むため対象
令和10年2月28日まで令和9年12月期から
3月決算令和9年3月期
(R8.4.1〜R9.3.31)
※9月30日を含むため対象
令和10年5月31日まで令和10年3月期から
6月決算令和9年6月期
(R8.7.1〜R9.6.30)
※9月30日を含むため対象
令和10年8月31日まで令和10年6月期から

※ すべて令和8年度税制改正後のルール(翌事業年度の申告期限まで)が適用されます。

スタッフ:決算月によって、届出の期限がかなり変わるのですね。

先生:そうです。ここで重要なのは「2割特例が適用できる最後の事業年度」の判定です。令和8年9月30日が事業年度の中に1日でも含まれていれば、その事業年度は2割特例の対象になります。

たとえば3月決算法人の場合、令和9年3月期(令和8年4月1日〜令和9年3月31日)には令和8年9月30日が含まれますので、令和9年3月期が最後の2割特例適用事業年度となります。令和8年3月期ではありません。9月決算法人は令和8年9月30日が事業年度の最終日にあたるため、令和8年9月期が最後の対象事業年度です。

また、法人には3割特例の適用がありません。2割特例が終わった後は本則課税または簡易課税への移行となりますので、最後の2割特例事業年度の申告をしながら、同時に簡易課税選択届出書を提出するかどうかを判断することが実務上のポイントです。

スタッフ:法人のお客様には、決算月に応じた届出期限を個別に確認する必要があるということですね。

先生:そのとおりです。届出を失念すると、希望する課税期間から簡易課税を適用できなくなりますので、顧問税理士への早めのご相談をおすすめします。

まとめ

令和8年11月に開業した個人事業者の消費税の特例措置をまとめると、次のとおりです。

  • 令和8年分:2割特例(売上税額×20%)が適用可能
  • 令和9年分・令和10年分:3割特例(売上税額×30%)が適用可能(個人のみ)
  • 令和11年分以降:本則課税または簡易課税に移行
  • 簡易課税への切り替えは、2割特例・3割特例を使った翌年分の確定申告期限までに届出書を出せばOK

令和8年11月の開業直後から特例の恩恵を受けながら、令和10年分の申告までに次のステップ(簡易課税か本則課税か)を準備するのが、実務上のポイントです。

実務においては、必ず最新の国税庁公表資料・通達等をご確認のうえ、対応されることをおすすめします。詳細については、顧問税理士にご相談ください。


税理士法人松野茂税理士事務所では、インボイス制度への対応はもちろん、消費税の申告・節税プランニング、簡易課税への切り替え手続きについても丁寧にサポートしています。尼崎・西宮・神戸をはじめ、オンラインで全国対応が可能です。お気軽にご相談ください。

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