「小規模宅地等の特例」は、相続税の負担を大幅に軽減できる可能性がある重要な制度ですが、その適用要件は非常に複雑です。
今回は、特に判断が難しい「同一の敷地に親と子がそれぞれ家を建てて住んでいた」ケースについて、Q&A形式で分かりやすく解説します。
事例の前提
土地
被相続人(父:甲)が所有する330㎡の土地
建物と居住状況
- 宅地①(200㎡):父(甲)が所有する家屋があり、父自身が居住
- 宅地②(130㎡):長男(A)が所有する家屋があり、長男Aが居住
相続人
長男Aと長女B
相続人の状況
- 長男A:父(甲)と生計を一つにする「生計一親族」です
- 長女B:持ち家に住んでいないなど、いわゆる「家なき子」の要件を満たしています
この前提で、土地の分け方によって特例の適用がどう変わるか見ていきましょう。
Q1. 土地を分筆し、長女Bが宅地①(200㎡)、長男Aが宅地②(130㎡)を相続した場合
【結論】
長女Bが取得した200㎡と、長男Aが取得した130㎡は、いずれも全額が小規模宅地等の特例の対象となります。
【理由と解説】
このケースの最大のポイントは、被相続人と生計を共にしていた親族(長男A)が使っていた土地も、被相続人の居住用宅地と一体として扱われる点です。
敷地全体が特例の対象に
父が住んでいた宅地①(200㎡)と、生計一親族である長男Aが住んでいた宅地②(130㎡)は、合わせて330㎡全体が「特定居住用宅地等」に該当します。
各相続人の要件
取得者である長男Aは「生計一親族」、長女Bは「家なき子」の要件をそれぞれ満たしているため、自身が取得した土地について特例を適用できます。
限度面積
特定居住用宅地等の特例の限度面積は330㎡です。本件では、長女が200㎡、長男が130㎡を取得し、合計がちょうど330㎡のため、2人とも取得した土地の全額について評価額の80%減額が受けられます。
Q2. 土地を分筆せず、長男Aと長女Bがそれぞれ1/2の共有持分で相続した場合
【結論】
特例の対象となる面積は、長男Aの取得分が65㎡、長女Bの取得分が100㎡の合計165㎡に限定されます。
【理由と解説】
共有で取得した場合、特例の適用は「各相続人が取得した持分のうち、要件を満たす部分」に限られます。分筆して取得するケースと結論が大きく異なるので注意が必要です。
長男Aの適用面積
長男Aは「生計一親族」として、自身が居住していた宅地②(130㎡)に対応する部分にのみ特例を適用できます。
- 計算式:130㎡ × 1/2(共有持分) = 65㎡
長女Bの適用面積
長女Bは「家なき子」として、被相続人(父)が居住していた宅地①(200㎡)に対応する部分にのみ特例を適用できます。
- 計算式:200㎡ × 1/2(共有持分) = 100㎡
まとめ
このように、遺産分割の方法(分筆か共有か)によって、特例を適用できる金額が大きく変わる可能性があります。
Q1のケース(分筆):330㎡全体が特例対象
Q2のケース(共有):165㎡のみが特例対象
相続税対策においては、こうした細かなルールを理解した上で、最適な分割方法を検討することが非常に重要です。
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