~年金受給者・個人年金・パート主婦の方は要チェック!~
「年金から税金が引かれているから、確定申告は不要でしょ?」 「パートも源泉徴収されているし、わざわざ申告しなくても…」
そう思っている方も多いのではないでしょうか。 実は、源泉徴収されていても、確定申告をした方が「お得」になるケースがたくさんあります。
逆に、「申告しなくていい」と思い込んでいて、住民税の申告漏れや国民健康保険料に影響が出てしまうケースもあります。
今回は、年金受給者・個人年金受取中の方・パート主婦の方に向けて、確定申告すべきかどうかをQ&A形式でわかりやすく解説します。
Q1. 公的年金から税金が引かれていますが、確定申告は必要ですか?
スタッフ: 先生、お客様から「年金から毎月税金が引かれているのに、確定申告も必要なんですか?」とよく聞かれます。
税理士: いい質問だね。公的年金には「確定申告不要制度」というものがあって、次の両方に当てはまる人は、確定申告をしなくてもいいことになっているんだ。
確定申告不要制度の要件
- 公的年金等の収入金額が400万円以下
- 公的年金等に係る雑所得以外の所得が20万円以下
スタッフ: ということは、年金収入が400万円以下で、他の収入が少なければ申告しなくていいんですね!
税理士: そう。ただし、「申告しなくていい」と「申告しない方がいい」は違うんだ。実は、確定申告不要制度に該当する人でも、申告した方が税金が戻ってくるケースが多いんだよ。
Q2. どんな場合に税金が戻ってくるんですか?
スタッフ: 具体的にどんな場合に還付されるんでしょうか?
税理士: 以下のようなケースでは、確定申告することで税金が戻ってくる可能性が高いよ。
還付を受けられる可能性があるケース
| ケース | 内容 |
|---|---|
| 医療費控除 | 年間の医療費が10万円を超えた場合 |
| 社会保険料控除 | 生命保険料・地震保険料を支払っている場合 |
| 配偶者が死別・離婚 | 寡婦控除・ひとり親控除が適用される場合 |
| 扶養親族の変更 | 扶養親族が増えた場合 |
| 住宅ローン控除 | 住宅を購入した初年度 |
| ふるさと納税 | ワンストップ特例を使わなかった場合 |
| 扶養親族等申告書の未提出 | 年金機構に申告書を出していなかった場合 |
スタッフ: 医療費控除は結構該当する方が多そうですね。
税理士: そうなんだ。特に高齢者の方は医療費がかさむことも多いから、確定申告した方がお得になるケースは多いよ。源泉徴収票の「源泉徴収税額」に金額が記載されていれば、還付の可能性があると考えていいね。
Q3. 生命保険の個人年金を受け取っていますが、申告は必要ですか?
スタッフ: 公的年金とは別に、生命保険会社から個人年金を受け取っている方もいらっしゃいますよね。
税理士: 生命保険会社から受け取る個人年金は、公的年金とは別の「雑所得」として扱われるんだ。計算方法も違うから注意が必要だよ。
個人年金の雑所得の計算方法
雑所得 = 年金受取額 - 必要経費(払込保険料相当額)
例えば、年間60万円の個人年金を受け取っていて、必要経費が46万円なら、雑所得は14万円になる。
スタッフ: この雑所得にも税金がかかるんですか?
税理士: 雑所得が25万円以上の場合は、保険会社が**10.21%**を所得税として源泉徴収して支払うことになっているんだ。
ここがポイント!
でもこれは「概算の税金」であって、確定した税額ではない。他の所得や控除と合わせて計算し直すと、払いすぎていた税金が戻ってくることが多いんだよ。
スタッフ: なるほど。源泉徴収されていても、確定申告で精算した方がいいんですね。
Q4. 個人年金を受け取りながらパートで働いています。申告は必要?
スタッフ: 個人年金を受け取りながら、パートでも働いている主婦の方から相談を受けることがあります。
税理士: このパターンは少し複雑だから、順を追って説明するね。
ケース:個人年金+パート収入がある場合
例えば、以下のような状況を考えてみよう。
- 個人年金:年間60万円(雑所得は14万円、源泉徴収あり)
- パート収入:年間80万円(給与所得控除後は15万円)
スタッフ: どちらからも税金が引かれていますよね?
税理士: そう。でも、両方の所得を合算して、各種控除(基礎控除・配偶者控除など)を差し引くと、実際に納めるべき税金はゼロになることも多いんだ。
その場合、源泉徴収された税金がすべて戻ってくることになる。確定申告しないと、その還付は受けられないんだよ。
Q5. 「雑所得20万円以下なら申告不要」と聞きましたが…
スタッフ: 先生、「副業や雑所得が20万円以下なら確定申告しなくていい」という話をよく聞きます。これは本当ですか?
税理士: これは非常に誤解が多いポイントだね。確かに、所得税法では次の条件を満たす人は確定申告不要とされているんだ。
20万円以下ルールの適用条件
- 給与を1か所から受けている
- 給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下
- 給与収入が2,000万円以下
スタッフ: ということは、年金受給者には当てはまらないんですか?
税理士: そうなんだ。年金受給者に適用されるのは「確定申告不要制度」で、これとは別のルールなんだよ。混同している人が本当に多いから要注意だね。
Q6. 20万円以下でも住民税の申告は必要って本当?
スタッフ: 所得税の申告が不要でも、住民税は別だと聞いたのですが…
税理士: これが最も見落とされやすい重要ポイントだね。
【超重要】住民税には「20万円以下申告不要」のルールがない!
所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は必要なんだ。
| 税金の種類 | 20万円以下の所得 |
|---|---|
| 所得税 | 申告不要(条件あり) |
| 住民税 | 申告必要 |
スタッフ: 知らなかったです…。住民税を申告しないとどうなるんですか?
税理士: 後から市区町村から連絡が来て、追加で住民税を納めることになる。場合によっては延滞金がかかることもあるんだ。
解決策
所得税の確定申告をすれば、住民税の申告も同時に完了する。だから、「20万円以下だから申告しない」よりも、「確定申告しておく」方が安全なんだよ。
Q7. 確定申告すると配偶者控除に影響が出ることはありますか?
スタッフ: 主婦の方から「確定申告すると夫の配偶者控除がなくなるのでは?」と心配されることがあります。
税理士: これも大事なポイントだね。配偶者控除は、配偶者の合計所得金額によって適用されるかどうかが決まるんだ。
配偶者控除・配偶者特別控除の所得要件(令和7年分)
| 妻の合計所得金額 | 夫が受けられる控除 |
|---|---|
| 48万円以下 → 58万円以下に拡大 | 配偶者控除(最大38万円) |
| 58万円超~133万円以下 | 配偶者特別控除(段階的に減少) |
| 133万円超 | 控除なし |
スタッフ: パート収入と個人年金を合わせた「合計所得金額」で判定されるんですね。
税理士: そう。だから、確定申告をして収入を正確に把握しておくことが大切なんだ。申告しないで後から所得が判明すると、夫の方で修正申告が必要になることもあるよ。
Q8. 確定申告すると国民健康保険料が上がることはありますか?
スタッフ: 確定申告すると、かえって国民健康保険料が高くなってしまうケースもあると聞きました。
税理士: これは非常に重要な注意点だね。国民健康保険料は「住民税の所得」をもとに計算されるから、確定申告で所得が増えると保険料も上がることがあるんだ。
国保料が上がる可能性があるケース
- 株式の譲渡益や配当を申告した場合
- 個人年金などの雑所得を申告した場合
- 不動産売却益を申告した場合
スタッフ: せっかく税金の還付を受けても、国保料が上がったら意味がないですよね…
税理士: そうなんだ。特に以下のような方は要注意だよ。
特に影響を受けやすい方
| 対象者 | 影響 |
|---|---|
| 国民健康保険加入者 | 保険料が上がる可能性 |
| 70歳以上の方 | 医療費の自己負担割合が上がる可能性 |
| 後期高齢者医療制度の方 | 保険料や自己負担に影響 |
税理士: だから、「税金の還付額」と「国保料の増加額」を比較して、トータルで有利になるか判断することが大切なんだ。このあたりは専門家に相談した方がいいね。
Q9. 申告しないと国保の軽減が受けられないって本当?
スタッフ: 逆に、申告しないことでデメリットになるケースもあるんですか?
税理士: あるよ。国民健康保険には所得に応じた軽減制度があるんだけど、収入を申告していないと「所得不明」扱いになって軽減が適用されないことがあるんだ。
国保の軽減を受けるには申告が必要!
- 収入がゼロでも住民税の申告が必要
- 遺族年金・障害年金のみの方も申告が必要
- 申告しないと「所得情報不明」となり軽減対象外に
スタッフ: 申告しないことで、かえって保険料が高くなってしまうこともあるんですね。
税理士: そうなんだ。「申告不要だから何もしなくていい」ではなく、自分の状況に合わせて判断することが大切だね。
まとめ:確定申告すべきかどうかのチェックリスト
最後に、確定申告すべきかどうかを判断するためのチェックリストをまとめました。
確定申告した方がいい人
✅ 源泉徴収票に「源泉徴収税額」の記載がある
✅ 医療費が年間10万円を超えた
✅ 生命保険料・地震保険料を支払っている
✅ 扶養親族等申告書を提出していなかった
✅ 年の途中で家族構成が変わった(死別・離婚・出産など)
✅ 住宅ローン控除を受ける初年度
✅ ふるさと納税をした(ワンストップ特例を使わなかった場合)
確定申告の前に確認すべきこと
⚠️ 国民健康保険に加入している場合は、国保料への影響を確認
⚠️ 70歳以上の方は、医療費の自己負担割合への影響を確認
⚠️ 配偶者の扶養に入っている場合は、合計所得金額を確認
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e-Taxのメリット
✅ 24時間いつでも申告可能(税務署に行く必要なし)
✅ 画面の案内に沿って入力するだけで税額が自動計算
✅ 還付金の振込が早い(書面提出より約2~3週間早い)
✅ マイナポータル連携で医療費や保険料のデータを自動取得
✅ 源泉徴収票の添付が不要
申告に必要なもの
- マイナンバーカード(またはID・パスワード)
- 公的年金等の源泉徴収票
- 個人年金の支払明細書(保険会社から届くもの)
- 医療費の領収書(医療費控除を受ける場合)
- 各種控除証明書(生命保険料など)
国税庁の確定申告書等作成コーナーはこちら👇
https://www.keisan.nta.go.jp/

「自分で申告するのは不安…」「国保料への影響も含めて相談したい」という方は、お気軽にご相談ください。
税理士法人松野茂税理士事務所
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※この記事は令和7年1月時点の税制に基づいて作成しています。最新の税制については、お気軽にお問い合わせください。
