令和8年12月に税制大綱が公表されました。このうち個人事業者や中小法人(開業初期の事業者向け)に有益な情報がありますので速報で解説します。あくまで改正の速報ですので詳細はのちに修正される可能性があります。
まずは 年収の壁が178万円に引き上げられましたがことらは別の記事で紹介しています。

令和9年以降の所得税の青色申告控除は65万円から75万円になります。
令和9年分(2027年分)以後の所得税では、青色申告特別控除が「最大75万円」へ拡充される一方、紙申告など一定の場合は「10万円(または0円)」まで大きく下がる見直しが予定されています改正後の控除額(令和9年分以後)
「正規の簿記(複式簿記)+期限内申告」の場合は3段階に控除金額決まります。
- ① 所得税の確定申告書を期限内に提出+損益計算書及び貸借対照表を電子申告で提出 65万円→改正後も65万円
- ② ①その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電磁的記録の保存等を行っている場合 次イ ロのいずれか 65万円→改正75万円
- イ 仕訳帳及び総勘定元帳について、一定の要件を満たす電磁的記録の保存等を行っている場合(優良)
- ロ 請求書等のデジタルデータ(電子取引データ)を一定の要件を満たして保存を行う場合(請求書データ等との自動連 携)
- ③所得税の確定申告書の貸借対照表及び損益計算書等の提出を、その提出期限までに書面で行う場合 55万円→改正10万円
電子申告をすることで65万円+さらにパソコンを使用して記録している場合は75万円
税理士事務所の場合は75万円控除となりますが 従来ペーパーなどの郵送で提出していた者に関しては55万円から10万円控除になりますのでご注意ください。
取引を簡易な帳簿で記録している場合
- ①前々年の当該収入金額が1,000万円超の場合は、10万円控除の対象から除外(実質0円)とされています。
- ②前々年の当該収入金額が1,000万円以下の場合は、従来通り10万円控除となります。
55万円が実質廃止になる点
従来「複式簿記+書面提出」でも55万円控除がありましたが、見直し後は書面提出の場合は10万円となり、55万円の適用ができなくなる趣旨が明記されています。
10万円控除の“0円化”リスク(一定の高収入者)
10万円控除の対象者のうち、不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営む者で、前々年の当該収入金額が1,000万円超の場合は、10万円控除の対象から除外(実質0円)とされています。
適用時期(所得税・住民税)
この見直しは、所得税は令和9年分以後、個人住民税は令和10年分以後に適用と整理されています。
個人事業者の3割特例 2割特例の延長2年間
改正前
消費税の「2割特例」は、インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者になった小規模事業者について、納付税額を原則「売上に係る消費税額の2割」にできる負担軽減措置です。
2割特例の要点
- 納付税額の計算は、原則として「売上に係る消費税額 × 20%」で足り、仕入税額控除の積上げ計算を簡素化できます。
- 適用にあたり事前届出は不要で、申告時に「2割特例の適用を受ける旨」を申告書に付記して選択します。
適用できる期間
2割特例を適用できる課税期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間です。
個人事業者限定 3割特例

1. 改正のポイント
(2)内容
②確定申告書への付記
インボイス発行事業者が3割特例の適用を受けようとする場合には、確定申告書にその旨を付記する。
③簡易課税制度への変更の場合
3割特例の適用を受けたインボイス発行事業者が、その適用を受けた課税期間の翌課税期間に係る確定申告書を提出したときは、その翌課税期間から簡易課税制度の適用を認める。
3.注意点
3割特例は一定の「個人事業者」限定
基準期間の売上高が1千万円を超えた個人は3割特定は受けられない
3割特例を適用した個人事業者や法人は、翌期の課税期間に係る確定申告期限までに簡易課税制度選択届出書を提出すれば、簡易課税制度の適用が認められる。
免税事業者からの仕入税額控除の経過措置の延長及び見直し(個人事業者・法人両方)

– 187 – 5 経過措置 (免税事業者等からの仕入れに係る … 改正前の確認
国税庁https://www.nta.go.jp › taxes › keigenzeiritsu › pdf
免税事業者の仕入税額控除の経過措置 令和8年 大綱の改正案
免税事業者からの仕入れに係る経過措置について、「最終的な適用期限を2年延長」した上で、控除率を次のように段階設定する案です。
- 令和8年10月から:7割
- 令和10年10月から:5割
- 令和12年10月から令和13年9月末まで:3割
- 年間上限(1免税事業者ごと)
1免税事業者ごとの年間適用上限仕入額を「1億円(現行:10億円)に引き下げる」と明記されています。
事務所概要
税理士法人松野茂税理士事務所
代表税理士:松野 茂
社員税理士:山本 由佳
所属税理士:近畿税理士会 尼崎支部
法人登録番号:第6283号
法人番号:4140005027558
適格請求書発行事業者登録番号(インボイス番号):T4140005027558
所在地:〒660-0861 兵庫県尼崎市御園町24 尼崎第一ビル7F
TEL:06-6419-5140
営業時間:平日 9:00〜18:00
