💡 はじめに
自宅の一部を店舗にしたり、友人に間貸ししたりした場合でも、
「居住用財産の3,000万円特別控除(措置法35条3項)」が使えるケースがあります。
ただし、居住割合の低下や賃貸期間の有無によっては、控除が一部しか使えなかったり、
「居住の意思を失った」と判断されることもあります。
ここでは、店舗併用住宅・一部賃貸住宅を中心に、実務での判断ポイントを整理します。
Q1. 自宅の一部を店舗としている場合、控除は使えますか?
A.
店舗併用住宅の場合、原則として居住部分に対応する部分のみが控除対象です。
しかし、居住割合が90%以上であれば、建物全体を居住用とみなして
「3,000万円特別控除」を全額適用することができます。
📘 根拠
・措置法35条3項
・措置法通達35-2(居住部分の判定)
例:
- 延床100㎡のうち90㎡が居住部分 → 全体に3,000万円控除OK
- 延床100㎡のうち70㎡が居住部分 → 居住部分70%のみ対象
Q2. 自宅の一部を間貸ししていた場合は?
A.
一部を他人に貸していた場合でも、自分の居住部分については控除が可能です。
ただし、判定の基準となる時期に注意が必要です。
判定時期の違いによる取扱い
| 判定時期 | 内容 | 結果 |
| 住まなくなった直前 | 転勤などで退去前は全体を自宅として使用 | 全体を「居住用」として扱える場合あり |
| 譲渡直前 | 一部を貸していた状態で売却 | 居住部分のみ3,000万円控除/賃貸部分は事業用特例の対象 |
つまり、「譲渡直前」に他人に貸している場合、
居住用部分と賃貸部分を区分して特例を併用することになります。
(例:①居住用部分=3,000万円特別控除、②賃貸部分=事業用資産の買換特例)
📘 根拠
・措置法35条3項、31条の3(事業用資産の買換)
・国税庁質疑応答事例(居住部分と事業部分の判定)
Q3. 転勤などで住まなくなった後に売却した場合も使えますか?
Q3. 転勤などで住まなくなった後に売却した場合も使えますか?
A.
「居住の用に供しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に譲渡すれば、
引き続き3,000万円特別控除を使えます。
転勤・介護・老人ホーム入居などのやむを得ない事情がある場合も認められます。
📘 根拠:措置法35条3項ただし書き、通達35-3
「やむを得ない事情により居住を継続できなかった場合を含む」
Q4. 自宅の一部を配偶者に贈与していた場合は?
Q4. 自宅の一部を配偶者に贈与していた場合は?
A.
配偶者への贈与(おしどり贈与)後に売却した場合、
贈与者・受贈者ともに自分の持分について特別控除が適用可能です。
ただし、贈与前から売却予定があった場合は「居住の意思なし」とされ、
否認された裁決例もあるため注意が必要です。
✅ まとめ
| ケース | 控除の可否 | 判定基準・注意点 |
| 店舗併用住宅(居住割合90%以上) | 全体OK | 居住割合で判断 |
| 店舗併用住宅(居住割合90%未満) | 居住部分のみ | 店舗部分は事業用扱い |
| 一部間貸し | 居住部分のみ | 判定時期により異なる |
| 転勤・老人ホーム | 3年以内の譲渡でOK | 居住継続の意思を確認 |
| 配偶者への贈与後の売却 | 各自の持分に適用可 | 売却予定の贈与は否認リスク |
🧭 結論
「自宅の一部を間貸し」「店舗付き住宅」など、居住と事業・賃貸の混在は
3,000万円特別控除の中でも判断が分かれやすいポイントです。
最終的には、
- いつまで居住していたか
- 居住部分の割合がどれくらいか
- 譲渡時点での利用実態
を整理し、適用条文(措置法35条/31条の3)を正確に選択することが重要です。
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