制度の概要
一般社団法人等の理事である者(理事でなくなった日から5年を経過していない者を含む)が死亡した場合において、その一般社団法人等が「特定一般社団法人等」に該当するときは、その法人は被相続人から遺贈により財産を取得したものとみなされ、相続税が課税されます。この場合、特定一般社団法人等は個人とみなされて相続税が課税されます。
取得したものとみなされる金額は、相続開始時における特定一般社団法人等の純資産額を、同族理事の数に1を加えた数で除した金額となります。 下図は国税庁のパンフレットより一般社団法人等の理事である者(理事でなくなった日から5年を経過していない者を含む)が死亡した場合

理事を退任した場合の取扱い
この制度の対象となる「一般社団法人等の理事である者等」には、相続開始時点で現に理事である者だけでなく、理事でなくなった日から5年を経過していない者も含まれます。
つまり、相続税の課税を回避する目的で死亡直前に理事を退任したとしても、退任から5年以内に死亡した場合には、この制度の適用対象となります。例えば、被相続人が令和7年1月に理事を退任し、令和10年3月に死亡した場合、退任から5年を経過していないため、その一般社団法人等が特定一般社団法人等に該当すれば相続税が課税されます。
この規定は、理事退任による課税逃れを防止するために設けられたものです。したがって、一般社団法人等を活用した相続対策を検討する際には、理事の地位にある期間だけでなく、退任後5年間も課税対象となり得ることに十分注意する必要があります。
制度創設の背景
一般社団法人は、平成20年の公益法人制度改革により、登記のみで簡単に設立できるようになりました。株式会社と異なり、一般社団法人には持分(出資持分や株式)が存在しないため、法人に財産を移転しても、その財産は相続税の課税対象とならないという特徴がありました。
この仕組みを利用して、個人が保有する不動産や有価証券などの財産を一般社団法人に移転し、親族を理事に就任させることで、実質的に財産を親族間で承継しながら相続税を回避するスキームが広まりました。法人の理事が死亡しても、法人自体は存続し、財産は法人に帰属したままであるため、通常の相続のような課税が行われなかったのです。
このような租税回避行為を防止するため、平成30年度税制改正において、同族関係者が理事の過半数を占める一般社団法人等を「特定一般社団法人等」と定義し、理事の死亡時に法人を個人とみなして相続税を課税する制度が創設されました。
高齢者は早めに理事を退任してもらう 理事や同族理事の数を増やすこと等などが有効といわれています。
特定一般社団法人等の判定要件
「特定一般社団法人等」とは、一般社団法人等のうち、次のいずれかの要件を満たすものをいいます。
第一に、相続開始の直前において、その被相続人に係る同族理事の数が理事の総数に占める割合が2分の1を超えることです。第二に、相続開始前5年以内において、その被相続人に係る同族理事の数が理事の総数に占める割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上であることです。
同族理事の定義
「同族理事」とは、一般社団法人等の理事のうち、被相続人(亡くなった方)またはその配偶者、三親等内の親族その他被相続人と特殊の関係のある者をいいます。
「三親等内の親族」には、父母、祖父母、曾祖父母、子、孫、曾孫、兄弟姉妹、おじ、おば、甥、姪などが含まれます。ただし、四親等となる従兄弟姉妹(いとこ)は含まれません。
相続税法施行令第34条第3項に規定する「特殊な関係にある者」には、事実上の婚姻関係にある者、被相続人から受ける金銭その他の資産によって生計を維持している者、被相続人が会社役員を務めている会社の使用人など、被相続人と密接な関係にある者が含まれます。
純資産額の計算方法
相続開始時における特定一般社団法人等の純資産額は、法人が有する財産の相続税評価額の合計額から、債務、国税・地方税(相続開始以前に納税義務が成立したもの)、被相続人の死亡により支給する退職手当金等の額、および基金の額を控除した残額により計算します。
相続税額の計算と控除
特定一般社団法人等が遺贈により取得したものとみなされる金額は、被相続人に係る相続人・受遺者が相続等により取得した他の財産の価額と合計され、それぞれの相続税額が計算されます。
この場合において、その特定一般社団法人等が被相続人の相続開始前に相続税法第66条第4項の規定により贈与税または相続税が課されていたときは、その相続税額から当該贈与税または相続税に相当する金額(控除対象金額)が控除されます。
特定の一般社団法人等に対する相続税の課税の概要(令和2年7月)(令和6年6月改訂)(PDF/245KB)国税庁パンフレット
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/201909/01.htm
特定の一般社団法人等に対する相続税の課税制度|税理士法人松野茂税理士事務所
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事務所概要
税理士法人松野茂税理士事務所
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社員税理士:山本 由佳
所属税理士:近畿税理士会 尼崎支部
法人登録番号:第6283号
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