平成元年10月、人生の転機
「24時間戦えますか?」
リゲインのCMが流れていたあの時代。企業戦士として会社のために尽くすことが美徳とされ、終身雇用が当たり前だった平成元年。私は大阪の信用金庫の外国部に勤務していました。
東京銀行での1年間の研修を経て、為替部門で働く日々。まだ若く、何も知らない私は、会社のために一生懸命働いていました。
給料の半分をウインドサーフィンに
休日になると、私は連日ウインドサーフィンに明け暮れていました。初任給で当時最先端のボードを購入し、給料の半分以上をこの趣味につぎ込む。そんな、仕事と遊びに全力を注ぐ20代でした。
座禅研修が変えた人生観
入社2年目のこと。4〜5日間の研修で、お寺での座禅修行に参加しました。
その内容は想像を絶するものでした。
朝から2時間の掃除。その後、2時間の座禅。
昼食は抜き。午後もまた座禅。
夕食は茶碗8分目のご飯と、たくあん1枚のみ。
これが連日続きました。
座禅中、お坊さんは研修生の周りを回り、警策(度付き棒)で肩を打ちます。何度も、何度も。肩は赤く腫れ上がりました。
その痛みの中で、私は考え続けました。
「この会社で一生勤め上げるのか?」
疑問が心の中で大きくなっていきます。何度も寺から出ようと考えました。しかし、門には鍵がかけられ、出ることはできません。
おとなしくお坊さんに打たれ、体裁よくお礼をすれば、次は軽く叩いてくれる。そんな「処世術」を学ぶ場でもありました。
決意の瞬間
この5日間の経験が、私の人生を大きく変えました。
座禅堂で、痛みに耐えながら、私は心の中で決心していました。
「自分はこの会社にいるべきではない」
終身雇用が当たり前の時代。会社を辞めることは、大きな決断でした。
しかし、私の心は決まっていました。平成元年10月、私は信用金庫を退職し、税理士という新しい道を目指すことにしたのです。
次回は、税理士試験への挑戦と、そこで待ち受けていた現実についてお話しします。
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