尼崎の税理士が解説!銀行融資を受けるための決算書の見方

尼崎の税理士が解説!銀行融資を受けるための決算書の見方

税理士法人松野茂税理士事務所 阪神尼崎駅徒歩1分


こんにちは!税理士法人松野茂税理士事務所の松野です。

先日、スタッフの高橋さんから「先生、クライアントさんが『決算で利益を減らして節税したのに、銀行から融資を断られた』って困ってるんですけど…」という相談がありました。

実は、税理士と銀行では決算書の見方が全く違うんです!

今日は30年の経験をもとに、銀行が融資審査でどこを見ているのか、スタッフとの会話形式で徹底解説します。


目次

【衝撃の事実】古き良き時代の迷信

Q1:支店長と仲良くすれば融資が通りやすいって本当ですか?

高橋スタッフ: 先生、昔は銀行の支店長とゴルフに行ったり飲みに行ったりして、人間関係を作れば融資が通りやすかったって聞きますけど…

松野税理士: それ、完全に昔の話です!今は時代が変わりました。

❌ 古き良き時代の3つの迷信

  1. 支店長や融資担当者と人間関係を構築すれば大丈夫
  2. 経営者の人間性や経営能力を見て融資判断する
  3. 黒字を出していれば融資可能

高橋スタッフ: えっ、全部違うんですか?

松野税理士: はい。今は支店長が取引先とゴルフや飲み会に行くと「コンプライアンス違反」で厳しく注意されます。経営者の経営能力も曖昧で判断できませんし、口のうまい経営者が有利になるわけではありません。

それに、黒字でも右肩下がりの業種や公益性の薄い業種は融資が難しくなります。


銀行は何を見て融資を判断するのか?

Q2:じゃあ、銀行は何を基準に判断してるんですか?

高橋スタッフ: 人間関係じゃないとしたら、何で判断してるんでしょう?

松野税理士: ずばり、企業の「安全性・収益性・成長性」を数値化した格付けです!

具体的には:

  • 損益計算書
  • 貸借対照表
  • キャッシュフロー計算書
  • 勘定科目内訳書

これらの数値を徹底的に分析して融資判断を行います。


【損益計算書編】税理士と銀行の考え方の違い

Q3:利益を減らして節税するのは間違いなんですか?

高橋スタッフ: でも先生、うちのクライアントさんにはいつも「節税のために経費を使いましょう」ってアドバイスしてますよね?

松野税理士: 良い質問です!ここが税理士と銀行の最大の違いなんですよ。

税理士の考え方

利益が多い = 税金が増える
→ 納税額を少なくするため利益を圧縮

銀行の考え方

返済原資 = 税引後利益 + 減価償却費
→ 税金を払っても利益を出してほしい

高橋スタッフ: つまり、節税しすぎると融資が受けられないってことですか?

松野税理士: その通り!**「融資の年間返済額 < 税引後当期利益 + 減価償却費」**でないと、現金預金が不足します。

税引後利益が10万円とか、赤字を隠したような決算書は避けるべきです。


Q4:損益計算書のどこを重点的に見られますか?

松野税理士: 銀行が一番最初に見るのは**「売上高」、一番重視するのは「税引後の利益」**です。

さらに: ✅ 売上高:事業規模と成長性
営業利益:本業の収益力
税引後利益:返済原資

大企業や経営バランスの良い経営者は、常に利益を出すことを考えています。


【貸借対照表編】社長の意思が見える

Q5:貸借対照表ってどこを見られるんですか?

高橋スタッフ: 貸借対照表って資産と負債のバランスですよね?銀行は何をチェックするんでしょう?

松野税理士: まず一番に見られるのが、純資産の部にある**「繰越利益」**です。

繰越利益の重要性

繰越利益 = 長年積み上げてきた利益の累計

これが赤字で「繰越欠損」になっていると、銀行から軽く扱われます。

高橋スタッフ: 損益計算書と貸借対照表の違いって何ですか?

松野税理士:

  • 損益計算書:従業員が働き頑張った1年間の成績表
  • 貸借対照表:社長の意思が反映された通知表

社長が借入れを行えば借入金が増えますし、本社ビルを購入すると固定資産が増加します。つまり、貸借対照表は社長の意思で作られるものなんです。


Q6:財務体質が強い会社ってどんな会社ですか?

高橋スタッフ: どんな貸借対照表が理想的なんですか?

松野税理士: 銀行が好む財務体質は:

理想的なバランス

【資産】

  • ⭕ 流動資産が多い(現金、売掛金など)
  • ❌ 固定資産が少ない(不動産、機械など)

【負債】

  • ⭕ 流動負債が適正
  • ❌ 固定負債(長期借入金)が少ない バランスですが 短期のものを長期に切り替えましょう。

理想の比率:

  • 流動資産 > 固定資産
  • 流動負債 < 固定負債
  • 繰越利益が多い

長期の借入金にシフトして移行しましょう。理想は実質無借金

高橋スタッフ: つまり、キャッシュの多い会社が好まれるってことですね。

松野税理士: その通り!銀行はキャッシュの多い会社を好みます。

投資目的で土地を購入すると固定資産が増えて「重たい会社」になってしまいます。土地神話が通用した昔とは違うんです。

短期借入金 → 長期借入金への切り替えのメリット

  1. 資金繰りの安定化
    短期借入金は更新や返済期限がすぐ来るため、常に返済・借り換えのプレッシャーがあります。
    長期借入金にすると、返済期間が分散されて毎月の返済額も一定化し、資金繰りが安定します。
  2. 理想的なバランスシートに近づく
    • 理想は「流動負債<固定負債」
    • 短期借入金が多いと流動負債が膨らみ、資金繰りリスクが高まります。
    • 長期に振り替えることで、バランスシートが健全化されます。
  3. 銀行評価の改善
    銀行は「短期借入金が多い=資金繰りが苦しい会社」と見ます。
    長期借入に切り替えると「計画的に資金を使えている」と評価されやすく、追加融資の可能性も高まります。

【危険信号】役員貸付金は100害あって一利なし!

Q7:役員貸付金があるとダメなんですか?

高橋スタッフ: 先生、決算書に「役員貸付金」がある会社がいくつかあるんですけど…

松野税理士: それ、最悪です!私は決算書を初めて見るとき、役員貸付金があると必ずこう言います。

「社長、役員貸付金は社長が借りた借金ですから、会社に返済してください」

高橋スタッフ: でも「税務署から指摘がないから大丈夫」って言われませんか?

松野税理士: よく言われますね(笑)。でもこう説明します:

役員貸付金が疑われる3つのこと

  1. お金の管理がずさん(不明金が会社から出ている)
  2. 売上の過大計上(仮装経理の可能性)
  3. 帳尻合わせ(赤字隠しに使われている)

結果:銀行の格付けが下がり、融資に超不利!


【重要】勘定科目内訳書を徹底チェック

Q8:勘定科目内訳書って何ですか?

高橋スタッフ: 勘定科目内訳書も見られるんですか?

松野税理士: これがかなり細かく見られます

勘定科目内訳書とは?

貸借対照表の内訳を詳細に記入した書類:

  • 現金預金
  • 売掛金
  • 受取手形
  • 棚卸資産(在庫)

など

銀行がチェックするポイント

❌ 危険信号が出る例:

項目危険な状態疑われること
現金残高異常に多い実際に手元にあるか疑われる
売掛金前年より増加取引条件悪化・仮装経理の疑い
受取手形サイトが長い回収リスク
役員貸付金残高増加売上過大計上・不明金の疑い
棚卸資産大きく増加売れ残り・赤字隠しの疑い

高橋スタッフ: つまり、貸借対照表の内訳だから仮装経理が見破られるってことですね!

松野税理士: その通り!だから勘定科目内訳書は超重要なんです。


【実践】融資に強い決算書を作るポイント

まとめ:銀行が好む決算書

【損益計算書】 ✅ 売上高が安定または成長している
✅ 営業利益がしっかり出ている
✅ 税引後利益が黒字(返済原資がある)

【貸借対照表】 ✅ 繰越利益が黒字
✅ 流動資産 > 固定資産(身軽な会社)
✅ 役員貸付金がゼロ
✅ 現金預金が適正

【勘定科目内訳書】 ✅ 架空資産がない
✅ 売掛金・在庫が適正
✅ 説明できる数字になっている


【経営者の皆様へ】節税と融資のバランスを

高橋スタッフ: 先生、結局どうすればいいんですか?

松野税理士: 節税と融資のバランスが大事です。

当事務所の提案

  1. 将来融資が必要なら、ある程度利益を出す
  2. 強い財務体質に変えていく意識を持つ
  3. 数年かけて繰越利益を増やす
  4. 役員貸付金は絶対に作らない

大企業や経営バランスの良い経営者は、常に利益を出すことを考えています。

目先の節税だけでなく、会社の成長と融資を見据えた決算書作りが重要です。


融資に強い決算書作りは当事務所へ

税理士法人松野茂税理士事務所では、30年の実績で融資に強い決算書作りをサポートしています。

当事務所のサービス

融資を見据えた決算対策
事業計画書・経営計画書の作成支援
金融機関との交渉サポート
財務体質改善のアドバイス
勘定科目内訳書の適正化

節税と融資、両方のバランスを考えた経営支援を行います。


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