こんにちは、税理士法人松野茂税理士事務所です。今回は、外航船の修理について、船会社そのものではなく「船主の代理人としてのマネージメント会社」と契約する場合の消費税の取扱いについて解説します。
基本的な枠組みの確認
消費税法上、「外航船舶の修理」で輸出免税になるのは「船舶運航事業者等の求めに応じて行われる修理」に限られます(消費税法7条、令17条1項3号・2項1号ハ)。
ここで重要なのは、基本通達では「船舶運航事業者等から修理の委託を受けた事業者の求めに応じて行う修理」は輸出免税に含まれない(通常の課税取引)と明示されている点です。これは下請の場合の取扱いです。誤解されがちです。
マネージメント会社が「代理人」として契約する場合
一般に、国際的な船舶管理契約(SHIPMAN型など)では、管理会社は船主の「代理人」として管理業務を行う旨が定められています。
実務でも、外航船舶代理店業協会の「輸出免税対象取引であることの通知」等により、管理会社(エージェント)が船舶運航事業者等の正当な代理人として修理を発注していることを示せれば、「船舶運航事業者等の求めに応じた修理」として輸出免税を認める取扱いが紹介されています。【七訂版 実務家のための消費税実例回答集 p412 282.外航船の修理を行う場合の輸出免税】
「代理」か「二次受託」かの線引きが重要
通達が否定しているのは「船舶運航事業者等から修理の委託を受けた事業者(一次受託者)が、さらに別業者に外注するケース」であり、この場合は下請側の修理は輸出免税の対象外(課税)となります。
一方、管理会社が契約上・実態上「船主(運航事業者)の名において、又は船主のために代理人として修理を発注している」と整理できる場合には、修理事業者から見て「船舶運航事業者等の求めに応じた修理」となります。
実務上の対応ポイント
1. 契約・証憑で代理人であることを明確にする
- 船舶管理契約書に代理権を明示
- 修理発注書・請求書上の名宛人の扱い(船主名+代理人表記など)
2. 外航船であること・運航事業者等に対する修理であることを示す資料の準備
- 外航船舶であることの証明
- 運航状況の資料
- 代理店協会の通知書式など
まとめ
マネージメント会社と直接契約するケースでも、その会社が契約上・実務上、船舶運航事業者等の「代理人として」修理を発注していることが明確であれば、輸出免税の対象と構成し得ます。
逆に、管理会社が運航事業者から修理一式を請け負い、その一部を「下請け」として発注していると評価される場合は、下請け側の取引は輸出免税にはならず、通常の課税売上として取り扱うのが通達上の原則と考えられます。
個別案件では、管理契約書の文言・発注書や請求書の名義関係を確認し、「代理契約」としての証拠固めをしたうえで輸出免税の適用可否を検討するのが安全でしょう。 実務上はほとんど代理契約となっています。
外航船舶の修理に関する消費税の取扱いについてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
事務所概要
税理士法人松野茂税理士事務所
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社員税理士:山本 由佳
所属税理士:近畿税理士会 尼崎支部
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