2026年1月 税理士法人松野茂税理士事務所
スタッフA「先生!ついに仮想通貨が分離課税になるみたいですよ!」
先生「ああ、令和8年度の税制改正大綱ね。20%になるって大騒ぎしてるやつ」
スタッフB「今まで最大55%だったから、すごい減税じゃないですか!」
先生「…まあ、そう単純でもないんだけどね」
スタッフA「え?」
第1幕:そもそも何が変わるの?
先生「まず整理しよう。今までの仮想通貨は?」
スタッフB「雑所得で総合課税。給料と合算されて、儲かれば儲かるほど税率が上がる」
先生「そう。で、改正後は?」
スタッフA「雑所得で申告分離課税!税率20.315%で固定!」
先生「…気づいた?」
スタッフB「何がですか?」
先生「雑所得のままなんだよ」
スタッフA「あ…」
第2幕:株式と何が違うの?
先生「株式の売却益は何所得?」
スタッフB「譲渡所得です」
先生「仮想通貨は?」
スタッフA「雑所得…あっ」
先生「そう。所得の種類が違う。これ、めちゃくちゃ大事」
スタッフB「でも、同じ20%なら一緒じゃないですか?」
先生「じゃあ問題。お父さんが1億円で買ったビットコインが10億円になって、そのまま相続が発生しました」
スタッフA「相続税評価額は10億円ですね」
先生「相続税、ざっくりいくら?」
スタッフB「一人で相続したら…4億円くらい?」
先生「正解。で、相続税を払うために売却しました。所得税は?」
スタッフA「えーと、10億円マイナス取得費1億円で、9億円の利益…」
スタッフB「55%で約5億円!?」
先生「そう。10億円もらって、手残り1億円」
スタッフA「ひどい…」
第3幕:分離課税になったら解決?
スタッフB「でも先生、分離課税になったら20%ですよね?9億円×20%で1.8億円。だいぶマシじゃないですか」
先生「うん、税率の問題はね。でも取得費加算の特例って知ってる?」
スタッフA「措置法39条!相続税の一部を取得費に加算できるやつ!」
先生「条文読んでみ」
スタッフB「えーと…『譲渡所得に係る所得税法第33条第3項の規定の適用については』…」
先生「はい、そこ」
スタッフA「譲渡所得に係る…」
先生「仮想通貨は?」
スタッフB「雑所得…だから適用されない!」
先生「ご名答」
第4幕:国の本音
スタッフA「ちょっと待ってください。わざと雑所得のままにしてません?」
先生「おっ、鋭いね」
スタッフB「譲渡所得にしたら何がついてくるんですか?」
先生「まず取得費加算。それから長期譲渡の1/2課税。あと50万円の特別控除」
スタッフA「全部使えないようにしてる…」
先生「しかもね、相続税評価の方法も違う」
| 上場株式 | 仮想通貨 | |
|---|---|---|
| 評価方法 | 4つから最低を選択 | 相続日の時価一本 |
スタッフB「株は相続前3ヶ月の平均とかから選べるのに、仮想通貨はその日の値段だけ?」
先生「そう。相続日にたまたま爆上げしてたら、高い評価で相続税取られる」
スタッフA「入口でも出口でも不利じゃないですか!」
第5幕:下落したらどうなる?
スタッフB「あと先生、3年の繰越控除ができるようになるって聞きましたけど」
先生「それはありがたいね。今までは損失出ても切り捨てだったから」
スタッフA「じゃあ、相続で10億円の仮想通貨もらって、売る前に5億円に下落したら…」
先生「相続税は10億円ベースで課税済み」
スタッフB「でも売却益は5億円から取得費1億円引いて4億円…」
先生「相続税4億円、所得税0.8億円。手残りは…」
スタッフA「5億円から4.8億円引いて…2,000万円!?」
先生「10億円の財産が2,000万円になりました」
スタッフB「下落リスク、やばすぎません?」
第6幕:結局どうなの?
スタッフA「先生、結局この改正ってどうなんですか?」
先生「いい面もあるよ。税率が下がるのは事実だし、繰越控除もできるようになる」
スタッフB「でも…」
先生「所得区分を雑のままにしたことで、譲渡所得なら使える特典は全部封じてある。特に相続との組み合わせでは、取得費加算が使えないのが痛い」
スタッフA「表向きは『株と同じ20%にしました!』って言えるけど、中身は全然違うってことですね」
先生「条文の『所得区分をどこに置くか』で、ここまでコントロールできるんだよ。税法って面白いでしょ?」
スタッフB「面白い…のかなあ…」
まとめ
令和8年度改正のポイント
✅ 良くなる点
- 税率:最大55% → 20.315%
- 損失の繰越控除:3年間可能に
⚠️ 注意点
- 所得区分は「雑所得」のまま(譲渡所得ではない)
- 取得費加算の特例(措法39条)は適用されない
- 相続税評価は時価一本(株式のような選択肢なし)
- 施行は2028年1月の見込み
相続がらみの仮想通貨は要注意
相続で取得した仮想通貨を売却する場合、相続税との二重課税の調整措置がありません。 特に価格変動リスクも考慮すると、相続発生前の対策がより重要になります。
このブログは令和8年度税制改正大綱(令和7年12月19日公表)に基づく情報です。 実際の法案で内容が変わる可能性がありますので、最新情報にご注意ください。
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