前回は M&A前に配当する方法でB社の純資産の引き下げを説明しましたが今回は 会社分割によるホールデング化を簡単に説明します。
前提
A社は株式の持分会社です。
A社は相続対策が進んでおり、A社の株式は配偶者・長男・長女に分散済みです。
A社の子会社B社をM&Aで売却することにしました。
M&Aの前に、B社が所有するビルをA社に売却を検討していました。
B社の本社ビル
- 簿価:家屋500万円 土地4億円
- 不動産の査定時価:12億円
対話形式での解説
A社オーナー
先生、2~3年後にB社を売却しようと思ってるんだが、B社には15年前に買った本社兼貸事務所のビルがあって、M&Aの前にA社に不動産を売却しようと思ってるんだが、税金はいくらぐらいなんだ。
先生
法人税の理屈では、家屋は簿価、土地は路線価から相続税評価を計算して0.8割戻した金額で評価することが可能なので、家屋は500万円、土地は8億円程度。4億円所得が出るから、法人税35%ぐらい。登録免許税と不動産取得税が固定資産税評価に対して2%と4%だったと思うけど。
A社オーナー
億以上の税金ですか……絶句。できるだけ税金は抑えたいんだが、節税方法を提案してください。
先生
適格会社分割というのがあって、会社を2つに分割して、今回の場合はB社を不動産と事業会社に分割して、分割した不動産をA社に吸収させて、A社をホールディング会社にして、残った事業会社のB社を数年後にM&Aで売却するスキームを組んでみますか?この場合は、不動産は簿価でA社に移転ができます。不動産取得税も非課税です。

A社オーナー
グループ法人税制で利益を繰り延べる方法の場合を考えてたんだけど、M&Aでb社を売却したときに不動産の含み益に課税される……。このスキームはなんか手品みたいな方法ですね?税務調査は大丈夫ですか?
先生
社長は勉強熱心ですね。国の方針で企業活動を活発にするために、企業グループ内での不動産の移転に対しては適格分割などで不動産を時価課税せずに簿価で移転できる仕組みができ上ってるので、決して手品や脱税ではありませんよ。
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