「休日設立特例」の概要と税務上の留意点
2026年(令和8年)2月2日より、株式会社や合同会社などの設立登記において、土曜日・日曜日・祝日・年末年始など、法務局が閉庁する「行政機関の休日」を会社の設立日として指定できる特例制度が始まりました。
これまでは法務局の受付日=設立日でしたが、この改正により、たとえば「1月1日元日」や「3月1日(日曜日)」など、記念日に会社を設立することが可能となっています。
一方で、設立日を変えることで税務届出の期限も前倒しになるなど、実務上の注意点があります。本記事では制度の概要から税務との関係まで、わかりやすく解説します。また尼崎周辺で会社設立をお考えの方には、税務面でのアドバイスも承っておりますので、お気軽にご相談ください。
1.改正の概要
従来、会社の設立日(登記の日)は「法務局が登記申請を受け付けた日」とされていました。このため、法務局が閉庁している土日・祝日・年末年始に会社を設立することはできませんでした。
今回の改正により、「会社設立日として休日を指定できる特例」が創設され、2026年2月2日以降に申請する登記から適用されています。
| 制度のポイント(一覧) ● 施行日 :2026年(令和8年)2月2日 ● 対 象 :株式会社・合同会社・一般社団法人など設立登記全般 ● 内 容 :行政機関の休日(土日・祝日・年末年始)を設立日として指定可能 ● 申請方法 :直前の開庁日に登記申請書へ「指定登記日」を明記して申請 |
2.指定できる「休日」とは
指定できる日は「行政機関の休日」と定められています。具体的には次のような日が該当します。
- 土曜日・日曜日
- 国民の祝日(元日・成人の日・建国記念の日・こどもの日・敬老の日など)
- 年末年始(12月29日〜31日・1月1日〜3日)
| 設立日にできる日の例 ・ 1月1日(元日) ・ 3月1日が日曜日の場合の「3月1日」 ・ 5月5日(こどもの日) ・ 創業者の誕生日が日曜日・祝日に当たる場合 など |
3.申請の要件と手続き
(1)申請日と設立日の関係
重要なのは、指定した「休日設立日」の直前の開庁日(平日)に登記申請をしなければならない点です。たとえば2027年1月1日(元日)を設立日にしたい場合、直前の開庁日である2026年12月27日(金)に登記申請書を提出します。
設立日は「2027年1月1日」となりますが、法務局の審査・登記完了は1月4日(火)以降となるため、「設立日」と「登記完了日」にズレが生じることに注意が必要です。
(2)申請書への記載
登記申請書に「登記の日(指定登記日):○年○月○日」と休日を明示的に記載することが要件です。この記載がない場合は、従来通り「受付日=設立日」として処理されます。記載漏れがないよう、司法書士への依頼時も必ず確認しましょう。
(3)バックデートは不可
すでに経過した日付を遡って設立日にすることはできません。「2月16日に申請して2月14日を設立日に」とすることは不可であり、設立日は申請日(2月16日)となります。あくまでも「これから到来する休日」を事前に指定する制度です。
| ⚠️ 注意事項 ✗ 過去の日付を遡って設立日に指定することは不可 ✗ 申請書に「指定登記日」を記載しないと、受付日が設立日になる ✓ 「直前の開庁日」に申請 → 翌休日が設立日 ✓ 申請書に指定登記日を必ず明記 |
4.税務上の留意点
設立日の変更は単なる「記念日の選択」ではなく、税務届出・消費税の判定・青色申告承認申請など、さまざまな税務上の期限計算に直結します。以下の点を必ず確認・設計してください。
(1)各種届出の期限が前倒しになる
法人設立後に必要な各種届出は「設立日から○日以内」と期限が定められています。設立日を休日に設定すると届出期限も前倒しになりますので、設立後の手続きをスムーズに進める準備が必要です。
| 届出の種類 | 提出先 | 期 限 |
| 法人設立届出書 | 税務署・都道府県・市区町村 | 設立の日から2ヶ月以内 |
| 青色申告の承認申請 | 税務署 | 設立の日から3ヶ月以内または最初の事業年度終了日のいずれか早い日の前日まで |
| 給与支払事務所の開設届 | 税務署 | 設立の日から1ヶ月以内 |
| 消費税の課税事業者届 | 税務署 | 課税事業者となった日以後速やかに |
(2)消費税の課税事業者の判定
消費税の基準期間による課税・免税の判定や、インボイス登録申請の要否なども設立日を基点として計算されます。初年度の事業計画や売上規模の見込みとあわせて確認が必要です。
(3)初年度の決算期の設定
設立日をずらすことで、初年度の事業年度の長さが変わります。初年度は短期になる場合があり、消費税の判定や青色申告の承認手続きに影響することがあります。決算月は事業計画・資金繰りを踏まえて慎重に設定しましょう。
(4)社会保険の加入時期
健康保険・厚生年金保険は設立日(会社成立日)から加入義務が生じます。設立日が休日となっても保険料の起算日・加入手続きは通常通り設立日からとなりますので、年金事務所への届出期限(設立から5日以内)を忘れずに確認してください。
5.よくあるご質問(Q&A)
| Q 土曜日に会社を設立したいのですが、いつ申請すればよいですか? |
| A 土曜日の直前の開庁日(通常は金曜日)の受付時間(8:30〜17:15)内に登記申請書を提出します。申請書には「登記の日:○年○月○日(土)」と指定日を明記してください。記載漏れがあると金曜日が設立日となります。 |
| Q 1月1日を設立日にすることはできますか? |
| A できます。2026年2月2日以降の申請であれば、1月1日(元日)を設立日として指定できます。直前の開庁日(多くの場合12月27日または28日)に申請し、申請書に「登記の日:翌年1月1日」と記載します。 |
| Q 過去の日付(先週の日曜日など)を設立日にしたいのですが可能ですか? |
| A できません。バックデートは不可です。「これから到来する休日」を事前に指定する制度ですので、過去の日付を遡って設立日にすることはできません。 |
| Q 設立日を休日にすると税務届出の期限はどうなりますか? |
| A 届出期限は設立日を基点として計算されます。設立日が早まれば、法人設立届出書(2ヶ月以内)・青色申告承認申請書(3ヶ月以内等)・給与支払事務所開設届(1ヶ月以内)なども前倒しとなります。税務署・都道府県・市区町村への届出を漏れなく、早めに行う必要があります。 |
| Q 記念日に設立する際のメリット・デメリットを教えてください。 |
| A メリットは、記念日を設立日とすることで会社への愛着が生まれる、周年記念日として社内外に発信しやすい点です。デメリットは、届出期限の前倒しにより手続きが慌ただしくなる可能性がある点や、初年度決算期が短くなる場合がある点です。設立日の選択は、ご希望の記念日と税務・実務上の設計を総合的に検討することをお勧めします。 |
まとめ
2026年2月2日以降、会社設立登記において土日・祝日・元日などの行政機関の休日を設立日として指定できる「休日設立特例」が始まりました。創業記念日を思い通りの日付にできる一方で、実務上は次の3点を必ず押さえてください。
| 実務上の3つのポイント ① 指定日の「直前の開庁日」に登記申請書を提出すること ② 申請書に「指定登記日(登記の日)」を必ず記載すること(記載漏れは無効) ③ バックデートは不可。あくまでも「これから到来する休日」の事前指定 |
また、設立日をどう選ぶかは記念日の希望だけでなく、税務届出の期限・消費税の判定・初年度の決算月・社会保険の加入時期を総合的に設計することが重要です。
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