第5回 非上場株式の評価|特定の評価会社6種類の判定順序と評価方法を税理士が解説

第5回 非上場株式の評価|特定の評価会社6種類の判定順序と評価方法を税理士が解説

非上場株式の評価において、特定の評価会社に該当するかどうかの判定は、会社の実態を適切に反映させるために重要な手続きです。今回は、特定の評価会社6種類の判定順序と、それぞれの評価方法について解説します

目次

特定の評価会社の判定順序

特定の評価会社の判定は、以下の順番で行います。上位の要件に該当すれば、その時点で判定が確定し、下位の判定は行いません。

  1. 清算中の会社
  2. 開業前または休業中の会社
  3. 開業後3年未満の会社・比準要素数0の会社
  4. 土地保有特定会社
  5. 株式等保有特定会社
  6. 比準要素数1の会社

この順序で判定を進め、最初に該当した区分で評価を行うことになります。

各特定の評価会社の詳細

1. 清算中の会社

清算手続き中にある会社が対象です。

評価方法
財産評価基本通達189-6に基づき、清算により配分を受ける金額を、配当期日から評価日までの期間に応じた基準年利率による複利現価で評価します。複数回配当がある場合は、それぞれの現価額の合計額となります。

注意点
同族株主以外の株主についても、配当還元方式ではなく、この清算価額による評価を行います。

2. 開業前または休業中の会社

事業をまだ開始していない会社、または休業中の会社が該当します。

評価方法
純資産価額方式で評価します。

3. 開業後3年未満の会社・比準要素数0の会社

設立後3年を経過していない会社、または類似業種比準方式の比準要素(配当金額、利益金額、純資産価額)がすべて0の会社が該当します。

評価方法
原則として純資産価額方式で評価します。

同族株主以外の株主の取扱い
配当還元方式で評価しますが、配当還元価額が純資産価額を超える場合には、純資産価額により評価します。

4. 土地保有特定会社

土地等の価額が、会社の規模に応じた一定割合以上を占める会社です。

判定基準

  • 大会社:土地等の割合が総資産価額の70%以上
  • 中会社:土地等の割合が総資産価額の90%以上
  • 小会社:土地等の割合が総資産価額の50%以上

評価方法
純資産価額方式で評価します。

詳しくは第4回 土地保有特定会社の株式評価を徹底解説―尼崎の税理士が実務のポイントを語る 

5. 株式等保有特定会社

株式、出資および新株予約権付社債の価額の合計額が、総資産価額の50%以上を占める会社です。

評価方法
純資産価額方式、またはS1+S2方式(株式等部分とそれ以外の部分を区分して評価する方式)のいずれかで評価します。

詳しくは 第2回 株式等保有特定会社の評価と実務上の注意点 | 尼崎の税理士が解説

6. 比準要素数1の会社

類似業種比準方式における3つの比準要素(配当金額、利益金額、純資産価額)のうち、いずれか1つの要素だけが0で、残り2つの要素のうち1つだけが基準を満たす会社です。

評価方法
純資産価額方式、または併用方式(類似業種比準価額と純資産価額の併用)で評価します。

詳しくは こちら第3回 非上場会社の株式評価 比準要素数1の会社とは?注意点 | 尼崎の税理士が解説

判定における重要なポイント

特定の評価会社の判定では、以下の点に注意が必要です。

  • 判定は必ず上記の順序で行い、該当した時点で確定します
  • 複数の要件に該当する可能性がある場合でも、判定順位の高い方が優先されます
  • 各評価会社の判定基準となる数値は、評価会社の実態を正確に把握して計算する必要があります
  • 同族株主とそれ以外の株主では、評価方法が異なる場合があります

免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別具体的な税務相談に対する回答ではありません。実際の株式評価においては、会社の状況や評価時期により判断が異なる場合がありますので、必ず税理士等の専門家にご相談ください。


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