居住用3千万円控除の「一の家屋」について
スタッフ:
今日は居住用の3千万円の計算をしてみよう。
先生~ 建物が2つあるので夫婦が住んでた家屋と子供部屋を分けて譲渡所得を計算するんですよね?
土地は 2つの家屋の面積案分しないといけないし面倒だな~
先生:


図Aのような場合には 措置法通達35-2により生活上一体として認められるから、母屋と子供部屋も含めて譲渡所得を計算して居住用の3千万円を引くんだよ!
母屋と離れの子供部屋は 下の条文通り、これらが構造上又は利用状況からみて生活上一体と認められる場合には、これらを合わせて「一の家屋」として取り扱う。
甲の所有期間が10年超の場合には居住用の軽減税率も忘れないでね。居住用の3千万円控除と税額の軽減はセットだよ。
もう一つの図Bは見ればわかるよね。2つの建物は独立して生活できるから2つの建物になる。すなわち 甲が生活していた1つの建築物が【一の家屋】になるんだ
措置法通達35-2〔居住用財産の意義〕
租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第35条第1項に規定する「居住の用に供する一の家屋」及びその敷地の用に供されている土地等とは、納税者がその者の居住の用に供している一の家屋(当該家屋に係る敷地の用に供されている土地等を含む。)をいうのであるから留意する。
2 例えば、母屋と離れとがあり、これらが構造上又は利用状況からみて生活上一体と認められる場合には、これらを合わせて「一の家屋」として取り扱う。
スタッフ:
図にするとわかりやすい。図Aと図Bは違いがわかりやすい
相続空き家特例の適用要件
スタッフ:
相続空き家特例 去年相続税の申告をしたお客様の相続した不動産が売れたみたいなんだ。
① 相続を開始した日から3年を経過する日の12月31日までに譲渡しないといけないから 相続税の申告からは2年ほどなので売却を先生は急がせた。
②昭和56年5月31日以前に建築された家屋(旧耐震基準)であるのは相続の時に確認してた。
③取り壊して売却
④売買金額は1億円以下(先生は契約金が一億円じゃなくて 固定資産税の精算金も含めると言っていた。取り壊しを買い取り業者がする場合には取り壊し費用も計算して1億円であること それと 市役所に被相続人の居住用家屋の証明書をもらうように念を押していた。
相続空き家は要件が厳しいから何度もチェックしておかないと失敗する。 最後にもう一度確認しよう~
相続空き家特例の「一の建築物」について
スタッフ:
図のCは図Aと同じなので 2つの建築物を【一の家屋】として 全部を空き家の3千万円控除にしてよいんですよね?
先生:

相続空き家は【一の家屋】ではなく【一の建築物】なんだ
通達 35-10(被相続人居住用家屋の範囲) 抜粋(措置法関係通達)
35-10
被相続人から相続又は遺贈により取得した家屋が、措置法第35条第4項に規定する「相続の開始の直前において当該相続又は遺贈に係る被相続人の居住の用に供されていた家屋」に該当するかどうかの判定は、相続の開始の直前における現況に基づき、31の3-2に準じて取り扱うものとする。
この場合において、当該被相続人の居住の用に供されていた家屋が、例えば、主として当該被相続人の居住の用に供していたと認められる一の建築物のみが被相続人居住用家屋に該当し、当該一の建築物以外の建築物は、被相続人居住用家屋には該当しないことに留意する。
タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
① 「主として被相続人の居住の用に供されていた一の建築物に限ります。」
→ページ中の見出し「特例の対象となる『被相続人居住用家屋』…」の(1)段落に記載。
② 母屋+離れがある一団の土地の面積按分の計算方法
→同じ見出しの(2)段落・末尾の「なお、…用途上不可分の関係にある2以上の建築物(母屋と離れなど)…」に記載。
「一の家屋」と「一の建築物」の違い
スタッフ:
【一の家屋】と【一の建築物】 意味わからないよ~
先生:
相続空き家は居住用の3千万円控除とは全く異質の考え方で厳しいんだ~
新しい措置法なので 私も税理士会のビデオ研修で数年前に教えてもらった○○先生が 【一の家屋】と【一の建築物】を理解しないと相続空き家は理解できないと~
相続空き家は 被相続人の住んでいる母屋だけを家屋の面積で案分する。
範囲は狭いんだ~
スタッフ:
やたらと ややこしいんだね
参考リンク
国税庁タックスアンサー No.3306
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
(参考)通達 35-10 を含む資料(PDF)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/joto-sanrin/161013/161013.pdf
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