相続財産が「ない」ことの確認方法|相続放棄・手続前に必ず行うべき調査とは | 尼崎の税理士が解説

相続財産が「ない」ことの確認方法|相続放棄・手続前に必ず行うべき調査とは | 尼崎の税理士が解説

事務員: 松野先生、最近お客様から「親が亡くなったけど、財産なんて何もないはずだから相続手続きは不要ですよね?」というご相談を受けることが増えています。本当に財産がないかどうか、どうやって確認すればよいのでしょうか?

税理士: それは非常に重要な質問ですね。「財産はない」と思い込んでいたら、後から借金が見つかったり、実は不動産があったりすることがよくあるんです。相続放棄の期限は原則として相続開始を知った日から3か月以内ですから、この期間内にしっかりと調査することが大切です。

なぜ相続財産の調査が重要なのか

事務員: 財産調査をしないとどんなリスクがあるのですか?

税理士: 主に3つのリスクがあります。

  1. 隠れた負債のリスク – 亡くなった方が保証人になっていた借金や、知らない借入金が後から判明することがあります
  2. 相続放棄期限の経過 – 3か月を過ぎると原則として相続放棄ができなくなります
  3. 思わぬ財産の発見 – 実は価値のある不動産や預貯金があったのに、相続放棄してしまうケースもあります

プラスの財産の調査方法

事務員: まず、プラスの財産はどのように調査すればよいでしょうか?

税理士: 体系的に調査することが大切です。主な調査項目と方法を説明しましょう。

1. 預貯金の調査

  • 自宅の通帳、キャッシュカードを確認
  • 郵便物から金融機関を特定
  • 主要な金融機関に「残高証明書」を請求(相続開始日現在)
  • ゆうちょ銀行は「現存照会」で全国の口座を一括調査可能

事務員: 残高証明書の取得には何が必要ですか?

税理士: 一般的に以下の書類が必要です:

  • 被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
  • 請求者が相続人であることを証明する戸籍謄本
  • 請求者の本人確認書類
  • 各金融機関所定の請求書

2. 不動産の調査

  • 固定資産税納税通知書の確認(毎年4~5月頃送付)
  • 市区町村役場で「名寄帳(なよせちょう)」を取得
  • 法務局で「登記事項証明書」を確認
  • 権利証(登記識別情報)の有無を確認

事務員: 名寄帳というのは初めて聞きました。どんなものですか?

税理士: 名寄帳は、その市区町村内で被相続人が所有していた不動産の一覧表です。これを見れば、知らなかった不動産が見つかることもあります。ただし、その市区町村内の不動産しか載っていないので、他の市区町村に不動産がある可能性も考慮する必要があります。

3. 有価証券の調査

  • 証券会社からの郵便物を確認
  • 証券保管振替機構(ほふり)に「登録済加入者情報の開示請求」
  • 配当金の支払通知書を確認
  • 株主総会の案内状を確認

4. その他の財産

  • 生命保険:保険証券、保険料控除証明書を確認
  • 貸付金:金銭消費貸借契約書、借用書を確認
  • ゴルフ会員権:会員証、年会費の引落しを確認
  • 貴金属・美術品:自宅の保管状況を確認

マイナスの財産(負債)の調査方法

事務員: 借金などの負債はどうやって調べるのでしょうか?隠れた借金が一番心配です。

税理士: 負債の調査は特に慎重に行う必要があります。主な調査方法を説明します。

1. 信用情報機関への照会 これが最も確実な方法です。以下の3機関すべてに照会することをお勧めします:

  • CIC(シー・アイ・シー) – クレジットカード、信販会社の情報
  • JICC(日本信用情報機構) – 消費者金融の情報
  • KSC(全国銀行個人信用情報センター) – 銀行、信用金庫等の情報

事務員: 相続人が信用情報を取得する際の手続きはどうなりますか?

税理士: 相続人として開示請求する場合、以下の書類が必要です:

  • 被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
  • 請求者が相続人であることを証明する戸籍謄本
  • 請求者の本人確認書類
  • 各機関所定の申込書

手数料は1機関あたり1,000円程度で、郵送でも請求可能です。

2. その他の負債調査

  • 郵便物の確認(督促状、支払通知書)
  • 通帳の引落し履歴を確認
  • 固定資産税、住民税等の滞納確認(市区町村役場)
  • 連帯保証の有無(契約書類の確認)

調査期限と相続放棄の判断

事務員: これだけの調査を3か月以内に行うのは大変そうですね。

税理士: 確かに時間との勝負になります。ポイントを整理しましょう。

調査スケジュールの目安:

  • 1か月目 – 自宅の書類整理、通帳確認、郵便物チェック
  • 2か月目 – 金融機関への照会、信用情報機関への開示請求、不動産調査
  • 3か月目 – 調査結果の整理、相続放棄の判断

事務員: もし3か月で調査が終わらない場合はどうすればよいですか?

税理士: 家庭裁判所に「熟慮期間の伸長」を申し立てることができます。正当な理由があれば、さらに3か月程度延長してもらえる可能性があります。ただし、必ず認められるわけではないので、できる限り3か月以内に調査を完了させることが大切です。

相続財産がないと判明した場合の対応

事務員: 調査の結果、本当に財産が何もなかった場合はどうすればよいでしょうか?

税理士: いくつかのケースに分けて考える必要があります。

1. プラスもマイナスも財産がない場合

  • 相続放棄は不要(そもそも相続財産がない)
  • ただし、後から財産が見つかるリスクを考慮して相続放棄を選択することも可能

2. わずかでも負債がある場合

  • 金額の大小にかかわらず相続放棄を検討
  • 特に保証債務は将来リスクがあるため要注意

3. プラスの財産がわずかにある場合

  • 預貯金が数万円程度なら、葬儀費用として使用可能
  • ただし、相続放棄する場合は手をつけないこと

専門家への相談のタイミング

事務員: どんな場合に専門家に相談すべきでしょうか?

税理士: 以下のような場合は、早めに税理士や弁護士に相談することをお勧めします:

  1. 調査方法がわからない場合 – 効率的な調査方法をアドバイスします
  2. 負債が見つかった場合 – 相続放棄すべきか限定承認すべきか判断が必要
  3. 不動産がある場合 – 評価額の算定や処分方法の検討が必要
  4. 時間的余裕がない場合 – 専門家が代理で調査することも可能
  5. 相続人が複数いる場合 – 全員の意思統一が必要

まとめ

事務員: 相続財産の調査は思っていた以上に複雑ですね。

税理士: そうですね。「財産はないはず」という思い込みは危険です。必ず以下の点を確認してください:

必須調査項目チェックリスト: □ 預貯金(すべての金融機関) □ 不動産(名寄帳の取得) □ 信用情報(3機関すべて) □ 税金の滞納 □ 連帯保証の有無 □ 生命保険

相続開始から3か月という期限がありますので、できるだけ早く調査を開始することが大切です。調査に不安がある場合は、ぜひ早めに専門家にご相談ください。

当事務所では、相続財産調査から相続放棄の手続きまで、トータルでサポートしています。尼崎市御園町の事務所まで、お気軽にご相談ください。


税理士法人松野茂税理士事務所 〒660-0861 尼崎市御園町24 尼崎第一ビル 7F TEL: 06-6419-5140

相続に関するご相談は、阪神尼崎駅徒歩1分の当事務所まで。30年以上の経験を活かし、お客様の状況に応じた最適なアドバイスをご提供いたします。

事務所概要

税理士法人松野茂税理士事務所
代表税理士:松野 茂
社員税理士:山本 由佳
所属税理士:近畿税理士会 尼崎支部
法人登録番号:第6283号
法人番号:4140005027558
適格請求書発行事業者登録番号(インボイス番号):T4140005027558
所在地:〒660-0861 兵庫県尼崎市御園町24 尼崎第一ビル7F
TEL:06-6419-5140
営業時間:平日 9:00〜18:00

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