遺言書の検索と検認について、実務的なポイント | 尼崎の税理士が解説

遺言書の検索と検認について、実務的なポイントを詳しく解説させていただきます。

目次

遺言書の検索と検認|相続開始後に必ず行うべき遺言書の調査と手続き

事務員: 松野先生、相続のご相談で「遺言書があるかどうかわからない」というお客様が多いのですが、遺言書はどうやって探せばよいのでしょうか?また、見つかった場合の手続きも教えてください。

税理士: 遺言書の有無は相続手続きの出発点となる重要な事項です。遺言書があるかないかで、その後の手続きが大きく変わりますからね。まず遺言書の種類と、それぞれの検索方法、そして見つかった場合の検認手続きについて詳しく説明しましょう。

遺言書の種類と特徴

事務員: そもそも遺言書にはどんな種類があるのですか?

税理士: 主に3つの種類があります。それぞれ保管場所や手続きが異なるので、すべて確認する必要があります。

1. 自筆証書遺言

  • 遺言者が全文を自筆で書いた遺言書
  • 自宅保管または法務局保管(2020年7月から保管制度開始)
  • 自宅保管の場合は検認が必要

2. 公正証書遺言

  • 公証役場で公証人が作成
  • 原本は公証役場で保管
  • 検認手続きは不要

3. 秘密証書遺言

  • 内容を秘密にしたまま公証人に存在を証明してもらう
  • 実際にはほとんど利用されていない
  • 検認が必要

遺言書の検索方法

事務員: それぞれどのように探せばよいのでしょうか?

税理士: 体系的に検索することが重要です。順番に説明しましょう。

1. 自筆証書遺言の検索

自宅での検索場所:

  • 金庫、仏壇、書斎の引き出し
  • 重要書類をまとめているファイル
  • 銀行の貸金庫
  • 寝室のタンス、クローゼット
  • 日記帳、手帳の間

事務員: 意外な場所に保管されていることもあるんですね。

税理士: そうなんです。特に高齢の方は、大切なものを仏壇や位牌の近くに置く傾向があります。また、エンディングノートがあれば、そこに遺言書の保管場所が書かれていることもありますよ。

法務局での検索(自筆証書遺言書保管制度):

2020年7月から始まった制度で、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえます。

事務員: 法務局に保管されているかどうは、どうやって調べるのですか?

税理士: 「遺言書保管事実証明書」の交付請求をします。手続きは以下の通りです:

必要書類:

  • 請求書(法務局所定の様式)
  • 被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
  • 請求者が相続人であることを証明する戸籍謄本
  • 請求者の住民票
  • 本人確認書類
  • 手数料800円(収入印紙)

全国どこの法務局でも請求可能で、遺言書が保管されているかどうかを確認できます。

2. 公正証書遺言の検索

事務員: 公正証書遺言はどうやって探すのでしょうか?

税理士: これは「遺言検索システム」という便利な制度があります。

公証役場での遺言検索:

  • 昭和64年1月1日以降に作成された公正証書遺言はデータベース化
  • 全国どこの公証役場でも検索可能
  • 平成26年以降は秘密証書遺言も検索可能

必要書類:

  • 被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
  • 請求者が相続人であることを証明する戸籍謄本
  • 請求者の本人確認書類
  • 手数料は無料(ただし謄本請求は有料)

事務員: 全国の公証役場で検索できるのは便利ですね。

税理士: はい。ただし、検索で見つかっても、その場で内容は教えてもらえません。遺言書を作成した公証役場で謄本を請求する必要があります。謄本の請求には1通あたり250円×ページ数の手数料がかかります。

遺言書が見つかった場合の対応

事務員: 遺言書が見つかったら、すぐに開封してもよいのでしょうか?

税理士: これは非常に重要なポイントです。遺言書の種類によって対応が異なります。

自筆証書遺言(自宅保管)を発見した場合:

  1. 絶対に開封しない – 勝手に開封すると5万円以下の過料の可能性
  2. そのままの状態で保管
  3. 速やかに家庭裁判所に検認申立て
  4. 他の相続人に遺言書の存在を通知

事務員: もし誤って開封してしまったらどうなりますか?

税理士: 開封してしまっても遺言書が無効になるわけではありませんが、過料の対象になる可能性があります。また、他の相続人から「内容を改ざんしたのでは」と疑われるリスクもあります。開封してしまった場合でも、そのまま検認手続きを進めてください。

検認手続きの詳細

事務員: 検認とはどのような手続きなのでしょうか?

税理士: 検認は、遺言書の現状を確認し、偽造や変造を防ぐための手続きです。遺言の有効・無効を判断するものではありません。

検認申立ての手続き

申立先: 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所

申立人: 遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人

必要書類:

  1. 検認申立書
  2. 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
  3. 相続人全員の戸籍謄本
  4. 被相続人の住民票除票
  5. 遺言書(開封していないもの)
  6. 収入印紙800円
  7. 郵便切手(裁判所により異なる、通常3,000円程度)

事務員: 戸籍謄本を集めるのが大変そうですね。

税理士: そうですね。特に被相続人の出生から死亡までの戸籍は、転籍や婚姻などで複数の役所から取得する必要があることが多いです。通常、1~2か月かかることもあります。

検認期日の流れ

事務員: 検認の当日はどのような流れになるのでしょうか?

税理士: 検認期日の流れを説明しましょう。

1. 検認期日の通知

  • 申立てから約1か月後に期日が指定される
  • 相続人全員に通知が送付される
  • 申立人は必ず出席、他の相続人は任意

2. 検認当日の手続き

  • 出席した相続人の立会いのもと遺言書を開封
  • 裁判官が遺言書の形式、内容を確認
  • 日付、筆跡、署名、押印などを記録
  • 所要時間は30分程度

3. 検認済証明書の申請

  • 検認終了後、検認済証明書を申請(1通150円)
  • この証明書がないと不動産登記や預金解約ができない

法務局保管の自筆証書遺言の場合

事務員: 法務局に保管されている遺言書の場合は、検認は必要ないと聞きましたが?

税理士: その通りです。法務局保管の遺言書は検認不要です。代わりに「遺言書情報証明書」の交付を受けます。

遺言書情報証明書の交付請求:

必要書類:

  • 交付請求書
  • 被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票
  • 請求者の本人確認書類
  • 手数料1,400円

事務員: 検認が不要なのは便利ですね。

税理士: はい。しかも、遺言書情報証明書を交付すると、法務局から他の相続人全員に遺言書が保管されている旨の通知が送られます。これにより、遺言書の存在を知らなかった相続人とのトラブルを防げます。

公正証書遺言の場合の手続き

事務員: 公正証書遺言が見つかった場合はどうすればよいですか?

税理士: 公正証書遺言は検認不要で、すぐに執行できます。

手続きの流れ:

  1. 遺言検索で公正証書遺言の存在を確認
  2. 作成した公証役場で謄本を請求
  3. 謄本を使って相続手続きを進める

謄本請求に必要な書類:

  • 被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
  • 請求者が相続人であることを証明する戸籍謄本
  • 本人確認書類
  • 手数料(1通250円×ページ数)

遺言書がない場合の対応

事務員: すべて探しても遺言書が見つからない場合はどうすればよいでしょうか?

税理士: 遺言書がない場合は、法定相続または遺産分割協議で進めることになります。ただし、念のため以下の確認をしておくとよいでしょう。

最終確認事項:

  1. 信頼していた友人や専門家(弁護士、税理士等)に預けていないか
  2. 勤務先の会社に保管していないか
  3. 入院していた病院や施設に預けていないか
  4. 銀行の貸金庫の契約がないか再確認

遺言書に関する注意点

事務員: 遺言書の取扱いで特に注意すべき点はありますか?

税理士: いくつか重要な注意点があります。

1. 複数の遺言書が見つかった場合

  • 日付の新しいものが優先
  • ただし、抵触しない部分は古い遺言も有効

2. 遺言執行者が指定されている場合

  • 遺言執行者に速やかに連絡
  • 相続人は勝手に財産を処分できない

3. 遺留分の問題

  • 遺言書の内容が遺留分を侵害していても遺言は有効
  • 遺留分侵害額請求は別途必要

4. 遺言書の隠匿・破棄

  • 相続欠格事由に該当(相続権を失う)
  • 刑法上の私文書毀棄罪の可能性

まとめ

事務員: 遺言書の検索と検認について、よく理解できました。

税理士: 最後に、遺言書に関する手続きの流れをまとめておきましょう。

遺言書手続きチェックリスト:

第1段階:遺言書の検索

  • 自宅の重要書類を確認
  • 法務局に保管の有無を照会
  • 公証役場で遺言検索

第2段階:発見後の対応

  • 自筆証書遺言(自宅)→ 開封せず検認申立て
  • 自筆証書遺言(法務局)→ 遺言書情報証明書の請求
  • 公正証書遺言 → 謄本請求して執行

第3段階:相続手続きの開始

  • 遺言執行者への連絡
  • 相続人全員への通知
  • 遺言内容に基づく財産の名義変更

遺言書の有無は相続手続き全体を左右する重要事項です。相続開始後は速やかに、かつ慎重に検索を行ってください。手続きに不安がある場合は、早めに専門家にご相談いただくことをお勧めします。


税理士法人松野茂税理士事務所 〒660-0861 尼崎市御園町24 尼崎第一ビル 7F TEL: 06-6419-5140

遺言書の検索から検認、執行まで、相続手続き全般をサポートいたします。阪神尼崎駅徒歩1分の当事務所まで、お気軽にご相談ください。

事務所概要

税理士法人松野茂税理士事務所
代表税理士:松野 茂
社員税理士:山本 由佳
所属税理士:近畿税理士会 尼崎支部
法人登録番号:第6283号
法人番号:4140005027558
適格請求書発行事業者登録番号(インボイス番号):T4140005027558
所在地:〒660-0861 兵庫県尼崎市御園町24 尼崎第一ビル7F
TEL:06-6419-5140
営業時間:平日 9:00〜18:00

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