速報 令和8年度税制改正 特定生産性向上設備等投資促進税制(仮称)| 尼崎の税理士法人が解説

速報 令和8年度税制改正 特定生産性向上設備等投資促進税制(仮称)| 尼崎の税理士法人が解説
目次

はじめに

令和7年12月19日、与党の令和8年度税制改正大綱が公表されました。今回の改正で注目すべきは、**「特定生産性向上設備等投資促進税制(仮称)」**の創設です。

この制度は、従来の中小企業経営強化税制(A類型・B類型)とは異なり、大規模な設備投資を促進するための新たな枠組みとして設計されています。尼崎で30年以上の実績を持つ当事務所が、速報として制度の概要と実務上のポイントを解説します。

制度の全体像

制度の目的

国内における高付加価値型の設備投資を促進し、日本経済の競争力を強化することを目的としています。産業競争力強化法の改正を前提に、大規模かつ収益性の高い投資案件を後押しする税制です。

税務メリット(2つの選択肢)

青色申告法人が一定の要件を満たす設備投資を行った場合、次のいずれかを選択できます。

1. 即時償却 取得価額の全額を事業供用年度に損金算入できます。大きな課税の繰延効果が得られます。

2. 税額控除 取得価額の7%(建物、建物附属設備、構築物は4%)相当額を法人税額から控除できます。控除上限は法人税額の20%ですが、一定の場合、繰越超過額について3年間の繰越控除が認められます。

主な適用要件

対象法人

青色申告法人(すべての業種が対象)

対象資産

以下の特定生産性向上設備等が対象となります。

  • 機械装置
  • 工具、器具備品
  • 建物
  • 建物附属設備
  • 構築物
  • ソフトウェア

重要な留意点

  • 国内での事業用に限定(貸付用は対象外)
  • 事務用器具備品や本店・寄宿舎等の建物、福利厚生施設は対象外
  • 中古資産の取得は対象外
  • 建物の改修(増築、改築、修繕、模様替)も含まれる

投資規模の要件

投資下限額

  • 原則:35億円以上
  • 中小企業者または農業協同組合等:5億円以上

確認を受けた日から5年を経過する日までの投資計画期間中の取得価額の合計額で判定します。

個別資産の規模要件 例えば、機械装置ならば1台または1基の取得価額が160万円以上のものといった要件があります(詳細は今後の政令等で明確化される予定)。

投資効率の要件

ROI(投資利益率):年平均15%以上

投資計画における年平均の投資利益率が15%以上となることが見込まれることが求められます。これは従来の制度にはない、高いハードルです。

手続き要件

産業競争力強化法の改正法の施行日から令和11年3月31日までの間に、経済産業大臣の確認を受けることが必要です。

投資計画には以下の記載が求められます。

  • 資金調達手段
  • 取締役会等の適切な機関の意思決定
  • 導入が設備投資を増加させるものであること等

従来の制度との決定的な違い

中小企業経営強化税制(A類型・B類型)との比較

従来のA類型・B類型 中小企業等が経営力向上計画の認定等を前提に、一定の設備投資で即時償却または税額控除を受ける制度。中小企業の投資を広く支援する設計でした。

新制度の特徴 投資総額・ROIなど「案件の大型化・高度化」を条件にして、即時償却(または税額控除)を与える設計になっています。

主な相違点

項目従来制度新制度
対象企業中小企業等が中心全業種(大企業も対象)
投資規模設備単体での要件35億円/5億円以上の計画全体
成果要件生産性向上等の定性的要件ROI年平均15%以上
対象資産主に機械装置等建物・構築物・ソフトウェアまで拡大
手続き計画認定中心経産大臣の確認

実務上の最大の違い

これまで:設備単体の要件充足を積み上げて適用判断しやすい形でした。

今回:投資計画全体で35億円/5億円とROI15%のストーリーを作り、経済産業大臣の確認を取って「計画→実行→申告」へつなぐ必要があります。税務だけで完結せず、事業計画・投資採算の説明が中心となる点が決定的に異なります。

他の税制との併用制限

重要な注意点

投資計画の確認を受けた法人は、その計画期間中、以下の税制による特別償却・税額控除を適用できません。

  • 地域未来投資促進税制
  • 中小企業経営強化税制
  • カーボンニュートラル投資促進税制

同一法人で複数の投資案件が進行する場合、どの税制を適用するかを「計画期間」単位で事前に決める必要があります。

実務上のポイント

最も重要な検討事項

1. 確認の申請タイミング 取得前または着工前など、適切な時期に経産大臣の確認を受ける必要があります(詳細は今後の法令・運用待ち)。

2. ROI15%の算定ロジック

  • 対象利益の範囲
  • 対象投資額の計算方法
  • 計画期間の設定

これらについて、合理的な試算と説明が求められます。

想定される対象案件

  • 工場の建物新築
  • 既存建物の大規模改修
  • 生産ラインの全面更新
  • 基幹システムの刷新

このような大型投資を検討されている場合、以下の準備が必要です。

必要資料のチェックリスト

  • 投資計画書(体裁・様式は今後明確化)
  • 取締役会等の意思決定議事録
  • 資金調達計画
  • ROI試算資料(年平均15%以上の根拠)

まとめ

特定生産性向上設備等投資促進税制(仮称)は、従来の中小企業向け設備投資税制とは異なり、大規模・高付加価値投資を促進する新たな枠組みです。

この制度が向いている企業

  • 35億円以上(中小企業は5億円以上)の大型設備投資を計画している
  • 投資利益率(ROI)年平均15%以上が見込める収益性の高い案件がある
  • 建物や構築物を含む総合的な拠点投資を考えている
  • 全業種が対象ですが、特に製造業や大規模サービス業での活用が想定されます

今後の注意点

詳細な要件や手続きは、産業競争力強化法の改正法施行後に政令・省令・通達等で明確化されます。大型投資を検討されている場合は、早めに専門家へのご相談をおすすめします。


税理士法人松野茂税理士事務所では、設備投資に関する税務相談を承っております

大規模な設備投資をご検討中の法人様、投資計画の策定から税務メリットの最大化まで、豊富な経験を持つ税理士が丁寧にサポートいたします。

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※本記事は令和7年12月19日公表の税制改正大綱に基づく速報です。詳細は今後の法令・通達等で変更される可能性があります。

事務所概要

税理士法人松野茂税理士事務所
代表税理士:松野 茂
社員税理士:山本 由佳
所属税理士:近畿税理士会 尼崎支部
法人登録番号:第6283号
法人番号:4140005027558
適格請求書発行事業者登録番号(インボイス番号):T4140005027558
所在地:〒660-0861 兵庫県尼崎市御園町24 尼崎第一ビル7F
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