第2回 株式等保有特定会社の評価と実務上の注意点 | 尼崎の税理士が解説

第2回 株式等保有特定会社の評価と実務上の注意点 | 尼崎の税理士が解説
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株式等保有特定会社とは

株式等保有特定会社とは、その会社の総資産価額にかかる株式等(株式、社債、新株予約権付社債など)の価額の割合が50%以上ある会社をいいます。

株式等保有割合の判定基準

各資産を相続税評価額で評価し、総資産価額に占める株式等の価額の割合が50%以上になる場合、株式等を保有する特定の会社に該当します。

判定式:

株式等の相続税評価額の合計 ÷ 総資産の相続税評価額の合計 ≧ 50%
株式保有特定会社 評価明細書の一部

評価方法

株式等保有特定会社の場合、原則として純資産価額方式で評価されます。

同族株主及び同族株主等が純資産K額方式で計算する場合には50%未満の同族株主等である場合には純資産価額の計算上80%の適用が可能です、 また同族株主及び同族株主等以外の株主は配当還元法の評価が可能です

ただし、納税者の選択により、「S1+S2方式」による評価も可能です。S1+S2方式は、会社の保有資産を株式等部分とその他部分に分けて評価する方法です。

取引相場のない株式の含み益に対する法人税相当額は純資産価額方式及びS1+S2

S1+S2方式の内容

S1(株式等以外の部分):

  • 株式等を除いた部分を原則的評価方式(類似業種比準方式と純資産価額方式の併用等)で評価

S2(株式等の部分):

  • 評価会社が保有する株式等を時価評価した金額を純資産価額方式(評価差額の法人税相当額を控除した金額)で評価

同族株主及び同族株主等がS1+S2で計算する場合には50%未満の同族株主等であっても純資産価額の計算上80%の適用はありません、 同族株主及び同族株主等以外の株主は配当還元法の評価が可能です

評価会社が取引相場のない株式を有している場合その子会社の純資産価額の計算上は法人税相当額の控除はできません。 S2の評価においても同様です。186-3(評価会社が有する株式等の純資産価額の計算)


どんな会社が該当するか

  • 株式移転などで持ち株会社を作った場合
  • 資産管理会社

「株式等」の範囲

  • 他の企業の株式(上場・非上場)
  • 外国株
  • 株式制のゴルフ会員権
  • 出資金
  • 新株予約権付社債
  • その他、投資利益受益権なども含まれます

株式等保有特定会社の該当を回避する方法

株式等の割合を減らす方法

株式等(上場株式、非上場株式、外国株式など)を売却することで、会社の総資産に占める株式等の割合を50%未満に引き下げます。 

株式以外の資産の割合を増やす方法

  • 不動産(賃貸住宅、オフィスビルなど)、投資信託、匿名組合の持分など、株式等に該当しない資産を購入・増加させることで、株式等の割合を相対的に引き下げます。
  • 事業用の設備や不動産を購入し、資産構成を見直すことも有効です。

否認事例

相続開始直前の対策が否認されたケース

東京地裁及び高裁では、相続人が相続開始直前に証券会社を訪問し、株式等保有特定会社に該当しないように増資により預貯金を増加させて配当したケースについて、【比準要素数1の会社】及び【株式等保有特定会社】外しとして純資産価額で否認を受けた事例があります。

総則第6項の適用事例

さらに、新株発行や借入金により預貯金を増加させて、「相続税負担の軽減を狙った行為」として総則第6項(租税回避行為の否認規定)を適用した案件も多数あります。

通達改正前の判例

また、通達改正前の大会社の事例で25.9%の株式保有率となった法人が「株式等保有特定会社に該当する」と争われ、高裁判決は、株式保有率だけでなく企業の規模や事業の実状を総合的に判断すべきとし、一律の25%ルールの適用を不当とした例があります。

高裁判決は、これらの状況を踏まえ、「株式保有割合25%という数値は、もはや資産構成が著しく株式に偏っているとまでは評価できなくなっていたといわざるを得ない。」とし、相続発生時における通達の合理性を否定しました。

その後の通達改正により、大会社、中会社、小会社のいずれも「株式保有率が50%以上」で株式等保有特定会社と判定されるように修正されました。小会社から大会社まで現在の50%ルールとなりました。

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