無議決権株式の導入により5%以上の株式の移動も配当還元法となる事例説明 M&A 8回目 税理士法人松野茂税理士事務所

無議決権株式の導入により5%以上の株式の移動も配当還元法となる事例説明 M&A 8回目 税理士法人松野茂税理士事務所


無議決権株式の導入により配当還元法による株式の移転が可能となります。 
株価の引き下げ対策をしたくない(生命保険、不動産の購入、借入金は嫌だ!) 会社の規模が数十億円で株価が非常に高く 株価の引き下げ対策の効果が出ない場合などでも無議決権株式の導入+遺言の活用で簡単に相続税対策が可能です。今回は 兄弟姉妹で会社を経営している場合で 会社経営から引退して者が 遺言を書いた場合の説明をします。兄弟姉妹で株を保有している場合の遺言又は生前贈与+無議決権株式の導入は相性が良いと思います。

普通株式を保有しているものが会社の支配権を握ることで、同族株主のいる会社及び中心的な株主となり、無議決権を保有している一族の同族株主は「その他の株主」に分類され配当還元法となることを説明します。

ただし 無議決権株式を乱用して場合は一連の行為は総則6項により否認されるリスクがあります。
無議決権株式の導入には慎重に判断してください。

※同族株主、中心的な同族株主の説明は、別の記事を参考にしてください。

同族株主のいる会社 原則法 配当還元法 フローチャート
遺言又は生前贈与+夢生議決権株式は相性が良い

株式の議決権割合について

本件における株式の議決権割合は以下の通りです。

目次

当初の株式保有状況

  • 株主Aグループ
  • 株主A:6株(6.00%)
  • Aの妻:8株(8.00%)
  • Aの子:6株(6.00%)
  • 株主Bグループ
  • 株主B:11株(11.00%)
  • Bの妻:2株(2.00%)
  • Bの子:3株(3.00%)
  • 株主Cグループ
  • 株主C:3株(3.00%)
  • Cの妻:3株(3.00%)
  • Cの子:9株(9.00%)
  • その他
  • 取引先会社など:49株(49.00%)

合計:100株(100.00%)

(一族の議決権割合株主小計:51株(51.00%))
一族の会社は相続対策が進んでおり 51%の支配権を確保して残り49%は取引先の者に保有してもらっています。

遺言による株式の遺贈と議決権割合の変動について

株主Bは、遺言により自己が保有する株式11株のうち、Bの妻に2株、Bの子に9株を遺贈しました。
普通株式のままで Bが遺言を場合の一族の保有割合を説明します。

遺贈前の議決権割合

  • 株主A:6株(6.00%)
  • Aの妻:8株(8.00%)
  • Aの子:6株(6.00%)
  • 株主B:11株(11.00%)
  • Bの妻:2株(2.00%)
  • Bの子:3株(3.00%)
  • 株主C:3株(3.00%)
  • Cの妻:3株(3.00%)
  • Cの子:9株(9.00%)
  • 取引先の会社など:49株(49.00%)
  • 小計:51株(51.00%)
  • 合計:100株(100.00%)

遺贈後の議決権割合

  • 株主A:6株(6.00%)
  • Aの妻:8株(8.00%)
  • Aの子:6株(6.00%)
  • 株主B:0株(0.00%)※11株すべてを遺贈
  • Bの妻:4株(4.00%)(既存2株+遺贈2株)
  • Bの子:12株(12.00%)(既存3株+遺贈9株)
  • 株主C:3株(3.00%)
  • Cの妻:3株(3.00%)
  • Cの子:9株(9.00%)
  • 関係会社:49株(49.00%)
  • 小計:51株(51.00%)
  • 合計:100株(100.00%)

この遺贈により、株主Bの保有株式はゼロとなり、Bの妻の保有株式は2株から4株に、Bの子の保有株式は3株から12株に増加しました。 

遺言前における中心的な同族株主の判定

中心的な同族株主の判定にあたり、各株主グループの議決権割合を検討した結果は以下の通りです。
課税時期のおける中心的な同族株主がどう変化するかを確認します。
中心的な同族株主がいない会社になると会社の経営権が怪しくなりますので遺言を書く際の注意点となります。
遺言を書いた時はA B Cの3名を判定すると議決権数は25%以上で中心的な同族株主のいる会社になります。
しかし 課税時期においては A  Cともに議決権数は25%未満となり 中心的な同族株主のいない会社になってしまい。 Bの相続人は たとえ5%未満の保有でも原則法による評価となります。 数字で確認しましょう。

株主Aグループ

  • A本人:6.00%
  • 配偶者:8.00%
  • 子:6.00%
  • 兄弟(B):11.00%
  • 兄弟(C):3.00%

グループ合計:34.00%

Bが亡くなった後の変動:△11.00%

課税時期における判定 議決権割合:23.00% < 25%

株主Bグループ

  • B本人:11.00%
  • 配偶者:2.00%
  • 子:3.00%
  • 兄弟(A):6.00%
  • 兄弟(C):3.00%

グループ合計:25.00%    
課税時期においては Bはいないので0%

株主Cグループ

  • C本人:3.00%
  • 配偶者:3.00%
  • 子:9.00%
  • 兄弟(A):6.00%
  • 兄弟(B):11.00%

グループ合計:32.00%

Bが亡くなった後の変動:△11.00%

課税時期にいける議決権割合:21.00% < 25%

判定結果

Bが亡くなる前は、A、B、Cが中心的な同族株主に該当しますが、Bが亡くなった後では25%以上でなくなり、中心的な同族株主のいない会社となります。

この場合は、課税時期において、たとえ5%未満の議決権割合でも原則法となります。

そこで、事前にB、Bの妻、Bの子の株式を無議決権株式に変更しました。

事前対策としての無議決権株式への変更

相続対策として、事前にB、Bの妻、Bの子が保有する株式を無議決権株式に変更しました。

変更前の状況

  • 株主A:6株(議決権6株)
  • Aの妻:8株(議決権8株)
  • Aの子:6株(議決権6株)
  • 株主B:11株(議決権11株)
  • Bの妻:2株(議決権2株)
  • Bの子:3株(議決権3株)
  • 株主C:3株(議決権3株)
  • Cの妻:3株(議決権3株)
  • Cの子:9株(議決権9株)
  • 小計:51株(議決権51株)
  • 関係会社:49株(議決権49株)
  • 合計:100株(議決権100株)

無議決権株式への変更後の状況

  • 株主A:6株(議決権6株)7.14%
  • Aの妻:8株(議決権8株)9.52%
  • Aの子:6株(議決権6株)7.14%
  • 株主B:11株(議決権0株)0.00% ※無議決権株式に変更
  • Bの妻:2株(議決権0株)0.00% ※無議決権株式に変更
  • Bの子:3株(議決権0株)0.00% ※無議決権株式に変更
  • 株主C:3株(議決権3株)3.57%
  • Cの妻:3株(議決権3株)3.57%
  • Cの子:9株(議決権9株)10.71%
  • 小計:51株(議決権35株)41.67%
  • 取引先など複数社:49株(議決権49株)58.33%
  • 合計:100株(議決権84株)100.00%

この変更により、B、Bの妻、Bの子が保有する合計16株(11株+2株+3株)の議決権がなくなり、議決権を有する株式の総数が100株から84株に減少しました。
一族の会社の議決権は 41.87%に減少しますが 30%以上なので 同族株主のいる会社に該当することは変わりません。

無議決権株式への変更後における中心的な同族株主の判定

事前にB、Bの妻、Bの子に遺言を書いておいたとしても、Bの妻は配当還元ではなく原則法の評価となります。
そこで 税理士に相談して B、Bの妻、Bの子の株式を無議決権株式に変更しました。
Bは 一族の経営から退き Aに経営権を確保させる目的が慎重に判断して税務上のリスクも税理士の説明を聞きました、。

対策:無議決権株式への変更

B、Bの妻、Bの子が経営に全く関係がないので、事前に無議決権株式とした場合は、50%以上ではなくなりますが、30%以上なので同族株主のいる会社です。

さらに、中心的な同族株主が存在しており、Bの妻、Bの子は配当還元法での相続となります。

中心的な同族株主の判定(無議決権株式に変更した場合)

株主Aグループ

  • A本人:7.14%
  • 配偶者:9.52%
  • 子:7.14%
  • 兄弟(B):0.00%(Bは無議決権株式)
  • 兄弟(C):3.57%

グループ合計:27.38%

相続後も変化なし

判定結果:27.38%

株主Bグループ

(Bは無議決権株式のため判定対象外)

株主Cグループ

  • C本人:3.57%
  • 配偶者:3.57%
  • 子:10.71%
  • 兄弟(A):7.14%
  • 兄弟(B):0.00%(Bは無議決権株式)

グループ合計:25.00%

相続後も変化なし

判定結果:25.00%

A及びCは、中心的な同族株主として判定されます。中心的な同族株主のいる会社となります。

すると、課税時期における議決権割合が0%となるBの妻及びBの子の相続した株式は、配当還元法となります。

B及びBの妻、Bの子は、会社の経営とは無関係であることなどから、無議決権株式に変更しています。

兄弟姉妹の普通株式を無議決権株式にした事例 (簡単な事例)

前提

A B C は兄弟姉妹で

A33% B33% C34%

の普通株式を保有していました。

BとCの株式を無議決権株式への変更した場合は評価方法はどうなりますか?

Aの長男が会社を承継することABCで話し合いでまとまり

BとCは会社の意思決定に参加しないのでBとCの株式を全部

無議決権株式としました。  A、B、Cの課税時における株式の評価方法はどうなりますか?

無議決権株式へ変更した場合の課税時期の議決権割合の図解

無議決権株式に変更後の配当還元法の利用図解

回答

Aの相続人の課税時期における評価は 原則法です

BCの相続人の課税時期における評価は 配当還元法です

理由

Aの相続人である長男は課税時期において中心的同族株主に該当しますので原則法となります

B とCの相続人は課税時期において

①Aが中心的な同族株主に該当するので中心的な同族株のいる会社

②取得後の議決権割合が5%未満

③BC自身は中心的な同族株主にならない

④役員又は役員見込み者でない

⑤その他の株主に該当して 配当還元法による評価となります。

注意点

一連の行為が、仮に節税目的だけだった場合は、ご存じの通り、無議決権株式はいつでも普通株式に戻すこともできます。一連の行為から税負担を免れる目的だった場合には、総則6項が適用されますので、慎重な判断のもとで必ず専門家の意見を聞いて判断するようにしてください。

無議決権株式への変更は、相続税の節税対策として有効で、株式が分散しても会社の経営権を確保するためには必要な手段と考えます。

議決権割合に含まれないのは【無議決権株式】のみで議決権の無い株式です。【議決制限株式】は議決権を制限されている株式です。どちらも種類株式で混同されやすいが【無議決権株式】と【議決制限株式】は違います。

税理士法人松野茂税理士事務所
〒660-0861 尼崎市御園町24 尼崎第一ビル7F(阪神尼崎駅徒歩1分)
電話:06-6419-5140 / FAX:06-6423-7500
メール:info@tax-ms.jp

目次