はじめに
同族株主でも遺産分割や贈与、遺言うまく利用するとことによってに会社への支配権のない株主として配当還元で評価できます。今回は会社を継がない株主(分家)の場合を詳しく解説します。会社を継ぐ株主(本家)の場合は次回以降で説明します。
同族株主の定義・範囲
同族株主とは
同族株主の範囲は、議決権比率と親族・特殊関係者によって明確に定義されています。
会社の株主及びその親族(6親等内の血族、3親等内の姻族)、配偶者、内縁の配偶者、使用人等が該当します。議決権総数の30%以上を保有する「グループ」が同族株主となります。
範囲の具体的な定義
- 「同族株主」とは、株主の1人とその同族関係者が会社の議決権総数の30%以上を持つ場合の、その株主及び同族関係者をいいます。
- 同族関係者には、株主の親族(6親等内の血族、3親等内の姻族)、配偶者、内縁の配偶者、使用人、株主からの金銭など資産で生計を維持している者、その生計を同じくする親族、そして株主が50%以上支配している会社等が該当します。
- 複数のグループがそれぞれ30%以上保有する場合は、そのグループが同族株主になります。50%超を保有するグループがいる場合は、そのグループのみが同族株主となります。
親族・法人の特定の範囲
- 個人の場合: 6親等内の血族、3親等内の姻族、配偶者および内縁関係にある者、生計を同じくする親族、生計を株主から受けている者
- 法人の場合: 株主本人やその同族関係者が50%以上の議決権を保有する法人、その子会社、持分会社も含まれます。
議決権比率や親族範囲は財産評価基本通達188条や会社法、民法(親族範囲:725条)に定められています。
支配権の有無による評価方法の違い
同族株主のうち、会社の支配権があるのかないのか。支配権がある場合は「原則的評価」、支配権がない場合は「配当還元法」となります。

同族株主と同族株主以外の区分
まず同族株主と同族株主以外に区分します。同族株主以外は配当還元法となります。
同族株主のうち単独で5%以上は原則的評価
同族株主のうち、単独で5%以上であれば原則的評価となります。この5%以上というのは統計的なデータに基づくもので、裁判でも合理性があるものとされています。
次に、同族株主で5%未満であっても、中心的な同族株主がいない場合は原則的評価となります。
中心的な同族株主を理解することが非常に重要です。
中心的な同族株主
中心的な同族株主とは、以下のいずれかに該当する株主をいいます。
- 同族会社の株主
- 下記の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である場合におけるその株主
- 株主等の一人(評価対象者)
- 並びにその配偶者、直系血族、兄弟姉妹
- 一親等の姻族、(生存配偶者の父母、配偶者の子、評価対象者の子の配偶者)
中心的な同族株主の理解が非常に重要です。25%以上の議決権があれば中心的な同族株主に該当します。
評価対象者が中心的な同族株主である場合は原則的評価
5%未満の評価対象者が中心的な同族株主である場合は、会社の支配権があるので原則的評価となります。
役員又は役員見込者は原則的評価
5%未満の評価対象者が役員又は役員見込者であれば、会社への支配権があるので原則的評価となります。
役員の範囲
役員の範囲は以下の通りです。
- 社長、理事長
- 代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人
- 副社長、専務、常務、その他これに準ずる職制上の地位を有する役員
- 取締役(委員会設置会社の取締役に限る)、会計参与及び監査役並びに監事
したがって、平取締役や、業務執行権を持たない役員は役員に含まれません。
同族株主でもその他の株主は配当還元法 今回の論点
5%未満の同族株主の場合、評価対象者が中心的な同族株主でないこと・役員又は役員見込者に該当しなければ【その他の株主】として、会社への支配権がないので配当還元法が使えます。
本家の株主と分家の株主は立場が違います。分家の株主は配当還元法になりやすい特徴があります。
具体例と分家株主の評価
父から長男は40%の株の相続を受け会社の経営をしています。
次男は、父から20%の株を相続を受け会社の役員をしています。
次男には、配偶者と3人の子供とその孫が3名います。
子供はサラリーマンで会社の経営に興味がありません。
どのようにすれば配当還元法が使えますか?
長男が中心的な同族株主に該当しますので、中心的な同族株主のいる会社として、評価対象者が中心的な同族株主に該当しないこと、役員(見込み者)でもないことから、贈与又は相続で各自5%未満になるように分けることによって配当還元法となります。
例えば、分家株主が5%未満を取得し、中心的な同族株主・役員に該当しなければ配当還元法評価ができます。
実務現場での注意点・根拠
- 判例や財産評価基本通達を根拠に、実質的支配関係や契約によっても株主グループの判定が行われる場合があります(平成23年9月28日裁決など)。
- 必ず評価通達・判例を根拠として申告・相談を進めてください。
まとめ
今回は、配当還元法が使いやすい分家の同族株主の具体例を説明しました。次回のblogでは、本家の社長の相続対策で、贈与や遺言で意図的に5%未満を取得させることで配当還元法を使える事例を解説します。
同族株主でも支配権がなければ配当還元方式で評価できる理由を徹底解説 M&A 5回目!社長と税理士の相談事例 M&A 4回目|税理士法人松野茂税理士事務所
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