不動産M&Aの税金対策|株式譲渡と会社分割のメリット・デメリットを税理士法人松野茂税理士事務所が解説 M&A 3回目

不動産M&Aの税金対策|株式譲渡と会社分割のメリット・デメリットを税理士法人松野茂税理士事務所が解説 M&A 3回目
目次

はじめに

近年、会社が5年以上所有している不動産を会社の株式で譲渡する手法が注目されています。平成29年の分割型分割の要件が緩和されたことにより、一部の大手銀行や不動産会社でこのスキームが実行されています。

今回は、この不動産M&Aスキームについて、売り手側・買い手側のメリット・デメリットを税務の観点から解説します。


不動産M&A 税理士法人松野茂税理士事務所画像
法人税と配当課税の2重課税 税理士法人松野茂税理士事務所

売り手側のメリット

株式譲渡なので20.315%の分離課税ですむ

  • 所得税及び復興所得税:15.315%
  • 住民税:5%

仮に法人で売却した場合は法人税35%と、その資金を配当で受け取る場合の最高税率50%と記載されています(銀行の提案書)。


売り手側のデメリット

会社分割の費用が発生

会社分割を実行するための各種費用(登記費用、専門家報酬等)が発生します。

そもそも最高税率を支払って個人の預貯金にする方がよいのか?

銀行などの提案書では、会社で不動産を売却した場合の税負担を次のように記載しています。

  • 売却益に対する法人税:35%
  • その収入金額を配当により個人が受け取った場合の税負担:最高税率50%

つまり、法人税35%+配当課税50%の二重課税となることを強調して、株式譲渡による20.315%の税率の有利性をアピールしているわけです。

しかし、この点は慎重に検討する必要があります。配当で受け取らず、その財産を会社の中に置いたままにしておけば、場合によっては相続財産として次世代に引き継ぐことができます。
及び 相続財産となった被相続人の株式は相続樫肥後3年以内に自己株として譲渡した場合は特例があります。慎重な判断が求められます。

会社の中に置くだけで相続対策となる

被相続人の株式を相続した場合、発行会社に自己株式で取得した場合は20%程度の株式譲渡税ですむ特例もあるので、メリットは少ないように思います。

不動産の売却価格が何割か安くなる

相手も商売なので配当課税50%がなくなる分、不動産の価値を下げてくるケースが多いようです。
慎重に判断してください>


買い手側のメリット

  1. 不動産を安く手に入れる
  2. 不動産の登録免許税や不動産取得税がかからない

税理士としての意見

不動産の価格が下がらないのであれば売り手側にも大きなメリットがありますが、会社での売却益に対する法人税35%はかならず掛かります。

配当所得の最高税率50%を記載して税効果をうたうのは感心しません。実態として不動産価格が下がるケースが多いことを考慮すると、慎重な検討が必要です。


平成29年度改正による分割型分割の適格要件

平成29年の分割型分割の株式継続保有要件が改正されました。

  • 株式継続保有要件は分割承継法人にのみとなり
  • 分割親法人の株式の譲渡は適格要件から外れました

そのため、一部不動産の取引が会社分割を利用するスキームが生まれました。


まとめ

不動産M&Aのスキームは、税制改正により実現可能となった手法ですが、表面的な税率だけでなく、実際の不動産価格の変動や将来の相続対策まで含めた総合的な判断が必要です。

ご自身の状況に応じた最適な選択をするためには、専門家への相談をお勧めします。


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