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共有を避けたい相続人の選択肢
相続不動産を複数の相続人で取得する場合、「共有にすると後々面倒」というのは、実務でよく耳にするお悩みです。そこで、共有を避けるために代償分割を選択するケースがありますが、空き家特例との関係では注意が必要です。
事例の概要
相続関係
- 被相続人:甲(空き家の所有者)
- 相続人:AとB(各1/2ずつの法定相続分)
- 遺産分割協議により空き家を分割予定
当初の希望 共有を避けたいので、Aが単独で取得し、Bに代償金を支払う代償分割を検討。
代償分割の場合:要注意!
代償分割とは
Aが不動産を単独で取得し、Bに対して代償金(例:不動産評価額の1/2相当額)を支払う遺産分割方法です。
空き家特例の適用可否
- Aの場合:適用あり
Aは相続により空き家を取得し、譲渡するため適用OK - Bの場合:適用なし
Bは空き家を相続により取得していません。Bが受け取った代償金は、不動産の譲渡対価ではなく相続財産の代償です。したがって、Bには空き家特例は適用できません。
換価分割の場合:両者とも適用OK!
換価分割とは
相続人が共同で不動産を相続により取得し、その後速やかに譲渡して、売却代金を分割する方法です。
空き家特例の適用可否
- AもBも:適用あり
両者とも「相続により取得」し、「譲渡」しているため、それぞれが空き家特例の適用を受けることができます。
特別控除額
- Aの持分(1/2):最大3,000万円
- Bの持分(1/2):最大3,000万円
- 合計で最大6,000万円の特別控除が可能
両者の比較表
分割方法 | Aの適用 | Bの適用 | 特別控除額(合計) |
---|---|---|---|
代償分割 | ○ | × | 最大3,000万円 |
換価分割 | ○ | ○ | 最大6,000万円 |
実務上のポイント
換価分割を選択する場合、形式的には一旦「共有」になりますが、すぐに譲渡するため、共有に伴う継続的な管理の煩わしさは回避できます。
ただし、換価分割として認められるためには、以下の点に注意が必要です:
- 遺産分割協議書に「換価分割」である旨を明記
- 相続登記も共有で行う
- 相続後速やかに売却する
「共有を避けたい」という理由だけで代償分割を選択すると、思わぬ税負担が発生する可能性があります。空き家特例の適用を最大限活用するためには、換価分割を検討されることをお勧めします。
税理士法人松野茂税理士事務所
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相続不動産の譲渡と遺産分割方法については、税務上の影響を十分に検討する必要があります。30年の実績を持つ当事務所まで、お気軽にご相談ください。
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