経営セーフティ共済とは
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先の倒産リスクに備える共済制度です。独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しており、取引先が倒産した場合に掛金の10倍まで(最大8,000万円)の貸付を受けることができます。
現在約30万の中小企業が加入しており、1件あたりの融資平均金額は720万円となっています。
制度の概要
掛金設定
- 掛金範囲: 月額5,000円~20万円
- 積立上限: 800万円
- 前払い: 年間掛金の前払いが可能
元本保証の条件
- 40ヶ月以上の掛金支払いが元本保証の条件
- 40ヶ月未満での解約は元本割れのリスクあり
節税効果とメリット
全額損金・経費算入
- 個人事業主: 掛金は必要経費として計上可能
- 法人: 掛金は全額損金算入
決算対策として活用
決算時に年間分の前払いを行うことで、最大240万円(月額20万円×12ヶ月)を一括で経費・損金に算入することが可能です。
利益の繰延効果
解約時には個人事業主は雑収入、法人は益金として計上されるため、利益を将来に繰り延べる効果があります。法人の場合は将来の役員退職金の財源として活用することで、より効果的な節税が期待できます。
制度の欠点と注意点
融資利用時のデメリット
- 融資を受けると掛金から借入金の10%相当額が控除される
- 実質的な掛金が減少する
解約時の課税
- 解約時には掛金が全額課税対象となる
- 利益の繰延であり、根本的な節税ではない
その他の制限
- 利息は付かない(資産運用効果なし)
- 個人事業主の場合、本人の退職金には利用不可
制度の将来性への懸念
独立行政法人中小企業基盤整備機構の運営する本制度は毎年赤字基調が続いており、制度の今後のあり方について議論されている状況です。
税理士としての見解
実務経験から申し上げると、単純な節税目的での経営セーフティ共済への加入のお勧めは消極的です。
理由は以下の通りです:
- 制度の将来性に不透明感がある
- 利益の先送りに過ぎない
- 運用益が期待できない
- 融資利用時のデメリットが大きい
より効果的な節税対策をご提案
当事務所では、経営セーフティ共済以外にも、お客様の事業状況に応じた以下のような節税対策をご提案しています:
- 小規模企業共済の活用
- 企業型確定拠出年金の導入
- 適切な役員報酬設定
- 設備投資による特別償却・税額控除
- 組織再編やM&Aを活用した税務戦略
まとめ
経営セーフティ共済は確かに節税効果がありますが、制度の特性を十分理解した上で検討することが重要です。単純な節税目的ではなく、事業継続リスクへの備えとしての側面を重視し、総合的な経営戦略の中で判断されることをお勧めします。
節税対策でお悩みの経営者様は、ぜひ一度ご相談ください。お客様の事業に最適な節税戦略をご提案いたします。
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