第3号被保険者の収入要件130万円壁を超えたら事業主の証明で救済される可能性 | 尼崎の税理士が解説

第3号被保険者の収入要件130万円を超えたら事業主の証明で救済される可能性 | 尼崎の税理士が解説
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はじめに

今年は数件、同様の内容のご相談を受けています。

「個人の飲食店でアルバイトをしています。今年の年末収入が140万円で、夫の会社から第3号被保険者から外れると言われ困っています」

年末時点の収入が「年収見込み130万円以上」と判断されると、原則としてご主人の健康保険の被扶養者から外れ、国民年金の第3号被保険者でもいられなくなります。年収140万円なら、会社から「外れる」と言われるのは一般的な取扱いです。ただし、「今後も継続して130万円を超える見込みかどうか」で結論が変わる場合があります

第3号被保険者の基本的な収入要件

第3号被保険者(ご主人の扶養での年金扱い)は、原則として**「年収130万円未満(見込み)」**が目安です。

重要なポイントは、健康保険の扶養判定は「年末の確定額」よりも、これから1年間の収入見込みで判断され、恒常的に130万円を超えると見込まれた時点で外れる運用が多いということです。

年収140万円でも扶養に残れる可能性

繁忙期の残業やシフト増などで一時的に収入が増えただけなら、「一時的な収入変動」として、事業主(勤務先)が証明書を出すことで、被扶養者認定を継続できる仕組みがあります。

事業主の証明による救済制度

この取扱いでは、連続2回までは被扶養者として認定できる旨が示されています。ただし、最終判断は加入している健康保険(協会けんぽ・健保組合等)が行います。

事業主の証明による被扶養者認定を受けるためには、収入の増加が「一時的な要因によるもの」と認められる必要があります。具体的には次のような例が挙げられます。

  • 他の従業員が休職・退職したことによって業務量が増加した場合
  • 業務の受注量が増加したことによって繁忙化した場合
  • 繁忙期によって勤務時間が長くなった場合

出典:厚生労働省「事業主の証明による被扶養者認定Q&A」

被扶養者の収入確認に当たっての「一時的な収入変動」に係る …

PDFhttps://www.mhlw.go.jp>content 収入証明書そのまま使えると思います。 厚生労働省のリンク先です。

※4 本証明書は、被扶養者認定及び被扶養者の資格確認において対象者の収入を確認する際の添付書類. として、被保険者から被保険者事業所や保険者(健康保険組合等)に提出 

扶養から外れることになった場合に起きること

年金面

第3号被保険者から第1号被保険者(国民年金)への切替が必要になります。

健康保険面

ご主人の扶養から外れた後は、次のいずれかを選択することになります。

  • (A) 自分の勤務先で社会保険に加入する
  • (B) 国民健康保険に加入する

いま取るべき行動(最短ルート)

1. 健康保険の種類を確認

ご主人の会社(人事・総務)に「どの健保(協会けんぽ? 健保組合? 共済?)」かを確認してください。

2. 外れる根拠を明確化

「外れる根拠が”確定年収”なのか、”今後の見込み”なのか」を確認してください。ここが交渉・整理のポイントです。

3. 一時的な収入増の場合

今年だけ一時的に増えた事情があるなら、勤務先に「一時的な収入変動の事業主証明が出せるか」を相談してください。

4. 継続的な収入増の場合

継続的に130万円超が確実なら、勤務先の社会保険加入可否(週20時間以上等の要件)を確認し、無理なら国民健康保険・国民年金の手続へ進んでください。

最も重要な確認事項

今年の140万円は「繁忙期で一時的(来年は130万円未満に戻る見込み)」ですか、それとも「来年以降も同程度の見込み」ですか?

この点の判断によって、取るべき対応が大きく変わります。一時的な収入増であれば、事業主の証明による救済を検討する価値があります。


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