スタッフとの会話調Q&Aで分かる!あなたは創業融資を受けられる?
スタッフA:「所長、『私は創業融資を受けられますか?』という相談が多いんです」
所長:「そうだね。創業融資には明確な条件があるから、まずはそれを確認する必要があるんだ」
スタッフB:「誰でも受けられるわけじゃないんですか?」
所長:「残念ながら、そうじゃない。今日は、2025年最新の情報をもとに、創業融資を受けられる方の条件を詳しく説明しよう」
創業融資の対象者:基本条件
スタッフA:「まず、基本的な条件は何ですか?」
所長:「国民政策金融公庫の創業融資には、大きく分けて2つの基本条件があるんだ」
基本条件1:創業前または創業後間もない方
対象者:
- 新たに事業を始める方
- 事業開始後で税務申告を2期終えていない方
スタッフB:「2期終えていない、というのは?」
所長:「つまり、創業から2年以内ということなんだ」
具体例:
○ 対象になる方:
- これから創業する方
- 創業して6ヶ月の方
- 創業して1年の方
- 創業して1年半の方(まだ2期目の決算を終えていない)
× 対象にならない方:
- 創業して3年経過している方
- すでに2期の決算を終えている方
所長:「つまり、創業から2年が勝負なんだ。それを過ぎると、一般的な事業資金融資になるんだよ」
基本条件2:自己資金要件
所長:「もう一つの重要な条件が、自己資金なんだ」
自己資金要件(新創業融資制度):
創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要
スタッフA:「10分の1、つまり10%以上ですね」
所長:「そう。例えば、総額1000万円の創業資金が必要なら、最低100万円の自己資金が必要なんだ」
具体例:
必要な創業資金が1000万円の場合:
- 自己資金:100万円以上(必須)
- 借入希望額:900万円まで
必要な創業資金が500万円の場合:
- 自己資金:50万円以上(必須)
- 借入希望額:450万円まで
スタッフB:「でも、実際には10%では足りないですよね?」
所長:「その通り。制度上は10%だけど、実際の融資審査では30%以上が望ましいんだ」
自己資金要件の詳細
スタッフA:「自己資金について、もっと詳しく教えてください」
所長:「自己資金は、創業融資で最も重視される項目の一つなんだ」
自己資金として認められるもの
○ 認められる自己資金:
- 本人名義の預金・貯金
- 計画的に貯めたお金
- 退職金
- 配偶者名義の預金(生計を一にする場合)
- 親族からの贈与(贈与契約書がある)
× 認められない・認められにくい自己資金:
- 借入金(借りたお金)
- 見せ金(直前に急に入金されたお金)
- タンス預金(証明できない)
- 親族からの一時的な借入
- 出所不明のお金
所長:「特に重要なのが、計画的に貯めた履歴なんだ」
計画的に貯めた証明
銀行が確認すること:
- 通帳の履歴を過去6ヶ月〜1年分チェック
- 毎月コツコツ貯めているか
- 急に大金が入金されていないか
- 給与からの積立があるか
良い例:
2024年1月:給与25万円入金 → 5万円貯蓄
2024年2月:給与25万円入金 → 5万円貯蓄
2024年3月:給与25万円入金 → 5万円貯蓄
...
2024年12月:給与25万円入金 → 5万円貯蓄
→ 合計60万円を計画的に貯蓄
悪い例:
2024年11月:残高10万円
2024年12月:急に100万円入金(親から借りた)
→ 見せ金と判断される
スタッフB:「計画的に貯めた証明が大切なんですね」
所長:「その通り。創業の準備を計画的にしてきたことを証明する必要があるんだ」
自己資金要件の例外
スタッフA:「自己資金が少なくても融資を受けられる場合はありますか?」
所長:「実は、自己資金要件を満たしたものとみなされる場合があるんだ」
例外1:現在の企業と同じ業種で開業する場合
条件:
- 現在お勤めの企業と同じ業種で開業する
- 同じ業種での勤務経験が6年以上
具体例:
○ 認められる例:
- 飲食店で10年勤務 → 飲食店を開業
- 美容室で8年勤務 → 美容室を開業
- IT企業で7年勤務 → IT事業で開業
△ 微妙な例:
- 飲食店で3年勤務 → 飲食店を開業(経験年数不足)
- 居酒屋で勤務 → カフェを開業(業種が異なる可能性)
所長:「同業種での経験が豊富なら、自己資金が10%未満でも認められる可能性があるんだ」
例外2:産業競争力強化法に定める認定を受けた場合
条件:
- 認定特定創業支援等事業を受けている
- 創業スクール等を修了している
認定特定創業支援等事業とは:
- 市区町村が認定した創業支援プログラム
- 商工会議所の創業塾
- 民間の創業スクール(認定を受けたもの)
内容:
- 経営・財務・販路開拓・人材育成の知識習得
- 原則として1ヶ月以上、4回以上の支援
- 修了証明書の発行
スタッフB:「創業スクールを受けると有利なんですね」
所長:「そう。特に自己資金が少ない方は、創業スクールの受講を検討すべきだね」
尼崎市の創業支援:
- 尼崎商工会議所:創業塾の開催
- 尼崎市:創業支援窓口
- AMAGASAKI創業センター
所長:「尼崎でも創業支援プログラムがあるから、活用すると良いよ」
業種による条件の違い
スタッフA:「業種によって、条件は変わりますか?」
所長:「基本的には同じだけど、一部の業種では特別な制度があるんだ」
生活衛生関係営業の場合
対象業種:
- 飲食店営業
- 喫茶店営業
- 理容業・美容業
- クリーニング業
- 公衆浴場業
- ホテル・旅館業
特別な条件:
- 生活衛生同業組合の推薦があると有利
- 振興事業貸付なら更に優遇
- 金利が低くなる
- 融資限度額が大きい
スタッフB:「飲食店を開業する方は、組合に入った方がいいんですね」
所長:「そう。ただし、組合への加入が必須というわけではないけど、加入すると融資条件が良くなるんだ」
年齢・性別による優遇制度(2025年最新)
スタッフA:「年齢や性別で、有利になることはありますか?」
所長:「あるよ。2025年現在、こういう優遇制度があるんだ」
女性、若者/シニア起業家支援資金
優遇対象者:
- 女性(年齢制限なし)
- 35歳未満の若者
- 55歳以上のシニア
優遇内容:
- 特別利率の適用(基準金利より約0.4%低い)
- 融資限度額:7,200万円
- 技術・ノウハウに新規性がある場合は更に優遇
スタッフB:「女性は年齢に関係なく優遇されるんですね」
所長:「そう。女性起業家の支援に力を入れているんだ。30代でも40代でも50代でも、女性なら優遇金利が適用されるんだよ」
再チャレンジ支援
対象者:
- 過去に廃業経験がある方
- 廃業時の負債を抱えている方
優遇内容:
- 特別利率の適用
- 過去の失敗を問わない
- 経験を評価する
所長:「2025年現在、再チャレンジを応援する流れが強まっているんだ。失敗経験があっても、諦める必要はないよ」
信用情報の確認
スタッフA:「所長、信用情報って何ですか?」
所長:「これも重要な審査項目なんだ」
信用情報とは
信用情報機関が管理する情報:
- クレジットカードの利用状況
- ローンの返済状況
- 延滞・滞納の記録
- 自己破産などの事故情報
審査でチェックされること:
- クレジットカードの延滞がないか
- ローンの滞納がないか
- 携帯電話料金の未払いがないか
- 税金の未納がないか
スタッフB:「税金の未納もチェックされるんですか?」
所長:「そう。特に税金の未納は致命的なんだ」
信用情報で融資が受けられないケース
× 融資が難しいケース:
- クレジットカードの延滞(過去2年以内)
- 住宅ローン・自動車ローンの滞納
- 携帯電話料金の未払い(分割払い)
- 税金の未納(住民税・所得税・消費税等)
- 自己破産(過去7〜10年以内)
○ 問題ないケース:
- 過去に延滞があったが、2年以上前
- すべて完済済み
- 現在は正常
所長:「創業融資を考えているなら、信用情報をクリーンに保つことが絶対に必要なんだ」
2025年の最新トレンド
スタッフA:「2025年現在、何か新しい動きはありますか?」
所長:「いくつか重要な変化があるから、紹介しよう」
トレンド1:DX・デジタル化への積極融資
優遇される事業:
- IT関連事業
- デジタル化を伴う創業
- オンライン完結型ビジネス
- AI・IoT活用事業
優遇内容:
- 審査で有利に評価される
- 特別利率が適用される場合がある
所長:「2025年は、デジタル化が当たり前の時代。IT関連の創業は追い風だね」
トレンド2:グリーン・環境関連事業への優遇
優遇される事業:
- 脱炭素・カーボンニュートラル関連
- 再生可能エネルギー
- SDGs関連事業
- 環境配慮型ビジネス
優遇内容:
- 特別利率の適用
- 融資限度額の拡大
所長:「環境問題への関心が高まっているから、グリーン事業は注目されているんだ」
トレンド3:副業・兼業からの創業
新しい創業パターン:
- 会社員を続けながら創業
- 副業として始めて、軌道に乗ったら独立
- リスクを抑えた創業
融資での扱い:
- 副業でも創業融資の対象になる
- ただし、本気度を示す必要がある
- 事業計画の説得力が重要
スタッフB:「副業でも創業融資が受けられるんですね」
所長:「そう。2025年は働き方が多様化しているから、副業からの創業も認められやすくなっているんだ」
トレンド4:オンライン面談の定着
変化:
- コロナ後もオンライン面談が定着
- 遠方でも申込みしやすい
- Zoom等での面談も可能
メリット:
- 交通費・時間の節約
- 地方でも都市部と同じサービス
- 気軽に相談できる
所長:「尼崎から大阪支店まで行かなくても、オンラインで面談できるようになったんだ」
トレンド5:金利動向(2025年)
2025年現在の金利:
- 基準金利:約2.0〜2.5%
- 特別利率:約1.5〜2.0%
- 中小企業経営力強化資金:約1.0〜1.5%
今後の見通し:
- 日銀の金融政策次第で変動の可能性
- 当面は低金利が継続見込み
- 固定金利を選ぶのも一つの方法
所長:「金利は変動するから、申込み時に最新情報を確認することが大切だね」
創業融資を受けられる方のチェックリスト
スタッフB:「条件を全部まとめて、チェックリストにしてください」
所長:「よし、最終確認用のチェックリストを作ろう」
【創業融資対象者チェックリスト】
基本条件:
- [ ] 新たに事業を始める、または創業2年以内である
- [ ] 税務申告を2期終えていない
- [ ] 創業資金総額の10%以上の自己資金がある
自己資金(より有利に):
- [ ] 創業資金総額の30%以上の自己資金がある
- [ ] 計画的に貯めた証明ができる(通帳の履歴)
- [ ] 見せ金ではない
- [ ] 借入金ではない
経験・スキル:
- [ ] 開業する業種での勤務経験がある
- [ ] 6年以上の同業種経験がある(自己資金要件緩和)
- [ ] 必要な資格・免許を取得している
- [ ] 創業スクール等を修了している
信用情報:
- [ ] クレジットカードの延滞がない(過去2年)
- [ ] ローンの滞納がない
- [ ] 税金の未納がない
- [ ] 自己破産していない(過去7年)
優遇対象(該当する場合):
- [ ] 女性である
- [ ] 35歳未満である
- [ ] 55歳以上である
- [ ] 廃業経験があり再チャレンジする
- [ ] DX・デジタル関連事業である
- [ ] 環境関連事業である
事業計画:
- [ ] 具体的な事業計画書がある
- [ ] 売上予測に根拠がある
- [ ] 返済計画が現実的である
- [ ] 家族の理解を得ている
所長:「このチェックリストで、半分以上にチェックが入れば、創業融資を受けられる可能性は高いよ」
チェック項目が足りない場合の対策
スタッフA:「チェックが少ない場合は、どうすればいいんですか?」
所長:「諦める必要はない。改善できることがたくさんあるんだ」
対策1:自己資金を増やす
方法:
- 6ヶ月〜1年かけて計画的に貯める
- 退職金を活用する
- 配偶者と協力して貯める
- 不要な資産を売却する
所長:「創業を急がず、しっかり準備期間を取ることが大切だよ」
対策2:創業スクールを受講する
メリット:
- 自己資金要件が緩和される
- 創業計画書の作り方を学べる
- 人脈ができる
- 修了証明書がもらえる
尼崎の創業スクール:
- 尼崎商工会議所の創業塾
- 尼崎市の創業支援プログラム
- オンライン創業スクール
対策3:信用情報をクリーンにする
方法:
- すべての延滞を解消する
- 税金を完納する
- クレジットカードの利用を正常化する
- 2年間待つ(延滞記録が消える)
対策4:経験を積む
方法:
- 同業種での勤務を続ける
- 副業で経験を積む
- 必要な資格を取得する
- ノウハウを習得する
所長:「すぐに創業できなくても、準備期間を有効活用すれば、より確実に融資を受けられるんだ」
まとめ:創業融資を受けるための条件
所長:「最後にまとめよう」
創業融資を受けられる方の条件(2025年版)
必須条件:
- 創業2年以内(税務申告2期未満)
- 自己資金10%以上(実際は30%以上が望ましい)
- 信用情報がクリーン(延滞・未納なし)
有利になる条件: 4. 同業種での経験6年以上 5. 創業スクール修了 6. 女性・35歳未満・55歳以上 7. DX・環境関連事業
準備すべきこと: 8. 計画的な自己資金の準備 9. 具体的な事業計画書 10. 家族の理解と協力
スタッフA:「この条件を満たせば、創業融資を受けられるんですね」
所長:「その通り。ただし、条件を満たすだけじゃなく、本気で成功させる覚悟が一番大切なんだ」
スタッフB:「お客様の創業を、しっかりサポートします!」
所長:「それでいい。私たちは、お客様が創業融資を受けて、成功するための全面的なサポートをするんだ」
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