4回目 尼崎の税理士が説明!事業主勘定を使いこなそう – 弥生会計での実務ポイント

尼崎の税理士法人松野茂税理士事務所 事業主勘定の説明
目次

内容

個人事業主の皆様にとって、事業主勘定は簿記検定では学べない、実務で非常に重要な勘定科目です。今回は弥生会計を使った事業主勘定の活用法について、実務経験に基づいてご説明します。

事業主勘定とは

事業主勘定は個人事業主特有の勘定科目で、事業用資産・負債と家事用資産・負債を明確に区分するために使用します。「事業主借」と「事業主貸」の2つがあり、これらを適切に使い分けることで、正確な事業所得の計算が可能になります。

実務での活用場面

元入金の仕訳

開業時の資本金投入

現金預金 1,000,000 / 事業主借 1,000,000

事業を始める際に個人資産から事業資金を投入する場合に使用します。法人の資本金に相当する概念です。

水道光熱費の按分

パターンA:按分して直接仕訳する場合

水道光熱費   60,000 / 現金預金     100,000

事業主貸     40,000 /

パターンB:全額計上後に減額する場合

(支払時)

水道光熱費  100,000 / 現金預金     100,000

(按分処理時)

事業主貸     40,000 / 水道光熱費     40,000

自宅兼事務所などで事業用と家事用の按分が必要な場合、パターンBの方法では一度全額を経費計上し、後から家事用部分を「事業主貸」で減額処理します。

減価償却費の按分

車両や建物の事業・家事按分

減価償却費   200,000 / 減価償却累計額 300,000

事業主貸     100,000 /

車両や建物を事業・家事で共用している場合、家事用部分の減価償却費は「事業主貸」で処理します。

地代家賃の按分

パターンA:按分して直接仕訳する場合

地代家賃     60,000 / 現金預金     100,000

事業主貸     40,000 /

パターンB:全額計上後に減額する場合

(支払時)

地代家賃    100,000 / 現金預金     100,000

(按分処理時)

事業主貸     40,000 / 地代家賃      40,000

自宅の一部を事務所として使用している場合、面積按分等により事業用部分のみを経費計上します。パターンBでは支払時に全額を経費計上し、月末等に按分処理を行います。

妻名義のカードから引き落とされた経費の計上

家族名義の支払いでも事業経費の場合

消耗品費     15,000 / 事業主借      15,000

配偶者名義のクレジットカードで事業用品を購入した場合などに使用します。実質的に個人からの立替払いとして処理します。

按分処理の効率化

弥生会計の按分機能を活用することで、毎月の按分処理を自動化できます。特に水道光熱費や地代家賃など定期的な按分が必要な項目では効果的です。

パソコンの苦手な人は最初は手入力で金額を確認するほうが確実です。

実務上の注意点

年末調整での処理

事業主貸・事業主借は年末に「元入金」勘定に振り替えます。これにより翌年は「元入金」からスタートします。

消費税の取り扱い

事業主貸・事業主借は消費税の課税対象外です。按分処理の際は消費税区分にも注意が必要です。

所得税申告での活用

青色申告決算書では事業主貸・事業主借は「元入金」の増減として表示されます。適切な処理により、正確な事業所得計算につながります。

まとめ

事業主勘定は個人事業主にとって必須の知識です。特に事業・家事按分が多い業種では、正確な処理が節税にも直結します。弥生会計の機能を最大限活用し、効率的な記帳を心がけましょう。

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税理士法人松野茂税理士事務所(尼崎)|事務所概要

税理士法人松野茂税理士事務所
代表税理士:松野 茂
社員税理士:山本 由佳
所属税理士:近畿税理士会 尼崎支部
法人登録番号:第6283号
法人番号:4140005027558
適格請求書発行事業者登録番号(インボイス番号):T4140005027558
所在地:〒660-0861 兵庫県尼崎市御園町24 尼崎第一ビル7F
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