18回 尼崎の税理士が解説|空き家特例と年末契約の取扱い(令和5年改正)相続税関連

税理士法人松尼崎の税理士が解説|空き家特例と年末契約の取扱い(野茂税理士事務所 
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はじめに

相続した空き家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる「空き家特例(租税特別措置法35条の3)」。
令和5年改正により、買主が譲渡後に翌年2月15日までに取り壊しや耐震改修を行えば特例を受けられる仕組みが加わりました。

特に実務で多いのが「年末に契約した場合」。
このとき 引渡し日がいつか によって、適用年や特例の扱いが変わります。


ケース①:12月契約・翌年1月引渡し

  • 契約日:令和5年12月25日
  • 引渡日:令和6年1月20日

👉 不動産譲渡は 引渡日基準 を選ぶことが多いため、この場合は令和6年分の譲渡所得となり、令和7年の確定申告で申告します。

👉 さらに、買主が令和6年2月15日までに取り壊しを完了していれば、空き家特例が適用可能です。


ケース②:12月契約・12月引渡し(ただし家屋は残っている)

  • 契約日:令和5年12月25日
  • 引渡日:令和5年12月28日
  • 家屋は残存 → 買主が翌年1月に解体

👉 従来制度では「引渡し時点で家屋が残っている」ため特例適用は不可でした。
👉 しかし、令和5年改正により、買主が翌年2月15日までに取り壊せば特例適用が可能となりました。


まとめ(2パターンの整理)

  • ケース①(12月契約・翌年引渡し)
     → 翌年の譲渡所得として翌年申告
     → 翌年2月15日までに買主が取壊し → 特例適用あり
  • ケース②(12月契約・12月引渡し・家屋残存)
     → 契約年の譲渡所得として当年申告
     → 従来は特例なし → 令和5年改正で救済され、翌年2月15日までに買主が取壊し → 特例適用あり

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