組織再編による株価引き下げシリーズ 第2回
はじめに
【会社分割】及び【株式移転+会社分割】・【株式交換】など節税目的で組織再編を行うと、総則6項で株式の評価は否認される可能性があります。
事業承継や継続的な会社経営などの目的で経済的な合理性から組織再編を行う必要があります。
この記事では、組織再編と非上場株式の評価の仕組みを深く理解する目的で、仮想の数値を使って解説しています。組織再編の専門家には当たり前のことですので、これから事業承継や非上場株式の評価の勉強を始めるスタッフ向けに、できるだけ分かりやすく書いています。
組織再編と株価引き下げ効果
組織再編が導入された当初、節税効果が注目されました。【合併】【会社分割】などです。
【合併】は前回の記事で紹介していますので、今回は【会社分割】と【株式移転+会社分割】及び【株式交換】を説明します。
【会社分割】の手法
会社分割の手法は、2つ以上の事業部門がある場合に、1つの部門を分割承継法人へ移転する方法です。高収益部門を移転することで、残された分割会社の年利益を大きく引き下げることが可能でした。
しかしながら 年利益金額を引き下げることしか効果がなく、数年後には【株式移転+会社分割】の手法が生まれます。組織再編税制の導入当初は税理士の間では話題になりました。今では古典的な手法です。


【株式の評価の図】


会社分割の改良型【株式移転+会社分割】
これは【会社分割】の発展型です。2つの事業部門がある場合に、1つの部門を分社型分割することで移転させる方法です。 年利益金額と純資産価額(簿価)の両方の引き下げが可能なので株価の引き下げも大きくなります。
雑誌で組織再編のS先生が紹介してからはメガバンクがこの手法で事業承継対策を行い主流となっています。
【株式移転のイメージ図】


【株価引き下げの図】

株式移転+会社分割の具体的手順
第1段階:会社のホールディング化
まず株式移転により、会社をホールディング化します。
第2段階:低収益部門の引き上げ
次に吸収分割により、新設された親会社に対して低収益部門を引き上げます。親会社は低収益で純資産の小さな会社となり、類似業種比準方式の評価が下がります。
【株式交換】
株式交換は、株式移転+会社分割と株価の評価効果は同じです。
最大の欠点
会社規模が小さくなることで、株価が引き下がる可能性があります。
類似業種比準方式の制限
類似業種標準評価額の判定や年利益が適正に計算されないため、2年間は類似業種比準方式が使えません。3年経過しないと類似業種比準方式は使用できないという制限があります。
今回の記事は類似業種比準方式による株価に与える影響を記事にしましたが大会社以外でも効果があります。
最後に今回の記事は組織再編が株価に与える影響に重点を絞って記載しています。組織再編は大掛かりで落とし穴が多く存在していますので時間を掛けシミレーションを行い必ず専門家の意見を聞きながら実行するようにお願いします。
当記事は一般的な知識の習得を目的としているもので個々の案件に対して一切の責任は負いません。
【会社分割】及び【株式移転+会社分割】・【株式交換】による株価の引き下げ効果|税理士法人松野茂税理士事務所
事務所概要
税理士法人松野茂税理士事務所
代表税理士:松野 茂
社員税理士:山本 由佳
所属税理士:近畿税理士会 尼崎支部
法人登録番号:第6283号
法人番号:4140005027558
適格請求書発行事業者登録番号(インボイス番号):T4140005027558
所在地:〒660-0861 兵庫県尼崎市御園町24 尼崎第一ビル7F
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