第4回 土地保有特定会社の株式評価を徹底解説―尼崎の税理士が実務のポイントを語る

第4回 土地保有特定会社の株式評価を徹底解説―尼崎の税理士が実務のポイントを語る
目次

土地保有特定会社とは

非上場会社の株式評価において、「土地保有特定会社」に該当するかどうかは、相続税や贈与税の税額に大きな影響を与える重要な判定です。

土地保有特定会社とは、総資産に占める土地等の割合が一定以上の会社を指します。この判定に該当すると、原則として純資産価額方式による評価となり、類似業種比準方式などの有利な評価方法が使えなくなります。

重要なポイントは、建物は計算に含まれず、土地等のみが対象となることです。多くの経営者が想定する以上に該当するケースが多いのが実情です。

該当しやすい業種と会社の特徴

該当事例の多い業種

不動産投資・賃貸業
賃貸用の土地を多く保有するため、容易に土地保有割合が70%や90%を超えます。アパートやマンション経営をされている会社は特に注意が必要です。

製造業
自社工場用地を多く保有する場合、土地保有割合が高くなるケースがあります。操業年数が長い製造業では、取得時から土地の評価額が大きく上昇している場合もあります。

土地保有目的の会社
相続税対策や資産管理のため、土地のみを法人名義で保有する会社も該当しやすい典型例です。

判定基準の詳細

会社規模別の判定割合

土地保有特定会社の判定は、まず会社規模を判定した上で、以下の割合基準を適用します。

会社規模の判定は 第1回目【取引相場のない株式評価】会社規模判定の方法を徹底解説|尼崎の税理士

会社規模土地保有割合の基準
大会社70%以上
中会社90%以上
小会社 大会社並みの総資産簿価 70%以上 中会社並みの総資産簿価 90%以上

会社規模の判定方法

  • 貸借対照表の総資産簿価+従業員数(いずれか小さい方)
  • 損益計算書の取引金額(売上高)
  • 上記のいずれか大きい方で判定

小会社に判定された場合は、再度総資産簿価で判定を行います。従業員5名以下の会社の多くがこれに該当します。

土地保有特定会社 小会社の判定
土地補修特定会社 明細書の一部

計算上の重要な注意点

評価ベースの違い
会社規模の判定は帳簿価額で行いますが、土地保有割合の計算は相続税評価額ベースで行われます。これにより、帳簿上の認識と実際の判定結果が異なる場合があります。

土地の範囲
以下のすべてが土地保有割合の計算対象となります:

  • 自社所有の土地(使用目的を問わず全て)
  • 地上権、借地権、賃借権、永小作権などの土地の上に存続する権利
  • 販売用の土地(棚卸資産)
  • 貸宅地、貸家建付地

特に注意が必要なケース
歴史の長い同族会社では、親族所有の土地の上に建物を建てているケースがあります。この場合、簿価は小さくても自然発生的に借地権が大きくなっている可能性があり、要注意です。

評価方法と実務上の重要ポイント

基本的な評価方法

土地保有特定会社に該当した場合、純資産価額方式により評価します。

ただし、取得者および同族関係者の議決権割合が50%以下の場合は、80%評価も可能です。また、同族株主以外の株主については、配当還元法による評価が適用できます。

租税回避防止規定への対応

課税時期前3年以内の特例

課税時期前3年以内に取得した土地等は、通常の取引価額(時価)で評価します。

資産構成の変動への対応

課税時期前に合理的な理由なく評価会社の資産構成を変動させ、土地保有特定会社の判定を免れようとした場合、その変動はなかったものとして判定されます。

具体例
金融機関から多額の借入れを行い、定期預金にすることで土地保有割合を引き下げた場合、その借入れが判定回避目的と認められれば、変動前の状態で判定が行われます。

判定時期の取扱い

原則として課税時期で判定しますが、課税上の弊害がない場合は直前期末の数値で判定することも認められています。

実務上の対策ポイント

  1. 定期的な株式評価シミュレーション
    年に一度は土地保有割合を確認し、特定会社に該当するかをチェックしましょう。
  2. 事業承継の早期計画
    土地保有特定会社に該当する場合、純資産価額方式での評価となるため、承継時の税負担が大きくなります。早めの対策検討が重要です。
  3. 組織再編の活用
    会社分割や持株会社化などの組織再編を活用することで、土地保有割合を調整できる場合があります。ただし、租税回避と認定されないよう、合理的な事業目的が必要です。
  4. 借地権の適正評価
    長期間同族間で土地を貸借している場合、借地権が自然発生的に高額になっている可能性があります。定期的な見直しが必要です。

まとめ

土地保有特定会社の判定と評価は、非上場株式の評価において最も専門性が求められる分野の一つです。

  • 建物は含まず土地等のみで判定される
  • 相続税評価額ベースでの計算となる
  • 該当すると純資産価額方式での評価となり、税負担が増大する可能性がある
  • 租税回避防止規定により、直前の対策は制限される

当事務所では、30年以上の経験を活かし、土地保有特定会社の判定から評価、そして事業承継対策まで、一貫したサポートを提供しております。

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お気軽にご相談ください。


税理士法人松野茂税理士事務所
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免責事項
本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別具体的な税務アドバイスを提供するものではありません。実際の適用にあたっては、個々の事情に応じて税理士等の専門家にご相談ください。税制は改正される可能性がありますので、最新の情報をご確認ください。


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