繰越欠損金を使うには期中合併・期首合併のどちらが有利 | 尼崎の税理士法人松野茂税理士事務所の解説

期中合併と繰越欠損金 税理士法人松野茂税理士事務所

組織再編シリーズ 連載

グループ内の適格合併なので支配関係は5年以上なので欠損金の引継制限 欠損金の使用制限

特定資産譲渡等損失の制限はあまり考える必要はありません。

次の合併法人での決算で繰越欠損金を使うための留意点をまとめてみました。

①被合併法人の繰越献金をすぐに使う場合には期中合併です。

②ただし 期中合併を行うと被合併法人の繰越欠損金が9年分(8年分)しか引き継げなくなります。
合併法人に引継げる被合併法人の繰越欠損金は合併の日前10年(9年)以内に開始した事業年度の繰越欠損金です。
下の図で確認して1年ずれることを確かめてください。

③合併法人と被合併法人の事業年度がずれていると被合併法人の繰越欠損金が10年分引き継げると思っていたところ繰越欠損金の使用期限が1年短くなります【合併の日前10年以内に開始した事業年度分の繰越欠損金が引継対象となっています。】 最終確認は条文をよく読んで確認してください。(H30年4月1日前に開始した事業年度において生じた欠損金額の繰越期間は9年です。)

目次

期中合併と期首合併の比較検討

適格適格合併が行われた場合において、被合併法人の未処理欠損金額があるときは、その金額は、それぞれの未処理欠損金額が生じた各事業年度の開始の日の属する合併法人の各事業年度において生じた欠損金額とみなされます(法法57②)。 合併法人では適格合併を行った事業年度以降の各事業年度において繰越控除できます。

具体的には 図の下部分

期中合併 繰越欠損金 税理士法人松野茂税理士事務所
  • 図では説明しきれていませんが 期中合併では被合併法人の前事業年度の繰越欠損金とみなされるため決算で被合併法人の繰越欠損金が使えます。

期首合併では R11年4月1日の期首に合併した場合にはR11年4月1日からR12年3月31日の事業年度の決算まで被合併法人の繰越欠損金は使えません。

期首合併 繰越欠損金 税理士法人松野茂税理士事務所
  • 図ではわかりにくいですが 期首合併の場合は合併法人の決算時点では被合併法人の繰越欠損金が引継げいませんのでR11年4月1日からR12年3月31日の決算で初めて被合併法人の繰越欠損金を引継ぐことになります。 1年引継ぎが遅れます。

これに対して 期中合併ではR10年4月1日からR11年3月31日の間に合併した場合には 被合併法人の最終事業事業年度の繰越欠損金は合併法人の前事業年度に引き継がれますので合併の属する事業年度から被合併法人の繰越欠損金を使用することになります。 期中合併はすぐに繰越欠損金が使えます。R10年4月1日からR11年3月31日から使えます。

合併法人の決算対策には期中合併一択

次の決算で被合併法人の繰越欠損金を使うためには3月31日までに合併を行う必要があります。

合併と決算を同時進行させるため余裕をもって1月程度早めの合併期日を2月28日に決め逆算でスケジュールを組みます。(月末より3/1の方が良いことも)

期中合併の最大の欠点 被合併法人の欠損金の使用期限が早くなる。

期中が合併は次の決算で繰越欠損金が使えますので節税効果高いですが被合併法人が合併をしなければ使えていた最終の欠損金が消えてしいます。多額の欠損金が期中合併で消えないか確認は必要です。図解の左側NGと記載のある繰越欠損金は引継げません。

合併法人に引き継げる繰越欠損金は合併の日前10年(9年)以内に開始した事業年度

適格合併スケジュール


適格合併スケジュール

合併の日は3/31日でよいのですが4月1日以降にずれると被合併法人の繰越欠損金を合併法人の決算で使用するのが1年遅れてしまいますので、合併期日は2/28とか3/1に決めて計画するのが実務的です。

早めに計画を立てる。 官報公告は申込から掲載まで1週間程度必要 掲載から1月以上経過後を合併の日にするため、司法書士との連携がうまくいかないときは 合併効力の日を遅らせる。

※前提:合併効力発生日 2月28日 ※重要:債権者異議申述期間は「効力発生前に満了」必須 ① 12月中:合併計画の確定 12/1〜12/20

  • 合併方式・当事会社確定
  • 適格要件チェック(100%支配・対価・継続要件)
  • 効力発生日:2月28日
  • 合併契約書(案)作成
  • 官報公告文(案)作成
  • 司法書士と日程すり合わせ

② 1月上旬:取締役会決議 1/6〜1/10**

  • 合併方針決議
  • 合併契約承認(案)
  • 株主総会付議決定 ③ 1月中旬:株主総会(特別決議) 1/15〜1/20**
  • 合併契約承認(特別決議)
  • 反対株主・買取請求の有無確認 ここが遅れると2/28はほぼ不可能** ④ 1月中旬〜下旬:合併契約締結 1/20〜1/22**
  • 合併契約書締結
  • 効力発生日:2月28日 明記 官報・異議期間の起点** ⑤ 1月20日ごろ:官報公告(最重要) 申し込みに1週間程度かかります・ 官報掲載日:1/25〜1/27** 異議申述期限:2/25〜2/27

異議期間満了 → 2/28効力発生**

事務所概要

税理士法人松野茂税理士事務所
代表税理士:松野 茂
社員税理士:山本 由佳
所属税理士:近畿税理士会 尼崎支部
法人登録番号:第6283号
法人番号:4140005027558
適格請求書発行事業者登録番号(インボイス番号):T4140005027558
所在地:〒660-0861 兵庫県尼崎市御園町24 尼崎第一ビル7F
TEL:06-6419-5140
営業時間:平日 9:00〜18:00

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