組織再編による株価引き下げシリーズ 第3回
重要なのは【会社の実態が変化するかの事実認定】書籍の内容をレポートします。
課税時期が合併事業年度及び合併の翌事業年度では類似業種比準方式が制限される!
課税時期が合併時事業年度及び合併の翌事業年度では類似業種比準方式が制限されるます。ただし合併の前後で会社の実態に変化が認められない事、吸収合併された会社の①配当金額②年利益金額③純資産価額(簿価)の比準3要素について合理的に計算できる場合は類似業種比準方式は可能です。
課税時期が合併時事業年度及び合併の翌事業年度
合併法人単体の配当・利益・純資産額が合理的に計算できません。
被合併法人との合算で配当・利益・純資産額を計算することで類似業種比準方式評価することが可能です。
単体では不可、合算では可能 重要なのは【会社の実態が変化するかの事実認定】
[合併法人単体] → 評価不可
[合併法人+被合併法人の合算] → 評価可能
重要なのは【会社の実態が変化するかの事実認定】

参考図書 令和3年 株式・公社債評価の実務(大蔵財務協会)p234から (質疑8)合併後に課税時期がある場合の類似業種比準方式の適用関係
令和3年株式・公社債評価の実務(大蔵財務協会)p234から (質疑8)合併後に課税時期がある場合の類似業種比準方式の適用関係
(質疑8)合併後に課税時期がある場合の類似業種比準方式の適用関係
ここの文書は通達ではありませんが実務や訴訟で参考となる書籍です。
ここでは、類似の3要素が個々の事案ごとに合理的な数値が求められるか否かを問題としてして会社の実態の変化は事実認定に属する問題としています。( 通達には合併直後の評価方法について記載はありません。唯一詳しく書かれた図書で国税局の職員の権威ある書籍です。)
合理的な3要素が合算できない場合 合算する合理的な理由がない場合
- 課税時期が合併事業年度にある場合
評価通達189-4に準じて開業後3年以内の会社として純資産価額方式 - 課税時期が合併の翌事業年度である場合
評価通達189-2に準じて批准要素数1の会社としてL=0.25で計算することが紹介されています。
国税速報第5528号の内容 対等合併など事実上不可能な内容 平成15年7月
合算方式で各比準要素が適切に把握できるか否かを見た場合には、その算定において、合理性を欠く場合が多いものと考えられます。 中略 合併前に独立した人格を持っていた被合併法人の配当、利益等について、評価会社の利益、配当等とみて加算することの合理性を見いだせない結果となることが多いものと考えられます。中略
合併の前後で会社規模や主たる業種目が変わらず、かつ合併前の配当・利益・純資産をそれぞれ加算した数値と合併後の配当・利益・純資産について大きな変動がない場合には、合算方式による類似業種比準方式を認めて差し支えないものと考えられるところです。
なお合併前後で比準要素に変化がないかどうかについては、もっぱら事実認定に属する問題ではありますが、例えば次の①から④のすべてを満たす会社(例えば、イメージ的には東京の本社のある運送会社が(大会社)と大阪に本社がある運送会社(大会社)がとが対等合併した場合)についてはこれに当たるものと考えらられます。
①合併比率が対等(1:1)な適格合併であること
②合併前後で会社規模や主たる業種に変化がないこと
③合併当時に会社双方の利益が黒字で、純資産が欠損でないこと
④合併前後の1株当たりの配当、利益、純資産価額に大きな変動がないこと
東京国税局資産税審理研修資料・財産評価審理上の留意点 平成28年7月公表
直前期末の翌日から課税時期までの間に合併等がある場合の類似業種比準方式の適用関係
参考図書 詳説自社株評価6訂版Q&A(清文社)p259から 105 課税時期の直前に合併等した場合の取扱い
に詳細に記載がありますが
参考図書 株式・公社債評価の実務(大蔵財務協会)p234から (質疑8)合併後に課税時期がある場合の類似業種比準方式の適用関係と同じ内容と思います。
合併の前後で会社規模や主たる業種目が変わらず、かつ合併前の配当・利益・純資産をそれぞれ加算した数値と合併後の配当・利益・純資産について大きな変動がない場合には、合算方式による類似業種比準方式を認めて差し支えないものと考えられるところです。 が重要だと思います。
実務上の留意点
実務では、トラブルを避けるために、課税時期が合併事業年度及び翌事業年度になることが予測される場合には合併直後2年間は純資産価額及び比準要素数1の会社になること及び合併が株価の引き下げの目的である場合には、6項で否認されることを説明する必要もあります、合併スキームは2年経過しないと類似業種比準方式が使いにくいと考えるべきです。
この記事は下記の書籍のから一般的な内容を紹介しています。個々の事案については組織再編の先生方の判断によりますので当社は一切の責任を負いません。下記の文献から判断してください。
参考書籍
令和3年株式・公社債評価の実務(大蔵財務協会)p234から (質疑8)合併後に課税時期がある場合の類似業種比準方式の適用関係
詳説自社株評価6訂版Q&A(清文社)p259から 105 課税時期の直前に合併等した場合の取扱い
事務所概要
税理士法人松野茂税理士事務所
代表税理士:松野 茂
社員税理士:山本 由佳
所属税理士:近畿税理士会 尼崎支部
法人登録番号:第6283号
法人番号:4140005027558
適格請求書発行事業者登録番号(インボイス番号):T4140005027558
所在地:〒660-0861 兵庫県尼崎市御園町24 尼崎第一ビル7F
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