養子前の贈与は取引相場のない株式の評価は配当還元法 相続対策 11回 | 尼崎の税理士法人による解説

養子前の贈与は取引相場のない株式の評価は配当還元法 相続対策 11回 | 尼崎の税理士法人による解説
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はじめに

養子縁組と相続税の節税対策は、昔から使われている定番の手法です。基礎控除が増える効果(ただし養子の数には制限があり、実子がある場合は1人、実子がない場合は2人まで。特別養子縁組や配偶者の連れ子は実子とみなされます)、法定相続人が増えることで全体の相続税額が下がる効果、生命保険金などの非課税枠が増える効果など、様々な論点があります。

今回は、養子縁組と取引相場のない株式の評価について、実務上重要なポイントを解説します。

養子縁組前の株式贈与における配当還元法の適用

親族外から養子を選ぶ場合

会社の承継者として親族以外から養子を迎える場合、養子縁組前に株式を贈与すれば、議決権割合50%未満の株式について配当還元法による評価が可能です。

これは、養子縁組前の段階では受贈者が「同族株主以外の株主」に該当するためです。配当還元法は原則的評価方式(類似業種比準価額方式や純資産価額方式)と比較して、一般的に評価額が大幅に低くなります。

親族から養子を選ぶ場合

親族から養子を迎える場合は、少し条件が変わります。社長が同族株主に該当する場合、議決権割合5%未満の株式であれば配当還元法による贈与が可能です。

この場合、養子予定者が既に親族関係にあることから、「中心的な同族株主」に該当するかどうかが評価方法を左右する重要なポイントとなります。養子前に弟の子に贈与する場合は課税時期において弟の子は中心的な同族株主は該当ししません。役員及び役員見込者でない場合。5%未満の議決権割合の株式は配当還元法による評価なります。

子がいない夫婦における養子縁組の注意点

社長と配偶者に子供がいない場合、養子縁組は配偶者の税額軽減に大きな影響を与えます。

子がいない場合の相続

  • 法定相続人:配偶者と兄弟姉妹(第3順位)
  • 配偶者の税額軽減枠:1億6,000万円または法定相続分(3/4)のいずれか多い金額
  • 配偶者の法定相続分:3/4
  • 兄弟姉妹の法定相続分:1/4

養子がいる場合の相続

  • 法定相続人:配偶者と子(養子)
  • 配偶者の税額軽減枠:1億6,000万円または法定相続分(1/2)のいずれか多い金額
  • 配偶者の法定相続分:1/2
  • 子の法定相続分:1/2

このように、子がいない場合と比較して、養子がいる場合は配偶者の法定相続分が3/4から1/2に減少します。遺産総額が3億2,000万円を超えるようなケースでは、養子縁組によって逆に配偶者の税額軽減額が少なくなり、相続税の負担が増える可能性があります。

配偶者の相続順位による影響

また、社長と配偶者のどちらが先に亡くなるかは予測できません。一次相続、二次相続を含めたトータルの税負担を考慮した対策が必要です。

株式評価における関連ポイント

実務上、以下の点も併せて確認することが重要です。

  • 同族株主以外の者への贈与の判定基準
  • 無議決権株式の活用可能性
  • 中心的な同族株主の判定
  • 議決権割合5%未満の要件確認

まとめ

養子縁組は相続税対策として有効な手段ですが、取引相場のない株式の評価や配偶者の税額軽減への影響など、様々な要素を総合的に検討する必要があります。

特に養子縁組前の株式贈与は、配当還元法による低額評価が可能となる貴重な機会です。事業承継を考えておられる経営者の方は、早めに専門家にご相談されることをお勧めします。


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