21回【基本編】被相続人所有のマンション(6階建)の小規模宅地等の特例 – 知っていれば簡単!’(尼崎の税理士法人が解説)

税理士法人松野茂税理士事務所 【基本編】被相続人所有のマンション(6階建)の小規模宅地等の特例 - 知っていれば簡単!’(尼崎の税理士法人が解説)

相続税の申告において、小規模宅地等の特例は大きな節税効果をもたらします。今回は、被相続人が所有する6階建マンションで、一部を自宅、一部を賃貸、一部を親族が居住しているケースについて、4つのパターンを解説します。

目次

小規模宅地等の特例とは

相続税の計算において、一定の要件を満たす宅地については、評価額を最大80%減額できる制度です。

  • 特定居住用宅地等:居住用の土地(330㎡まで80%減額)
  • 貸付事業用宅地等:賃貸用の土地(200㎡まで50%減額)

ケース1:区分登記なし・親子同居型(みなし同居)

【状況】

  • 1階:被相続人が居住
  • 6階:長男Aが居住
  • 2~5階:賃貸住宅
  • 区分登記:なし
  • 相続人:長男Aが全て相続

【結論】

  • 1階・6階部分 → 特定居住用宅地等として特例適用可(330㎡まで80%減額)
  • 2~5階部分 → 貸付事業用宅地等として特例適用可(200㎡まで50%減額)

【ポイント】 区分登記がない場合、1棟の建物として扱われます。被相続人と長男が同じ建物に居住していることから「みなし同居」に該当します。生計が一か別かは問いません。


ケース2:区分登記あり・親子別生計

【状況】

  • 1階・6階:区分登記あり
  • 被相続人と長男Aは別生計
  • 相続人:長男Aが全て相続

【結論】

  • 1階部分(被相続人居住部分) → 長男が取得しても特定居住用宅地等は適用不可
    • 次男Bが「家なき子」要件を満たせば、次男が取得する場合は適用可能
  • 6階部分 → 長男の自宅のため対象外
  • 2~5階部分 → 貸付事業用宅地等として特例適用可

【家なき子特例の主な要件】

  1. 被相続人に配偶者や同居相続人がいないこと
  2. 相続開始前3年以内に、次の者が所有する家屋に居住したことがないこと
    • 本人
    • 本人の配偶者
    • 3親等内の親族(父母、兄弟姉妹、子など)
    • 本人と特別の関係がある法人
  3. 相続開始時に居住している家屋を過去に所有したことがないこと
  4. その宅地等を相続税の申告期限まで保有していること

【ポイント】 区分登記があり別生計の場合、長男は「同居親族」に該当せず、1階部分には特定居住用宅地等を適用できません。また、長男が6階(3親等内親族の所有家屋)に居住しているため、「家なき子」要件も満たしません。


ケース3:配偶者と長男が共同相続(区分登記なし)

【状況】

  • 配偶者と長男Aがそれぞれ1/2ずつ共有取得
  • 区分登記:なし

【結論】

  • 配偶者取得分
    • 1階・6階部分の1/2 → 特定居住用宅地等
    • 2~5階部分の1/2 → 貸付事業用宅地等
  • 長男取得分
    • 1階・6階部分の1/2 → 特定居住用宅地等(みなし同居)
    • 2~5階部分の1/2 → 貸付事業用宅地等

【ポイント】 区分登記がないため、みなし同居として扱われ、配偶者・長男ともに特定居住用宅地等の適用が可能です。


ケース4:配偶者と長男が共同相続(区分登記あり・別生計)

【状況】

  • 配偶者と長男Aがそれぞれ1/2ずつ共有取得
  • 1階・6階:区分登記あり
  • 被相続人と長男は別生計

【結論】

  • 配偶者取得分
    • 1階部分の1/2 → 特定居住用宅地等
    • 2~5階部分の1/2 → 貸付事業用宅地等
  • 長男取得分
    • 1階部分の1/2 → 適用不可(別生計・非同居)
    • 6階部分の1/2 → 適用不可(長男自身の居住用)
    • 2~5階部分の1/2 → 貸付事業用宅地等

【ポイント】 区分登記があり別生計の場合、長男が取得する1階部分は特定居住用宅地等の対象外です。配偶者は被相続人と同居していたため、配偶者取得分は適用可能です。


まとめ:判断のポイント

  1. 区分登記の有無が最重要
    • なし → 1棟の建物として「みなし同居」適用の可能性
    • あり → 独立した住居として判定
  2. 生計の一・別
    • 区分登記なし → 生計の一・別は問わない
    • 区分登記あり → 別生計の場合、特定居住用宅地等の適用に制限
  3. 誰が相続するか
    • 配偶者は原則適用可
    • 同居親族も要件を満たせば適用可
    • 「家なき子」特例は3親等内親族所有の家屋への居住歴に注意

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相続税申告における小規模宅地等の特例は、適用の可否で相続税額が大きく変わります。特に不動産が複雑な場合は、専門家による判断が不可欠です。

当事務所では、30年の実務経験をもとに、相続税対策から申告まで丁寧にサポートいたします。

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税理士法人松野茂税理士事務所(尼崎)|事務所概要

税理士法人松野茂税理士事務所
代表税理士:松野 茂
社員税理士:山本 由佳
所属税理士:近畿税理士会 尼崎支部
法人登録番号:第6283号
法人番号:4140005027558
適格請求書発行事業者登録番号(インボイス番号):T4140005027558
所在地:〒660-0861 兵庫県尼崎市御園町24 尼崎第一ビル7F
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営業時間:平日 9:00〜18:00

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