16回【尼崎の税理士が解説】小規模宅地等の特例・特定居住用宅地等 Q&A(超簡単編 第2回)

税理士法人16回【尼崎の税理士が解説】小規模宅地等の特例・特定居住用宅地等 Q&A(超簡単編 第2回)松野茂税理士事務所 

令和7年11月27日時点の税法解釈に基づく一般的な説明です。個別の事案については、必ず専門家にご相談ください。


目次

Q8:法定相続人ではない親族への遺贈

Q. 被相続人には法定相続人がいないため、財産のすべてを親族に遺言で遺贈しました。この場合、特例は使えますか?

A. はい、遺言で財産を受け取ったご親族が「家なき子」の要件をすべて満たす場合に限り、特例の適用が可能です。

補足解説

「家なき子」の特例は、誰でも使えるわけではなく、以下の厳しい要件をすべて満たす必要があります。

  1. 亡くなった方(被相続人)に、配偶者や同居していた相続人がいないこと
  2. 財産をもらう人が、相続が始まる前の3年以内に、自分や自分の配偶者が所有する家(持ち家)に住んだことがないこと
  3. 相続した土地を、相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月後)まで所有し続けていること

Q9:配偶者が相続後すぐに引っ越した場合

Q. 被相続人の配偶者が自宅を相続した後、すぐに引っ越してしまいました。特例は使えますか?

A. はい、問題なく使えます。

補足解説

配偶者が自宅を相続した場合、相続税の申告期限までその家に住み続けたり、土地を所有し続けたりする必要(継続居住・保有要件)はありません。これは、残された配偶者の生活を厚く保護するための特別な措置です。


Q10:生計を一にする親族が住む土地を配偶者が相続した場合

Q. 亡くなった親が所有する土地に、親と生計を同じくする長男が家を建てて住んでいます。この土地を、配偶者(母)が相続した場合、特例は使えますか?

A. はい、使えます。このケースでは、土地を配偶者(母)が相続しても、実際に住んでいる長男が相続しても、どちらの場合でも特例の対象となります。

補足解説

ただし、誰が相続するかで条件が変わります。

  • 配偶者(母)が相続する場合: 申告期限まで土地を持ち続ける必要はありません
  • 生計一親族(長男)が相続する場合: 申告期限までその土地を所有し、かつ、その家に住み続ける必要があります

注意点: これが独立して生計を別にしている親族が住んでいる土地の場合は、特例の対象外となります。


Q11:自宅と別宅があった場合

Q. 被相続人は普段住んでいる自宅のほかに、週末に利用する別宅も持っていました。両方の土地で特例を使えますか?

A. いいえ、特例が使えるのは「主として居住していた一つの宅地」のみです。

補足解説

あくまで生活の拠点となっていた土地が対象です。そのため、別荘やセカンドハウスは小規模宅地等の特例の対象外となります。


Q12:土地は親、建物は同居の長男が所有していた場合

Q. 土地の所有者は亡くなった親ですが、その上に建っている家は同居していた長男の名義です。この土地を長男が相続した場合、特例は使えますか?

A. はい、使えます。配偶者または同居していた長男のどちらが相続しても問題ありません。

補足解説

この特例は土地の評価額を減額する制度なので、建物の所有者が誰かは問いません。ただし、親が長男に地代を払っておらず、長男も親に家賃を請求していない、いわゆる「無償での貸し借り(使用貸借)」の状態であったことが重要な条件です。


Q13:Q12のケースで、長男が別居していた場合

Q. 土地は親、建物は長男の名義ですが、その長男は親とは別居していました。この土地を長男が相続した場合、特例は使えますか?

A. この場合、長男は特例を使えません。しかし、配偶者が相続するのであれば特例の適用が可能です。

補足解説

配偶者には同居の要件はありませんが、子が特例の適用を受けるには、原則として被相続人と同居していたことが条件となります。もし別居している親族がこの特例を使いたい場合は、Q8で解説した「家なき子」の非常に厳しい要件をすべて満たす必要があります。


まとめ

小規模宅地等の特例は、相続税の負担を大きく軽減できる非常に有効な制度です。しかし、適用要件は複雑で、ケースによって判断が分かれることも少なくありません。

相続が発生した際には、できるだけ早めに専門家にご相談いただくことをお勧めします。

※本記事は一般的な解説であり、個別の事案に対する税務アドバイスではありません。具体的な適用については、必ず税理士等の専門家にご相談ください。

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事務所概要

税理士法人松野茂税理士事務所
代表税理士:松野 茂
社員税理士:山本 由佳
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