スタッフとの会話で分かる!成功する起業の準備術
スタッフA:「所長、最近、創業相談が増えているんですよね」
所長:「そうだね。独立して事業を始めたいという相談は多いよ。でも、準備不足で失敗する人も少なくないんだ」
スタッフB:「創業前に、何を準備すればいいんですか?」
所長:「良い質問だ。今日は長年の経験から、創業前に必ず確認すべき9つのポイントを教えよう」
【ポイント1】創業動機を明確にする
所長:「まず最初に、そして最も重要なのが創業の目的・動機を明確にすることなんだ」
スタッフA:「なぜそれが重要なんですか?」
所長:「創業動機が曖昧だと、困難に直面した時に諦めてしまうからだよ。『なぜこの事業をやるのか』が明確でないと続かないんだ」
創業動機の3つの視点
1. なぜこの事業なのか?
- 自分の経験を活かせるか
- 本当にやりたいことか
- 社会に貢献できるか
2. 顧客のニーズに合っているか?
- お客様が本当に求めているものか
- 競合との違いは何か
- 価格は適正か
3. 時代の流れについて行っているか?
- 市場は拡大しているか、縮小しているか
- デジタル化に対応できるか
- 将来性はあるか
スタッフB:「この3つを考えるんですね」
所長:「そう。『儲かりそうだから』だけでは、絶対に続かない。強い想いが必要なんだ」
【ポイント2】事業についての経験や知識
所長:「2つ目は、事業についての経験や知識があるかどうかだ」
スタッフA:「やっぱり経験が必要なんですね」
所長:「まず経験のある業種や知識、興味がある事業が無難なんだ。全く知らない業界でゼロから始めるのは、リスクが高すぎる」
経験・知識が重要な理由
ノウハウ・技能の習得には時間がかかる
- 技術を身につけるのに何年もかかる
- お客様に満足してもらえるレベルに達するまでが大変
- 経験がものを言う
勤務時代の人脈や信用も重要
- 前職の取引先が最初の顧客になることが多い
- 業界内の評判が信用につながる
- 人脈がないと営業が難しい
スタッフB:「経験がない場合はどうすればいいんですか?」
所長:「良い質問だ。その場合はFC(フランチャイズ)加盟などで経験不足を補う方法もあるんだ」
FC加盟のメリット・デメリット
メリット:
- ✅ ノウハウを提供してもらえる
- ✅ 研修制度がある
- ✅ ブランド力を活用できる
- ✅ 本部のサポートがある
デメリット:
- ❌ 加盟金・ロイヤリティが高い
- ❌ 自由度が低い
- ❌ 本部の方針に従う必要がある
所長:「経験がない場合の選択肢として、FCも検討する価値はあるね」
【ポイント3】事業を行う自信
所長:「3つ目は、事業を行う自信があるかどうかだ」
スタッフA:「自信、ですか?」
所長:「そう。創業には強い意志・努力・体力が必要なんだ。生半可な気持ちでは続かないよ」
創業に必要な資質
1. 強い意志
- どんな困難があっても諦めない
- 失敗してもまた立ち上がる
- 目標を達成するまでやり抜く
2. 継続的な努力
- 長時間労働も覚悟する
- 休日も働くことがある
- 勉強し続ける姿勢
3. 体力・健康
- 激務に耐えられる体力
- ストレスに負けない精神力
- 健康管理も経営の一部
4. 経営者としての金銭感覚
- どんぶり勘定では倒産する
- 利益とキャッシュフローの違いを理解
- 税金の知識も必要
5. 幅広い知識
- 営業、経理、人事、すべてを理解
- 法律、税金、保険の知識
- 業界動向の把握
スタッフB:「経営者って、本当に大変なんですね」
所長:「そう。サラリーマン時代とは全く違う。すべて自分の責任で判断しないといけないんだ」
【ポイント4】家族の理解
所長:「4つ目は、家族の理解を得ることだ」
スタッフA:「家族ですか?」
所長:「そう。実は信頼できる協力者は家族なんだよ。家族の理解と協力がないと、創業は成功しない」
家族の理解が必要な理由
1. 収入が不安定になる
- 最初は赤字が続く可能性
- サラリーマン時代より収入減
- 生活水準を下げる覚悟
2. 時間的な負担
- 帰宅が遅くなる
- 休日も仕事
- 家族との時間が減る
3. 精神的な支え
- 苦しい時に励ましてくれる
- 相談相手になってくれる
- モチベーションを維持できる
4. 実務的な協力
- 経理を手伝ってもらう
- 電話対応を頼む
- 専従者として働いてもらう
所長:「家族が反対しているのに強行すると、家庭が壊れることもある。必ず理解を得てから始めるべきだね」
スタッフB:「家族も含めた創業計画なんですね」
【ポイント5】創業場所
所長:「5つ目は、創業場所だ。これも非常に重要なんだ」
スタッフA:「場所で成否が決まるんですか?」
所長:「業種によるけど、立地は売上に直結することが多いんだよ」
業種別の立地選び
店舗型ビジネス(飲食店、小売店等)
- 人通りの多さ
- ターゲット層の居住地
- 駐車場の有無
- 競合店の状況
- 家賃と売上のバランス
事務所型ビジネス(士業、IT等)
- アクセスの良さ
- オフィスのイメージ
- 家賃の安さ
- 自宅兼事務所の選択肢
製造業・倉庫業
- 物流の便利さ
- 広さと家賃のバランス
- 騒音・振動の規制
スタッフB:「業種によって全然違うんですね」
所長:「そう。立地で失敗すると取り返しがつかない。慎重に選ぶべきだね」
【ポイント6】従業員の確保
所長:「6つ目は、従業員の確保だ。一人でやるのか、人を雇うのか、事前に決めておく必要があるんだ」
スタッフA:「従業員を雇うのは難しいんですか?」
所長:「今は人手不足だから、本当に難しいよ。だから必要とする人材を明確にしておくことが大切なんだ」
人材確保のポイント
採用前に決めること:
- 何人必要か
- どんなスキルが必要か
- フルタイムかパートか
- 給与はいくら払えるか
- いつから必要か
採用方法:
- ハローワーク
- 求人サイト
- 知人の紹介
- SNS活用
注意点:
- 最初から高い給与は払えない
- 教育する時間とコストがかかる
- 社会保険の加入義務
- 労働法の知識が必要
所長:「従業員を雇うということは、給料を払い続ける責任を負うということ。軽く考えてはいけないんだ」
【ポイント7】アピールポイント
スタッフB:「商品やサービスで差別化が必要なんですよね?」
所長:「その通り。7つ目はアピールポイントだ。商品・サービスに独自性や新規性があって、特色が出せるかどうかなんだ」
差別化の4つの視点
1. 独自性
- 他にはない商品・サービス
- オリジナルの技術
- 独自の仕入れルート
2. 新規性
- 新しい市場を開拓
- 従来にない提供方法
- 最新技術の活用
3. 価格競争力
- 安く提供できる理由がある
- または高くても納得の価値
- コストパフォーマンスが高い
4. 顧客体験
- 接客の質が高い
- アフターサービスが充実
- 顧客との関係性を重視
所長:「『同じような商品を、同じような価格で』では、大手に勝てない。何か一つでも尖った特徴が必要なんだ」
スタッフA:「差別化できないと厳しいんですね」
所長:「そう。『なぜあなたから買うのか』を答えられないと、お客様は来ないよ」
【ポイント8】売上高や利益を予想
所長:「8つ目は、売上高や利益の予想だ。これが一番難しいんだけどね」
スタッフB:「売上の予想って、どうやるんですか?」
所長:「甘い見込みはしないで、同業種の実績などを参考に予想することが大切なんだ」
現実的な売上予想の立て方
ステップ1:業界平均を調べる
- 同業種の平均売上
- 店舗面積あたりの売上
- 客単価×客数
ステップ2:保守的に見積もる
- 業界平均の70%程度で計算
- 最初の1年は特に厳しめに
- 楽観的すぎる予想は禁物
ステップ3:固定費を計算
- 家賃
- 人件費
- 光熱費
- その他経費
ステップ4:損益分岐点を計算
- 最低限必要な売上はいくらか
- それを達成できる見込みはあるか
所長:「よくあるのが『初月から売上1000万円』みたいな甘い予想。現実は初月50万円、半年でやっと200万円とか、そういう世界なんだよ」
スタッフA:「厳しく見積もることが大切なんですね」
所長:「そう。甘い予想で資金が足りなくなって倒産するパターンが本当に多いんだ」
【ポイント9】自己資金と借入れの必要性
所長:「最後、9つ目は自己資金と借入れの必要性だ」
スタッフB:「創業資金ですね」
所長:「そう。事業計画書を作成して、いくら必要かを明確にすることが大切なんだ」
創業資金の内訳
初期投資(設備資金)
- 店舗の内装工事
- 設備・機械の購入
- 什器備品
- PC・ソフトウェア
- 保証金・敷金
運転資金
- 仕入れ代金
- 人件費(3〜6ヶ月分)
- 家賃(3〜6ヶ月分)
- 光熱費
- 広告宣伝費
- 予備費(想定外の出費)
所長:「重要なのは、赤字の期間を乗り越える運転資金を確保することなんだ」
自己資金の目安
理想的な自己資金比率:
- 総資金の30%〜50%は自己資金
- 少なくとも3割は用意したい
- 全額借入れはリスクが高い
自己資金が少ない場合:
- 日本政策金融公庫の創業融資
- 自治体の制度融資
- 補助金・助成金の活用
スタッフA:「自己資金は多い方がいいんですね」
所長:「そう。自己資金が多いほど、借入れの審査も通りやすいし、事業の安定性も高いんだ」
創業準備のチェックリスト
スタッフB:「9つのポイント、覚えきれるか不安です…」
所長:「よし、チェックリストにまとめよう」
【創業前必須チェックリスト】
□ 1. 創業動機は明確か?
- [ ] なぜこの事業をやるのか説明できる
- [ ] 顧客のニーズに合っている
- [ ] 時代の流れに合っている
□ 2. 経験・知識は十分か?
- [ ] 業種の経験がある(または研修を受ける)
- [ ] 業界の人脈がある
- [ ] 必要な技能を習得している
□ 3. 事業を行う自信があるか?
- [ ] 強い意志と覚悟がある
- [ ] 長時間労働に耐えられる体力がある
- [ ] 経営者としての金銭感覚がある
- [ ] 幅広い知識を身につけている
□ 4. 家族の理解を得ているか?
- [ ] 配偶者が賛成している
- [ ] 収入減少を家族が理解している
- [ ] 家族の協力が得られる
□ 5. 創業場所は適切か?
- [ ] 立地を慎重に選んだ
- [ ] 家賃と売上のバランスが取れている
- [ ] アクセスが良い
□ 6. 従業員確保の目処は立っているか?
- [ ] 必要な人材を明確にしている
- [ ] 採用方法を決めている
- [ ] 給与水準を設定している
□ 7. アピールポイントは明確か?
- [ ] 独自性・新規性がある
- [ ] 競合との差別化ができている
- [ ] 顧客に価値を提供できる
□ 8. 現実的な売上予想をしているか?
- [ ] 業界平均を調べた
- [ ] 保守的に見積もっている
- [ ] 損益分岐点を計算した
□ 9. 資金計画は万全か?
- [ ] 必要資金を計算した
- [ ] 自己資金を準備した
- [ ] 借入れ先の目処が立っている
- [ ] 3〜6ヶ月の運転資金を確保した
所長:「この9つすべてにチェックが入ってから、創業すべきなんだ」
スタッフA:「一つでも欠けると危険なんですね」
所長:「その通り。長年やってきて、失敗する人はこの9つのどれかが欠けているケースがほとんどなんだよ」
まとめ:成功する創業の秘訣
所長:「最後にまとめよう」
創業成功のための3つの原則
原則1:準備8割、実行2割
- 創業前の準備が成否を分ける
- 見切り発車は失敗の元
- 時間をかけて準備する
原則2:厳しく見積もる
- 売上は保守的に
- 経費は多めに
- 甘い予想は禁物
原則3:相談相手を持つ
- 税理士、行政書士などの専門家
- 先輩経営者の助言
- 家族の理解と協力
スタッフB:「準備が何より大切なんですね」
所長:「そう。『準備不足で失敗する』のと『準備万端で成功する』、どちらを選ぶか。答えは明白だよね」
スタッフA:「創業相談に来られたお客様には、この9つのポイントを確認します」
所長:「それでいい。私たちの役割は、お客様が成功するために、厳しいことも含めて正直にアドバイスすることなんだ」
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