2025年9月29日 | 税理士法人松野茂税理士事務所
こんにちは。税理士法人松野茂税理士事務所の松野です。
今日は、スタッフから「所得隠しって、どんなパターンがあるんですか?」という質問を受けました。
長年の実務経験から、所得隠しには一定のパターンがあり、その結末もほぼ同じであることをお伝えします。
スタッフとの会話
スタッフ: 「松野先生、税務調査で指摘される所得隠しって、どんなパターンがあるんですか?」
松野: 「実は、所得隠しには一定のパターンがあるんだよ。そして、その結末もほぼ同じなんだ」
スタッフ: 「パターンが決まっているんですか?」
松野: 「そう。長年の実務経験から見ると、大きく分けて4つのパターンに集約されるね」
所得隠しの4つのパターン
パターン1:売上・雑収入の除外
松野: 「最も多いのが、収入を計上しないパターンだよ」
スタッフ: 「売上を帳簿に載せないということですか?」
松野: 「そう。例えば…」
よくあるケース
- 現金売上の一部を計上しない
- 期末近くの売上を翌期に回す
- 一部の得意先の売上を計上しない
- 雑収入(補助金、保険金など)を除外
スタッフ: 「でも、売上が少なければ利益も少なくなりますよね?」
松野: 「それが問題なんだ。売上を減らせば確かに税金は減る。でも、その隠したお金はどこかに行くわけで、必ず痕跡が残るんだよ」
パターン2:架空の経費を計上
松野: 「2つ目は、実際にはない経費を計上するパターンだ」
架空計上の例
- 架空仕入 – 実在しない仕入を計上
- 架空外注費 – 実際にはない外注費を計上
- 架空人件費 – 実在しない従業員の給与を計上
- 架空経費 – 実際にはない経費を計上
スタッフ: 「仕入や経費を増やせば、利益が減って税金も減りますね」
松野: 「その通り。でも、これも必ず矛盾が出る。さっき話した損益計算書の分析で、原価率の異常として発見されるんだよ」
パターン3:私的費用を経費に計上
松野: 「3つ目は、個人的な支出を会社の経費にするパターンだ」
スタッフ: 「よく聞く話ですね…」
よくある例
- 家族旅行を社員旅行として計上
- 個人の飲食費を交際費として計上
- 個人の車を社用車として計上
- 家族への給与を過大に計上
松野: 「これは『経費か私的費用か』の判断が微妙なケースもあるけど、明らかに私的なものを経費にしているのは問題だね」
パターン4:架空資産の計上
松野: 「4つ目は、実在しない資産を計上して減価償却するパターンだ」
スタッフ: 「資産を増やして、減価償却で経費を作るということですか?」
松野: 「その通り。例えば…」
- 実際には購入していない機械設備を計上
- 実際より高額な金額で資産を計上
- 個人の資産を会社の資産として計上
スタッフ: 「これは減価償却費が増えて、利益が減りますね」
所得隠し財産の結末 – 5つのパターン
スタッフ: 「所得を隠して浮いたお金は、どうなるんですか?」
松野: 「いい質問だね。実は、隠したお金の行き先もパターンが決まっているんだ」
結末1:現金で保管
松野: 「一番シンプルなのは、現金で保管するパターンだね」
- 自宅の金庫
- タンス預金
- 貸金庫
スタッフ: 「でも、現金だと使いにくいですよね…」
松野: 「その通り。だから次のパターンが出てくるんだ」
結末2:預金や株式で保有
松野: 「2つ目は、預金や株式にするパターンだ」
名義のパターン
- 本人名義 – 自分名義の預金・証券口座
- 家族名義 – 配偶者や子供名義の預金・証券口座
スタッフ: 「家族名義なら、わからないんじゃないですか?」
松野: 「いや、税務調査では家族名義の預金も調べられる。特に配偶者や同居家族の名義は必ずチェックされるよ」
結末3:個人資産の取得
松野: 「3つ目は、個人の資産を購入するパターンだ」
よくある資産
- 不動産(自宅、投資用マンションなど)
- 高級外車
- 貴金属・宝飾品
- 絵画・骨董品
スタッフ: 「こういう高額なものは、すぐバレそうですね」
松野: 「その通り。不動産は登記でわかるし、高級車も購入資金の出所を調べられる。長年の実務経験から言えば、これが一番バレやすいパターンだね」
結末4:個人借入金の返済
松野: 「4つ目は、個人的な借入金を返済するパターンだ」
- 住宅ローンの繰上返済
- 個人的な借金の返済
- 親族からの借入の返済
スタッフ: 「返済なら、資産が増えないからわかりにくそうですが…」
松野: 「でも、返済資金の出所は調べられる。『この返済資金はどこから?』と聞かれた時に、説明できなければアウトだよ」
結末5:無記名債券の取得
松野: 「5つ目は、無記名債券を購入するパターンだ」
スタッフ: 「無記名債券ですか?」
松野: 「昔は、名義が記載されていない債券があったんだ。でも、今はマネーロンダリング対策で、ほとんど発行されていないね」
必ずバレる理由 – 税務署の追跡
スタッフ: 「でも、うまく隠せば、わからないんじゃないですか?」
松野: 「それが、必ずバレるんだよ。なぜだと思う?」
バレる理由1:数字の矛盾
松野: 「まず、帳簿に矛盾が出る」
- 損益計算書の原価率が異常
- 利益が少ないのに資産が増えている
- 貸借対照表の残高が合わない
バレる理由2:生活水準との乖離
松野: 「申告所得が少ないのに、豪華な生活をしていればおかしいよね」
- 高級車に乗っている
- 高額な不動産を購入している
- 高級ブランド品を持っている
スタッフ: 「確かに、矛盾してますね」
バレる理由3:銀行調査
松野: 「税務調査では、銀行の入出金も調べられる」
- 売上が入金されているか
- 大きな出金の使い道は何か
- 家族名義の口座への送金はないか
スタッフ: 「お金の流れは全部わかってしまうんですね…」
所得隠しの代償 – 重加算税
松野: 「そして、所得隠しが発覚すると、重いペナルティが待っているんだ」
重加算税の仕組み
- 通常の申告ミス → 過少申告加算税 10%
- 仮装・隠蔽を伴う所得隠し → 重加算税 35%〜40%
松野: 「つまり、隠した税金の約1.4倍を払うことになる」
スタッフ: 「それに延滞税も加わりますよね…」
松野: 「その通り。結局、正直に申告するより、はるかに高い税金を払うことになるんだよ」
まとめ – 正しい申告が最善の道
スタッフ: 「所得隠しは、パターンも結末も決まっていて、必ずバレて、重いペナルティを受ける…」
松野: 「そういうことだね。長年の実務経験から断言できるのは、『正しく申告することが、最も経済的で安全な方法』ということだよ」
当事務所の役割
私たちは、お客様が正しく申告できるよう、以下のサポートを行っています。
✅ クリーンな帳簿づくり
✅ 適正な経費の判断
✅ 節税と脱税の明確な線引き
✅ 税務調査対応のサポート
✅ 法令に基づいた正しい申告
松野: 「所得を『隠す』のではなく、適法に『節税する』ことが大切なんだ。それが私たち税理士の仕事だよ」
税務調査シリーズの記事
当事務所のブログでは、税務調査に関する記事を連載しています。
- 損益計算書の分析 – 税務署の着眼点
- 貸借対照表の調査 – 隠し財産の見つけ方
- 税務調査の手順 – 税務署側の調査手法
- 税務調査の選定 – 調査先に選ばれないために
- 調査の心構え – 平常心で臨むために
- 税務調査の現場 – 不正の見破り方
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