完全ガイド
税理士法人松野茂税理士事務所が実務経験30年の知見をもとに、短期間で実行可能な節税方法を効果順にご紹介します。
💰 支出を伴う節税対策
節税効果の順にご紹介します。専門家とよく相談して実行してください。
1. 所得拡大促進税制
最大40%の税額控除!人材投資で大幅節税
具体例
- 従業員10名、前年給与4,000万円の会社
- 給与1.5%増加(60万円)+ 教育訓練費10%増加 + 設備投資
- 節税効果:24万円の税額控除(40%適用時)
要件
経営力向上設備投資で最大40%控除
継続雇用者給与1.5%以上増加(基本15%控除)
教育訓練費10%増加で25%控除
経営セーフティ共済
年間240万円まで全額損金!BCP対策も同時実現
具体例
- 月額20万円×12か月前納 = 240万円
- 節税効果:72万円(実効税率30%)
- 40か月後に元本100%回収可能
メリット
解約タイミングを調整して所得平準化
決算直前でも加入・前納OK
取引先倒産時は最大10倍借入可能
3. 法人契約生命保険
役員退職金準備と節税を同時実現
全額損金型の例
- 逓減定期保険:年間保険料300万円
- 節税効果:90万円(実効税率30%)
- 解約返戻金で退職金財源確保
1/2損金型の例
長期的な資産形成効果
終身保険:年間保険料600万円
損金算入300万円で節税効果:90万円 高い効果が期待できます。
4. 決算賞与
支給額全額損金算入!従業員満足度も向上
具体例
- 従業員30名×30万円 = 900万円支給
- 節税効果:270万円(実効税率30%)
- 所得拡大税制との併用で追加効果
要件(4要件すべて必要)
支給の確実性
事業年度内に各人別金額を通知
翌期首から1か月以内に支給
当期に損金経理(未払計上)
5. 設備投資税制
7%税額控除または特別償却30% 要件が厳しいものからトラックや備品など中小企業の特例が多いので詳しくはネットを参照してください。
具体例
- トタック2トン以上1,000万円導入
- 直接効果:100万円の税額控除
- 特別償却で300万円の節税効
- 選択することになります、
- 税額控除か特別償却で節税効果が変わります法人では税額控除を使うことが多いです。
- 個人は超過累進税率なので特別償却は有利な場合も
支出を伴わない節税対策
節税効果の高い順番です。
期前払費用の特例
支出タイミングを調整するだけで大幅節税
家賃前払いの例
- 月額50万円×12か月 = 600万円前払い
- 節税効果:180万円(実効税率30%)
- 実際の支出は1年早まるだけ
対象費用
- 事務所・工場家賃
- 設備リース料
- 損害保険料
- 保守・メンテナンス料
適用要件
継続適用かつ重要性が乏しい
継続的役務提供契約
支払日から1年以内の役務提供
貸倒引当金
売掛債権の状況に応じて確実な節税効果
具体例
節税効果:83万円(合計277万円の引当)
売掛金5,000万円、貸倒懸念債権500万円
一般債権:4,500万円×0.6% = 27万円
個人事業主は5.5%で繰入率が高いです。
貸倒懸念債権:500万円×50% = 250万円
3. 棚卸資産の評価損
陳腐化在庫の適正評価で節税
具体例
- 在庫3,000万円のうち陳腐化商品300万円
- 節税効果:90万円(実効税率30%)
効果的な組み合わせ戦略
パターン1:短期集中型
経営セーフティ共済前納 240万円
短期前払費用(家賃) 600万円
生命保険年払い 300万円
決算賞与 500万円
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合計支出 1,640万円(法人税率30%仮)
節税効果 492万円
実質負担 1,148万円
パターン2:資金流出最小型
短期前払費用 600万円
貸倒引当金 200万円
棚卸評価損 300万円
合計 1,100万 (法人税率30%仮)
節税効果 330万円 (支出増加なし)
⏰ 実施時期別スケジュール
決算3か月前
✅ 所得拡大税制の要件検討
✅ 設備投資計画の策定
✅ 生命保険商品の比較検討
決算1か月前
✅ 経営セーフティ共済加入・前納
✅ 短期前払費用の契約・支払
✅ 決算賞与の決議・通知
決算日直前
✅ 貸倒引当金
✅ 棚卸資産の評価見直し
✅ 未払費用の適正計上
実務上の重要ポイント
継続適用の原則
一度選択した会計処理方法は継続適用が必要です。翌期以降への影響も十分検討しましょう。
資金繰りとのバランス
支出を伴う節税は短期的な資金流出を招きます。中長期的な事業計画との整合性を重視してください。
適用要件の確認
特に税額控除制度は詳細な要件があります。事前の十分な検討と証憑書類の整備が重要です。